VRに一番必要なのは、やっぱり手軽さだったんだ。
今年10月に発売された、PCいらずで遊べるオールインワンVRヘッドセット「Oculus Quest 2(オキュラス クエスト2)」。僕も発売前から予約して購入し、最近は完全ワイヤレスなVR体験を味わいまくっております。仕事の合間に、食後のゲームタイムに、パっと遊べるお手軽VR。マジ最高っす。
Oculus Quest 2はエンタメやビジネス用途での利用もさることながら、VRゲームを強く意識した作りになっていて、その振り切り方がデバイスとしての完成度を上げてるように感じたり。
でもでも、ゲームで大事なのはなんといってもソフト。VRゲームには定番タイトルがいくつかありますが、新しくリリースされた『POPULATION: ONE(ポピュレーション:ワン)』が、ヤバイのです。これ、新たなVRゲーの地平線を切り開いた気がします。「Oculus Quest 2」を買った人には、ぜひ一度体験していただきたいッ。
生き残りたければバナナをむくしかない!
本作はオンラインでマッチングしたプレイヤーと戦う、チーム制のバトルロワイヤルゲーム。いわゆる『フォートナイト』や『PlayerUnknown's Battlegrounds(PUBG)』などのVR版ですね。これらと大きく違うのは、VRらしくカラダを使って操作する必要がある点。
そのカラダ動かしっぷりを象徴するアクションを紹介しましょう。本作には回復剤としてソーダやバナナがあるのですが、ダメージを食らったからバナナを食らって回復するとします。でも、ただアイテムを拾うだけでは回復せず…。

こうやって手動でバナナをむいて、パクっといかないといけない。銃弾飛び交う戦場で丁寧にバナナむけってか!
で、この画面はVRゴーグルで見ているゲーム画面の様子ですが、現実はどう動いてるかというと…。

一生懸命むいてますとも、バナナ。皮を1枚1枚、指でつまんでムキムキと。
本作でこのバナナ・アクションを知ったとき、もうバナナをむくだけで楽しくって、バトルそっちのけでバナナを拾って食べまくってやりましたよ!まだ慣れないプレイだったので食せたバナナは1試合で3本でしたが、いまの僕なら倍の6本、ひと房ぶんはいけるね。
このバナナ、VRの表現力とジョーク力が一体になった、『POPULATION: ONE』を象徴する要素だと思います。自分の動作がそのままゲームに介入する感覚は、コントローラーでは味わえない「カラダを動かすことが純粋に楽しい」という、VRゆえの体験。ちなみに、ソーダを飲むにも缶のプルタブを開けないといけません。リアルぅ〜。
銃を撃って、壁を登って、空を飛んで。超リッチな「ゴッコ遊び」
さて、『POPULATION: ONE』はバトルロイヤル・シューティングゲームなわけですから、メインとなるのはやっぱり銃器の撃ち合いです。バナナ1本でもあのリアリティですから、銃器もばっちり本格派なわけですよ。
たとえば、戦場でライフルを拾ったら...

ライフルに弾倉を差し込み(ガチャッ)、ボルトを引き(チャッ)、両手で構えて照準をあわせ(スッ)、引き金を引く(ターン!)。
ゲーム内でこう動いてるということは、もちろん現実でも。

ゲーム内の手の動きと同じように、あちこち手を動かしています。しかもこれ、銃ごとにリロードのやり方が違うので、ぶっちゃけ面倒です。しかし、あえて言いたい。この面倒さが良いのだ、と。現実では謎い動きをしていても、ゲーム内の僕はプロっぽい手付きで鮮やかなリロードをキメて、敵に備えているのです。バトロワゲーで自分で銃をリロードできる。そう、VRならねッ!
両手で銃を構えて狙撃する、遮蔽物から首を少しだけ乗り出す、バレないように姿勢を低くする。ゲーム機ならボタンでポチポチやるこれらの動作が、『POPULATION: ONE』ではすべて自分の肉体で実践しなければなりません。その没入感、戦場の風が吹いている感は、否応なくともプレイングをアツくさせてくれます。ちなみにリロードは移動ボタン押し込みでも可能です。追い詰められた時は仕方ないね。
他にも、カラダを動かすことで実現できるユニークなアクションが用意されています。お次は壁登りを見て下さい。

ゲーム内では、塔に接近→壁登り→周辺をチェックと動いてますね。でも、現実で壁に捕まったりできます?

というわけで、壁登りの動きは空中で手をわしゃわしゃする感じになります。モンキーダンスみたいなモーションですが、こちとら一生懸命に登攀中なので!早く登らないといい標的になっちゃうんで、交戦中なら本気のバタ腕が見られます。
この「登る」は本作でも大事なアクションで、高いところにアイテムが落ちていたり、遠くの対戦相手を先に見つけたり、相手の頭上から狙撃したリ、とにかく高いところに登るといい事あるんです。で、家の壁、煙突、細い鉄塔など、壁や柱っぽいオブジェクトなら何でも登れるんで、近くに敵がいないならとりあえず登ってみっか、となるんですね。
片手で壁に捕まりながらもう片方の手で射撃、といったアクロバティックな動きもできるので、アクション映画の如き縦方向からの立体機動攻撃、使いこなしたいですねぇ。
次も大事なアクション、滑空です。キャラクターがびゅーんと飛ぶ様子をご覧ください。

飛び降りてから左右に旋回してるのもわかると思います。さて、現実の動きはというと…。

手を横に広げるTポーズで、滑空アクション。気分はまさにブーン(絵文字省略)ですよ。実際に体を動かして旋回したり、下を向いて周囲を見渡したりと、現実の体勢がゲームにリンクする面白さを強く感じられるアクションですね。ああ、俺は今飛んでいる…! ぬお、飛行中に狙撃してくるとは卑怯な、こっちも空中から狙撃じゃあ!
では最後に問題です。

激しく手を上下に動かすこの動きは、ゲーム内では何のアクションでしょうか? ヒントは現実にもあるもの。もしくはFPS好きなゲーマーならわかるかも。
正解は〜?

自動体外式除細動器(AED)によるチームメイトの蘇生でした。いやこの動き、2人も蘇生したら腕の筋肉プルプルになっちゃうんですが。
空前絶後の、カラダ動かしバトロワゲー
『POPULATION: ONE』はクロスプレイに対応していて、PCにつなぐ有線系VRヘッドセットに対応したバージョンもリリースされています。が、今から本作を楽しみたい人には、やはり完全ワイヤレスで楽しめる「Oculus Quest 2」がオススメ。だって遊びやすいもん。

立って遊ぶほどのスペースがなくても大丈夫。座ってプレイするモードもあるので、手を伸ばせる広さがあればプレイできます。スマホゲー感覚でサクっとプレイするにはうってつけのモードですね。
あと、僕は普段ボイスチャットやらない派なんですが、『POPULATION: ONE』だとボイチャONでも良いかなと感じました。こう、ゲーム全体のユーモアさというか、必死に腕を動かして壁登ったり空飛んだりする、ある種のバカバカしさというか、そういう肉体的ないそがしさのおかげで人と話すことがあまり気にならないなーと思ったり。これも運動によるポジティブさなんだろうか…。
ひと昔前のVRは本体やケーブルも大仰で、鑑賞のためのデバイスという側面が強かった気がします。ケーブルも電源もオールインワンで楽しめる「Oculus Quest 2」なら、最新のVRゲームも手軽に楽しめちゃいますよ。ほんっとに手軽になったなぁ、VR。
Source: Oculus , Population One
Photo & video: 小原啓樹, Screenshot: ギズモード・ジャパン