アメリカは、よその国のプラスチック汚染をディスってる場合じゃない

アメリカは、よその国のプラスチック汚染をディスってる場合じゃない
Image:Ocean Conservancy / YouTube

あなた作る人、わたし捨てる人…。

「海のプラごみの半分以上は中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムから出ている」と最新の海洋ごみ対策計画でアジアを叩いている米環境保護庁も、あんまり人のことは言えないみたいですよ?

プラスチックの製造では中国が世界一ですが、その多くは中国国内の使用分ではありません。ごみ投棄に関する世界銀行の最新データ(2016年分)をNGOのOcean Conservancyが分析した調査では、アメリカのプラごみ排出量は「世界のどこの国よりも多い」年間4200万トンで、人口あたりのプラごみ排出量も世界一だったんです!

しかも150万トン以上は海に流れ込むプラごみで、1年につき自由の女神60体分の重さのプラごみが米国から世界の海に撒き散らされている計算です。論文主著者のNick Mallos上級ディレクターは「世界人口の4%に過ぎないアメリカが、世界のプラスチックごみの17%を出している」と電話記者会見で語っています。以下は、YouTubeに公開された調査の骨子です。

Video: Ocean Conservancy / YouTube

不法投棄&ごみ輸出大国

ご覧のように、米国産海洋プラごみ150万トンの内訳はポイ捨てが84万トン、不法投棄が41万トン。残りはリサイクルかと思いきや。米国内のリサイクル率はわずか9%というお寒い状況で、最大100万トンものプラごみが海外に輸出されていたんです。

行き先は主にアジア諸国。2018年から中国がプラごみの輸入をストップしたので今はもっと減っていますが、それまでは半数以上のプラごみがアジア行きになっていたんですね。

押し付けられた国にはリサイクルの基盤がない

輸出廃プラの25%以上は汚れや劣化が激しくてリサイクルできないものでした(ラップや汚れた食器など)。どっちみちリサイクルしようにも、受け入れ国にはその基盤がないため、けっきょく海や山に捨てられてしまうことも多いんですが、押し付けてしまえばあとは野となれ山となれで米国は見て見ぬふりができます。

現に過去の調査では、米国内の合法的なごみ処理(埋め立て処理や焼却施設、リサイクルセンターなど)や不法投棄だけが対象でした。よく引用される2015年の調査でも米国は世界20番目のプラごみ排出国とあって、上位10にすら入っていません。

でもそれは単に輸出分をカウントしていなかったからであって、今回、輸出分と国内投棄分を両方カウントしてみたら米国は世界第3位の海洋プラごみ排出国だった、というわけ。投棄されるスーパーの袋やストローなどを全部積み上げると「ホワイトハウスの庭の広さとエンパイアステートビルディングの高さ」になるそうですよ?

グリーンピース米国支部プラスチック国際事業責任者のGraham Forbesさんは「先進国の企業と政府は長年アジア諸国をスケープゴートにしてきたが、米国がどの国よりもプラごみを出していることが調査でやっと明らかになった。自国の問題を他国に責任転嫁するのはやめて、アメリカも使い捨てプラスチック中毒をなんとかしないといけない」とメール取材で語っています。本当だね…。

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サーファー天国LA
Image: hazards and catastrophes / YouTube

日本もリサイクル率が高いと安心してる場合じゃない

ちなみに日本はどうかというと、中国輸入終了を受けての削減努力が実を結び、2019年には89万8000トン(前年比10.9%減)で、2004年以来初めて廃プラスチック輸出量が100万トンを割っています。米国は人口が2.6倍なのでちょっと比べにくいのですが、2018年に国連がまとめた資料では、人口あたりのプラごみ排出量は世界第2位(p.13)とありますよ。結構多いのね…。

日本のプラごみリサイクル率は84%で世界最高ランク!

ポイ捨ても少ないから山と海はとてもきれい!

そういう意識の高さと万全の分別回収に安心しきって、使用を減らすほうが疎かになっているのかも…う~ん…。

リサイクルと言いつつ日本はプラごみの7割強を炉で燃やしているという実態もあるやに聞きます(環境に悪い)。どのみち90万トン近くをほかの国にまかせているんじゃあまり自慢になりませんよね。自動販売機やコンビニのペットボトル、過剰包装、ラップといった使い捨てプラスチックを減らさないと削減目標達成はムリじゃない?というも海外にはあることですし、がんばって減らさないと…。

Sources: Ocean Conservatory, Jetro, Forbes

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