新型コロナのロックダウン中にスキンケアに目覚めたGizmodo USのヴィクトリア・ソン記者。相当お手入れしているらしく、お肌はビックリするほどツルンツルンのツヤッツヤ。
そんな彼女が新た手を出したのが、99年に発売されたLinda Evans(女優。テレビドラマを主な舞台に活躍)によるデジタル・フェイスマスク「Rejuvenique Facial Toning Mask(若返り美顔マスク、くらいの意味)」。1秒間で8回腹筋運動をするしくみを顔にも…、というのがセールスポイント(? )のアイテムで、eBayで55ドル(約5700円)でゲットしたのだとか。
というわけで、ノスタルジックなビューティーテックのレビュー、いってみましょー。
スケキヨがやってきた

eBayで落札した約2週間後、私の元にかの有名なスケキヨマスクがやってきました。今となってはプレイヤーデッキを持っている人も少ないであろうVHSと、20年前のトーニング・ジェルとともに。
スケキヨマスクは、人間の顔にそっくりに作らせてあるはずにもかかわらず、不気味さが隠しきれません。しかし、裏側はもっとおぞましかったんです。26個ものメタルピンが突き出し、押すと不必要なまでに弾力性がありました。

説明書によれば、このピンは全て顔に接触する必要があるとのこと。1本のピンの調子が悪かったので、顔に当てる前に軽く修理する必要がありました。
スケキヨ・ON

スケキヨにコードを差し込み、電源を入れてみました…が、起動しません。よくよくみてみると、コントロールパネルのバッテリーが腐食しているようです。おそらく20年使われなかった間に腐食してしまっていたのでしょう。
とりあえず、私はバッテリーを買うために薬局へと走りました。
思い返すと、この時点で私は引き返すべきだったのでしょう。ピンの不具合、バッテリーの腐食。どう考えても、負の匂いがプンプンしています。なんというか、スケキヨがマスクを通して「やめた方がいいよ」と言っているかのようです。
しかし、夫の「ビデオデッキ持っているから、VHS見たいなら見れるよー。」という思いがけないアシストと、すでにYoutubeにアップロードされていたインストラクションビデオの存在に流され、私はスケキヨをかぶることになりました。
使い方はこうです。26本のピンにトーニング・ジェルをまんべんなく塗り、マスクを装着。仕上げとして最適な「脈動」レベルまでノブを回すだけ。被り心地はけっして良いとは言えません。
ちなみにコントロールパネルは非常に単純で、脈動のレベルを変えるノブと、「テスト」「スタート」のボタンのみ。私は1からスタートし、3まで上げてみました。3までは何も感じませんでした。しかし4にした瞬間です。顔に異変を感じました。
15分に渡る電気ショック
顔にビリビリという痛みが走りました。とても強い静電気が顔を刺激する感覚です。取説によると、ピンは15分間に渡って場所を変えながら刺激を送るとのこと。場所を変えて刺激を送る、というのは書いていると恐ろしくありませんが、受ける側はとてつもない恐怖を感じることになります。
みなさんは顔に通電されたことはあるでしょうか? しかも、その通電される場所は、マスクのみぞ知る…。私は寝転びながら、次はどこに電気ショックが来るのか、ビクビクしながら待つしかありませんでした。
私は自分でも信じられないほどげっそりしました。レベル4で、です。もしレベルを10にして通電していたら、泣いていたかもしれません。
え…なんだか歯が痛い…?
とはいえ、顔に通電することは始める前から理解していたこと。なにが私を驚かせたかというと、歯に電気を感じたことです。この記事を読んでいる人たちで、どれくらいの人数が歯の通電を経験したことがあるのかはわかりません。でも、これだけはいえます。とにかく、不快です。痛いのではありません。根本の部分でおかしい。生理的に受け入れられない感覚です。
結局、私は15分も耐え抜くことができませんでした。歯はガクガクし、眉間に圧を感じました。私は耐えきれずマスクを顔から引き剥がししてしまいました。
マスクを外すと、私の肌は見違えるように美しくなるどころか、ピンの痕がくっきりと残っていました。取説には「消える」と書かれていましたが、美しくなりたくて痛みを耐えた後に、くっきりと残る痕を見た時の、私の悲しみと落胆、取説の「12週間ほど使い続ける」の文字を見た時の心境をご想像ください。
しかし、途中で諦めたらレビュワーの名が廃れるというもの。私は再びスケキヨになるべくマスクを手に取りました。
スケキヨ ・リターンズ
2度目は取説のオススメに従い、横たわった状態で使ってみました。しかし寝転がったところで痛みは和らぎません。全然ダメです。痛くてたまりません。私は痛みに耐えられず、蹴られた子犬みたいに泣きました。心配したペットの犬が様子をみにきたくらいです。それでも8分間は我慢しました。
それにしても、一体誰がこんな拷問に耐えようと思ったのでしょうか。微弱電流を発生させるマイクロカレントは何十年も前からある美容法です。エステでもやってもらえますし、自宅でもホームデバイスを使ってやることができます。
ただ、それはあくまで「微弱電流」が皮膚のコラーゲンとエラスチンの生成を促し、顔を引き締めてくれるというものであって、こんなふうに激痛に耐えなければいけないものではありません。
この手のガジェットだと、200ドルの「Nuface」が有名ですが、「Rejuvenique」のようにガジェットの先っぽにだけジェルを塗るのではなく、顔全体に塗るようになっています。それに、「Nuface」の取説動画には、痛みで泣く女性なんて登場しません。
マイクロカレントは効果を実感するために繰り返し使う必要があるといったって、私はもう2度とスケキヨマスクをつけたいとは思いません。たとえ、お金を支払うからと言われても、です。
期待なんてしてなかった

正直に言うと、Rejuveniqueに期待なんてしていませんでした。これに騙されるほど、頭のネジが緩んでいるわけではありません。ハロウィンのマスクにちょうど良いかな、くらいの気持ちで手にとってみただけです。
でも、長時間の着用は不快すぎて、ハロウィンのコスチュームとしても役に立ちませんでした。それと、ペットを含め、家族に不評でした。
Linda Evans、こんなの売るなんて、あんた相当のワルじゃない?