環境にとって朗報かも! 最も一般的なプラスチック(ポリエチレン)の新しいアップサイクル方法

  • author Dharna Noor - Gizmodo Earther
  • [原文]
  • Rina Fukazu
環境にとって朗報かも! 最も一般的なプラスチック(ポリエチレン)の新しいアップサイクル方法
Image: shutterstock

プラスチックが"貴重な原材料"になる…?

世界で最も一般的なプラスチックであるポリエチレンは、石油化学産業により8800万トン以上生産されています。先日発表されたサイエンス誌のレポートによれば、ポリエチレンをアップサイクルする新たな方法が発見されたといいます。これにより、増大しつづけるプラスチック汚染問題にどう対処できるのでしょうか?

ひとくちにポリエチレンといっても、その形態はさまざま。ビニール袋や食品包装、電気絶縁や工業用配管などあらゆるものに使用されています。生産されたポリエチレンはすべてリサイクル回収される…といったことが現実として起きていれば話はまた別ですが、埋め立て地や海でゆっくりと分解されるか、有毒な化学物質を放出する廃棄物焼却炉で燃やされるなど環境に負担をかけているのが実態。

ポリエチレンを分解して別物質に変換

しかし新たな研究では、ポリエチレンを分解するプロセスを高速化してアルキル芳香族分子(化粧品や洗濯洗剤の界面活性剤、機械の潤滑剤、冷凍液として使用されるもの)に変える方法を発見したといいます。アルキル芳香族分子に関して、カリフォルニア大学サンタバーバラのケミカルエンジニアであるSusannah Scott氏は「世界的に90億ドルの市場」だとして「経済的価値と規模がある」と述べています。

従来の方法よりも高速かつ安価

科学者によりポリエチレンを分解する方法が開発されたのは、今回の研究が初めてではありません。化学的にリサイクルする方法はほかにもあります。ただし従来の方法でプラスチックを分解するとなると、500〜1,000度に加熱し、溶剤や水素を追加してプロセスを高速化する必要がありました。

それが今回発表された新しい方法では、300度に加熱し、溶剤や水素を使用せず、白金と酸化アルミニウムの比較的穏やかな触媒のみを使用するとか。プラスチックのポリマーをより細やかに分解することで、貴重な無傷のアルキル芳香族分子を抽出することが可能になるのだそうです。この触媒は「ポリマー鎖を保持する結合をより小さな断片に切断」し、最終的には固体プラスチックを液体に変えることで化学物質を抽出できるとScott氏は説明しています。

この新たなプロセスは、ポリエチレンを分解するうえで他の手段と比べてもエネルギー消費がはるかに少なく、さらに安価だといいます。技術としてまだスケールアップの準備ができている状態ではないとのことですが、最終的にはプラスチックを汚染廃棄物としてではなく、貴重な原材料として活用するために使用される可能性があります。

廃棄物を減らす可能性がある

もちろん、この新しい技術に期待をかけるとしても、石油化学産業がさらに多くのプラスチックを生産することをよしとする…なんてことはあり得ません。ポリエチレンの生産は、気候だけでなく有毒な排出物を通して公衆衛生をも脅かします。もっと言えば、脱プラスチックに向けてもっと努力を積み重ねる必要があります。そのうえで、今回発表された新しい研究が最終的に発生する廃棄物の量を減らすことに役立つ可能性があるといえそうです。

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