この動画全盛期時代。カメラもいいけど、キャメラもいいと思えるようになってきました。
近年、純粋なビデオカメラの世界には雲がかかっています。まあそりゃそうか。本来はスチル用途のミラーレスで思う存分動画が撮れるようになったのだから。
しかし、プロユースやハイアマチュアの世界となると話は別。映画やCM、MV撮影など、ミスなく歩留まり少なく着実な撮影を行う現場においては、でっかいビデオカメラことキャメラが重宝されます。
ところで、みなさんはどんな視点でスチルカメラを選んでいますか? 露出補正ダイヤルがあるとか、使っていないときでも設定状態を確認できて、ファインダーを覗きながらでも自由自在に操作できるUIをもったスチルカメラっていいですよね。
大型のキャメラの良さはまさにそこ。突発的な光の変化に対応するべく、スピーディかつ間違いなく設定を変えられるようにと、ボディに備わるボタンやダイヤルといったコントローラが充実しているんですよ。

さて、ここまでが前置きです。本題に行きましょう。

2020年11月18日。ソニーは新たにILME-FX6Vこと、「FX6」を発表しました。ごらんのように、シネカム、シネマカメラです。従来から販売されていたVenice、FX9に続く、フルサイズセンサー・Eマウントを採用したCinema Lineであり、新たにαシリーズの一員ともなる存在。ソニーはコイツでもって、FEレンズを揃えてきたα7/α9シリーズのユーザーに、シネカムの水も甘いぞ楽しいぞとささやくのでしょう。やだー(歓喜)。
“シネマカメラ化したα7S III”的存在

ボックススタイルのモジュラーデザインのため、ハンドル、グリップ、液晶モニタなどは撮影シーンに合わせて自由に装着できます。フルサイズセンサー搭載機でありながら小型軽量で、撮影アングルもフリーダム。様々な外部マイクやLEDライトも装着できますし、リグを組んで大型ドローンに載せての撮影にも対応します。

センサーまわりのスペックを見ると、裏面照射の1020万画素で4K 120p/フルHD 240p撮影に対応(クロップあり)。ISO感度は最高409600で、ダイナミックレンジは15ストップ+。AFは像面位相差627点リアルタイム瞳AFを積んでいます。AFは像面位相差627点リアルタイム瞳AFを積んでいます。

...ほぼほぼα7S IIIのセンサーじゃんか!暗闇見通し王者のα7S IIIをシネカムにアップデートしたものと考えていいでしょうコレ。画素数、AFの位相差測距点は少なくなりましたが、これは16:9のアスペクト比が理由とみた。

α7S IIIと同系統のものと考えるとISO12800、いやISO16000くらいまで上げてもノイズっぽさが見当たらない映像となるはず。S-Log3時のベース感度はISO800/12800でのデュアルベースISO機だそうで、これならライティングに時間をかけなくても狙ったシーンをスパッと撮れそう。

透明感ある肌色の美しさを捉えるのにサイコーな、上位機種であるFX9譲りのS-Cinetoneや1/4~1/128の可変NDフィルターも採用しました。室内屋外を問わず、ポートレートムービーの潮流が根付きますねコレは。
映像編集をスムーズにする機能群

ボディ内手ブレ補正機能はないようですが、手ブレ情報メタデータは記録されるとのこと。これもFX9譲りの機能で、映像編集時のソフトウェア上における手ブレ補正の精度UP、速度アップが期待できるものです。

面白いのがOKフラグボタンの存在でしょうか。メタデータにOKフラグを追記できる専用ボタンで、これまた映像編集時にベストなクリップを見つけるのがカンタンになるもの。ポスプロの時短効果バツグンです。

そして一番重要と思われるのが放熱機構。センサーの裏に大面積のヒートシンクを何枚も配置したことで、記録メディアまたはバッテリーが切れるまで撮影が可能になったとのこと。4K 120pでも!?

気になる価格はボディ単体(ILME-FX6V)が73万円前後、SEL24105Gレンズがついたレンズキット(ILME-FX6KV)が87万円前後となる見込みです。初値が約45万円だったα7S IIIと比較して高いとみるか、安いとみるか。いや、動画専用機としたらこれはリーズナブルでしょう。動画撮影・編集時の効率が段違いとなりそうですし。
Source: ソニー