1968年に発表された世界初のマウス、3ボタン「X-Y」マウスが競売に出される

  • author 岡本玄介
1968年に発表された世界初のマウス、3ボタン「X-Y」マウスが競売に出される
Image: RR AUCTION

見積もりはたったの800ドルに設定。安すぎ?

アメリカの発明家ダグラス・エンゲルバート博士が開発した、ボタンが3つある「X-Y」マウス。これは世界で初めて作られたマウス(のひとつ)で、1968年12月9日に行なわれた「Mother of All Demos(すべてのデモの母)」というプレゼンテーションにて発表されました。

そして12月17日に、このマウスがオークションに出品されることになりました。

縦横の車輪がXとY軸を移動

当時NASAからの資金提供によって作られた技術のひとつだというこのマウス。もちろん光学式でもレーザー式でもなく、ましてやボールで転がる旧式とも違い、縦軸と横軸に動く円盤が車輪として埋め込まれています。この縦横の移動がX軸Y軸を行ったり来たりするのですね。

このマウス開発時、博士はスタンフォード研究所(現:SRIインターナショナル)内に設立したAugmentation Research Center(拡張研究センター)に勤めており、研究所に代わってマウスの特許を取得。その後Apple(アップル)が、4万ドル(約416万円)でこのマウスとのライセンス契約を行ないました。

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Image: RR AUCTION

800ドルの理由は?

そんな伝説的なマウスのご先祖様なのに、最初の入札額は800ドル(約8万3,000円)という意外な安さです。それはどうやら、実際にこれがデモで使われたのと同じマウスではなさそうだってことと、ずっと昔に展示するためにとコードが切断されてしまったことが理由で、このお値段からのスタートになったようです。

「Mother of All Demos」の動画では、グレーっぽく見えるマウスと、さらには31分29秒ごろにボタンが白くコードがお尻から伸びているマウスが登場するので、競売にかけられるこのマウスとは確かに一致しません。

Video: Doug Engelbart Institute/YouTube

しかしながら、このマウスは博士がLogitechのPRディレクターだったセルジ・ティマチェフ氏に手紙付きで贈呈した、博士の手垢が付いたものです。そしてその手紙も、マウスと一緒に出品されるとのことです。

未来を予見するデモだった

Mother of All Demos」は、サンフランシスコで開催された「秋の合同コンピューター会議」で行なわれました。そこでは、博士と拡張研究センターにいる17人の研究者たちが、リアルタイム編集による単語処理、いずれウェブで使われるであろうハイパーリンク、ビデオ会議、画面共有、ワープロ、ウィンドウ化されたソフトをマウス操作で利用するインターフェイスなど、今では当たり前の技術を、90分に渡り披露したのでした。

もし彼らがいなければ、現代のコンピュータはここまで進化していなかったでしょうね。

果たして落札額はいくらに?

ライセンスはスティーヴ・ジョブズが買い、その後ボタンがひとつのものへと進化していきましたが…Appleのマウスには、この「X-Y」の遺伝子が受け継がれています。マウスという概念を生み出した歴史的なデバイスの始祖、いったい誰が、いくらで落札するのでしょうか?

Source: RR AUCTION, YouTube via INTERESTING ENGINEERING, Gizmodo US

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