アレシボ天文台の電波望遠鏡、ついに崩壊

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
アレシボ天文台の電波望遠鏡、ついに崩壊
8月に補助ケーブルが落下した際の損傷。

もはや改修は不可能…。

プエルトリコのアレシボ天文台に設置されている電波望遠鏡が、現地時間の12月1日午前7時55分ごろに崩壊したとの知らせが現地の報道機関や当局から届きました。

11月19日に運用停止と解体が言い渡された矢先に起きた、あまりに唐突な最期でした。

Image: UCF Today via Gizmodo US
2019年春に撮影されたアレシボ天文台。

アレシボ電波望遠鏡の反射鏡は直径305メートル。2016年に中国科学院国家天文台の「FAST(500メートル開口球面電波望遠鏡 )」が建設されるまでは、世界最大の電波望遠鏡として数々の科学的ブレイクスルーに貢献してきました。

反射鏡の137メートル上空には受信機が設置されたプラットフォームが3本の支柱によって吊り上げられていましたが、今回の事故ではこのプラットフォームが落下したとみられています。8月に補助ケーブルが断線・落下し、11月初旬にはメインケーブルも落下して以来、いつこのようなことが起きてもおかしくない状況が続いてはいたのですが…。

こちらは気象学者のDeborah MartorellさんがTwitterで公開した事故直後のものと見られる画像です。

みなさん、非常に残念なお知らせをしなければなりません。アレシボ天文台のプラットフォームが崩壊しました。

Martorellさんの画像からは3本の支柱だけが確認でき、プラットフォームの姿はありません。

別の画像からも、やはりプラットフォームが忽然と姿を消しています。

Image: Wilbert Andrés Ruperto via Gizmodo US

アレシボ天文台の運営を任されていた全米科学財団(NSF)も、Twitterでこのようなコメントを発表しています。

アレシボ天文台の305メートル電波望遠鏡に設置されていたプラットフォームが夜のうちに落下しました。けが人はありませんでした。NSFは現在関係者とともに状況解明に努めています。最優先すべきは安全です。状況がわかり次第、詳細をお伝えしていきます。

さらに、

NSFの職員はこの一連の出来事にみな胸を痛めています。今後NSFがどのように科学コミュニティの力になれるか、またどのようにプエルトリコの人々との強い信頼関係を維持していくかを検討していきます

とも。

NSFは現在事故後の調査を進めていますが、今わかっていることだけでもあまりよくない状況のようです。プラットフォームを支えていた支柱は3本とも上部がへし折られて反射鏡の上に落下し、同様に補助ケーブルも落下した模様で、NSFは「落下したケーブルにより天文台の学習センターが大きな損傷を被った」との見解を示しています。NSFは今後安全を確保しながらもダメージを見極め、環境へのリスクを軽減するべく努力していくと発表しています。

Martorellさんの写真を見るかぎりでは、たしかに3本の支柱は完全に崩壊してはいないようです。ケーブルの落下の仕方によっては支柱さえも根こそぎなぎ倒してしまうのではないかとの懸念もあった中、支柱が残ったのは不幸中の幸いと言えるでしょう。もし支柱もろとも崩壊していた場合は、ビジターセンターやLiDAR施設が破壊されるリスクが高かったそうなのですが、現状がどうなっているのかはまだ確認されていません。年間9万人が訪れる観光名所でもあったアレシボ天文台は、電波望遠鏡の運用を停止したあとも望遠鏡以外の施設は存続していくことが決まっていただけに、気になるところです。

結果的にアレシボ電波望遠鏡の改修をあきらめて解体するとのNSFの決断は賢明でした。ケーブルが落下した時点で行われていたリスクアセスメントでは、電波望遠鏡が近いうち「壊滅的な」 倒壊を免れないこと、また作業員の安全を損なわない限りは反射鏡の改修を行えないことなどが指摘されていました。そのため事故当時、反射鏡周辺は立ち入り禁止となっていたのですが、おかげで人的被害が出なかったことは本当に幸いでした。

Reference: NHK News Web

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