バルト海に沈むナチスのエニグマ暗号機をダイバーが偶然発見

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
バルト海に沈むナチスのエニグマ暗号機をダイバーが偶然発見
Image: Florian Huber

まさかの発見。

バルト海で廃棄された漁網を探していたダイバーたちが、第二次世界大戦中ナチス・ドイツが使用していたエニグマ暗号機を発見しました。

フランス通信社AFPによると、ドイツのハンブルグから150キロほど北上したゲルティング湾で先月発見されたそうです。ダイバーたちが見つけた機械を調査してみると、それは第二次世界大戦でナチスが暗号を送信するために使われていたかの有名なエニグマ暗号機でした。実はこのダイバーたち、「ゴーストネット」と呼ばれる海に沈んだ漁網を世界自然保護基金(WWF)からのお願いで探していたんですが、ものすごいお宝を偶然発見してしまったとのこと。考古学者でリサーチダイバーのFlorian Huber氏は「あの日のことは生涯忘れられないと思います。人生で一度きりの出来事でした」と語っています。

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Image: Florian Huber

Huber氏は普段は考古学のダイビングを指揮していて、この日は世界自然保護基金の環境保護プログラムの手伝いをしていたところでした。海に潜っていたHuber氏の同僚が海面に戻ってきた際「古いタイプライターが入った網がある」と報告。引き揚げて調べてみると歴史的なお宝だと気づいたそうです。

その後、暗号機はダイバーからドイツの考古学博物館に引き渡されました。シュレスウィヒ・ホルシュタイン州の考古学事務所のトップ、Ulf Ickerodt氏は暗号機の修復には1年くらいかかるであろうと話していて、修復後に考古学博物館に展示されるとのことです。

ナチス・ドイツは戦争中、無線通信を暗号化するためにエニグマ暗号機を使用していましたが、難攻不落と思われていた暗号を1941年にイギリスの数学者アラン・チューリングがドイツに知られることなく解読。チューリングとエニグマの解読については2014年にベネディクト・カンバーバッチ主演で「イミテーション・ゲーム」で映画化されています。

そのエニグマ暗号機が、どのようにバルト海の底に沈む経緯になったのかはわからないですが、ドイツ海軍歴史家のJann Witt氏は、第二次世界大戦の終わりがけにドイツ軍艦から海へ投棄されたのではないかとDPA通信に話しています。というのも、発見された暗号機は3ローターのもので、ドイツの潜水艦U-boatsに搭載されていたより複雑な暗号を作れる4ローターではなかったから、ということです。

1930年代から1940年代まで何千ものエニグマ暗号機が製造されてきましたが、現存しているのは大変すくなくなっています。おそらく世界中の博物館で50台ほど展示されているだけで、残りは個人のコレクションくらいと言われています。2015年に珍しいタイプのエニグマM4(こちらは4ローター)がオークションにかけられ、36万5000ドル(日本円で約3,800万円)で落札されています。

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