はやぶさ2が8つの世界初を達成。さらなる世界初を目指し、再び深宇宙へ

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  • author 山田ちとら
はやぶさ2が8つの世界初を達成。さらなる世界初を目指し、再び深宇宙へ
Image: JAXA 「はやぶさ2」再突入カプセルのリエントリー時。大気中を通過しながら火球のように光り輝いています。

計画が立ち上げられてから10年以上、地球から打ち上げられてから6年以上。

日本が誇るJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が深宇宙からのおみやげを送り届けてくれたのは2020年12月6日のことでした。

Image: JAXA

まるで火球のように輝きながら大気圏を突破し、南オーストラリア州の赤土の上に無事到着した再突入カプセルの中には、幅40cmほどの小さな銀色の装置が収まっていました。

Image: JAXA

そしてその装置の中には、科学者が夢にまで見た小惑星リュウグウのサンプルが大切に保管されていたのです。

太陽系のひみつ

小惑星からサンプルを採取し、地球に持ち帰るという偉業を成し遂げたのはこれが人類史上2回目。世界で初めて小惑星からのサンプルリターンミッションを完遂させたのは、やはりJAXAが運営していた「はやぶさ」でした。

はやぶさは予算に乏しかったうえに、イオンエンジンの故障など数多くのトラブルに見舞われたにもかかわらず、プロジェクトチームメンバーひとりひとりの機知と情熱によって最終的には輝かしい成果を挙げました。そして、そのはやぶさのミッションで得られた知見と経験が活かされたからこそ、その後継機であるはやぶさ2は工学的成果として8つの「世界初」を達成できたのです。

Image: JAXA

上記の写真はJAXAが回収した再突入カプセル内部の「サンプルキャッチャーA室」です。JAXAの公式Twitterによれば、このA室内に「多数の粒子」が確認され、「 第1回タッチダウンで採取したリュウグウのサンプル」と考えられるそうです。

リュウグウはC型の小惑星で、今から46億年前に太陽系が誕生した頃の水や有機物が今でも残されている可能性が高いことから、今後のサンプルの分析により太陽系の誕生秘話が明かされると期待されています。

JAXAいわく、

地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機物はどこでできたのか。そのような疑問を解くのが「はやぶさ2」の目的です。また、最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して、惑星がどのように生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。つまり、「はやぶさ2」は、太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫るミッションなのです。

人類初のガスサンプル

Image: JAXA
サンプルが入った容器の入り口に付着していた粒子。

さらに、はやぶさ2は小惑星リュウグウの気体を地球へ持ち帰ることにも成功しました。地球圏外からのガスのサンプルリターンは、これが世界初

過去には小惑星イトカワや月から持ち帰ったサンプルに化学処理を施してガスを発生させ、それを採取したことはあったそうです。でもはやぶさ2は、小惑星の大気の一部を吸い込んで「そのまま」持って帰ってきてくれたことが画期的なんです。リュウグウからの復路には約一年かかっていますから、ガスがカプセル内で絶えず発生している状態だったとも考えられます。

リュウグウ滞在中に成し遂げた「世界初」

Image: JAXA
初回タッチダウンに向けてのリハーサル中に広角カメラが捉えた小惑星リュウグウの姿。

そのほかにも、はやぶさ2はリュウグウに滞在していた1年5ヶ月の間に工学的成果として7つの世界初を達成しています。

AstroArtsによれば、2019年12月19日に行なわれたJAXA主催の記者説明会にて報告された新記録は以下のとおり。

・小型ロボットによる小天体表面の移動探査

複数のロボットを小天体に投下・展開

・天体着陸精度60cmを実現

・直径10mの人工クレーター「おむすびころりん」を作成

・1機の探査機が同じ天体の2地点に着陸。着地点は「たまてばこ」と「うちでのこづち」の愛称で知られる

・地球圏外の天体の地下物質にアクセス

・最小・複数の小天体周回人工衛星を実現

これらひとつひとつの偉業が成し遂げられるたびに、現場で昼夜工程を見守っていた技術者や科学者の喜びはいかなるものだったのでしょうか。

「ただの宇宙の土」と思ってしまえばそれまでですけど、そこに実際に到達するまでにはきっと言葉では言い表せないほどたくさんのドラマと感動があったのだと思うと、ただの傍観者であるこちらまで胸が熱くなってきます。

冒険はまだ終わっちゃいない

Image:JAXA/産総研/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大
「行ってきます、地球」。再出発直後の地球カラー画像。

胸が熱くなることがもうひとつ。

はやぶさ2は今回地球の大気圏には突入せず、再突入カプセルを地球に送り届けてからまた新たなミッションへと旅立って行きました。

今後の拡張ミッションの詳細はまだ確定していません。JAXAによれば現時点ではふたつのシナリオが用意されているそうで、ターゲットには「2001 AV43」と「1998 KY26」というふたつの天体が選定されているもののどちらへ赴くかはまだ未定。どちらも直径数10mというとても小さな天体で、なおかつ非常に早く自転していることから「高速自転小惑星(fast rotator)」と呼ばれているそうです。

高速自転小惑星は、人類が未だかつて到達したことのない未踏の地です。はやぶさ2を設計・開発したNECのコラムから言葉を借りると、「こんなに小さく高速で自転する天体に、はやぶさ2がランデブー(位置を合わせてとどまること)を成功させれば、世界初の快挙」となるそうです。

Image: 宇宙科学研究所、JAXA

地球を離れて6年経ったいま、はやぶさ2のイオンエンジンの燃料は約半分程に減っています。

このまま順調に飛び続けても小惑星2001 AV43への到着は2029年11月、そして小惑星1998 KY26への到着は2031年7月の予定で、10年以上かかる長期ミッションとなりそうです。ましてや、はやぶさ2は小惑星リュウグウから地球帰還までのミッションだけを想定して設計されているため、搭載機器がさらなる冒険に耐えてくれるかどうかも定かでありません。

それでも、地球に帰還したとともに火球となって大気圏に溶けた初代はやぶさのことを思うと、はやぶさ2がまだ宇宙で活動していると知っているだけで安堵します。そして、その勇姿に励まされもします。

今後も、はやぶさ2はどんな「世界初」を打ち立ててくれるのでしょうか。

Image: JAXA
Reference: JAXA, AstroArts, NEC

はやぶさ2 サンプルからの新発見&新ミッションでの活躍 ほしい?

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