2020年、ポジティブな気候変動関連ニュースBEST5

  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
2020年、ポジティブな気候変動関連ニュースBEST5
Image: Christian Charisius (Getty Images)

どうやら今年はなにもかもが悪いわけではなかったようです。

誤解しないでくださいね。2020年はひどい年でした。新型コロナウイルスは世界中で過去に類を見ない悲劇を引き起こし、環境問題によって搾取されているコミュニティを最も苦しめました。それはまた、貧困気候災害のような、他のあらゆる危機と連動していました。石油産業は破綻しましたが、株主の利益を守りながら多くの労働者を解雇したため、それさえも祝うに値しません。

しかし、私たちの地球の未来にとって希望の光もありました。気候変動ムーブメントはいくつかの大きな勝利を収め、汚染者はいくつかの大きな敗北を喫しました。ここでは2020年に地球にとって最大となった5つの勝利を紹介します。

1. 再生可能エネルギーブーム

エネルギー産業は新型コロナウイルスによるロックダウンをきっかけに急落した燃料需要の急落で大打撃を受けましたが、再生可能エネルギーは立ち直りの早さを証明しました。 IEA(国際エネルギー機関)の報告書によると、2020年に設置される新しい電力インフラの90%近くが再生可能エネルギーで、2020年末までに世界で再生可能エネルギー容量が7%増加するのだとか。

世界的に見ると、2020年は洋上風力にとって特に素晴らしい年でした。ブルームバーグNEFの分析によると、投資家は2020年上半期に350億ドル(約3兆6000億円)を新規洋上風力プロジェクトに注ぎ込んだそうです。この額は、2019年の同時期と比べて300%以上もアップしています。投資家やるじゃん。そして、アメリカでは太陽光発電が急成長しています。 近頃発表された業界団体の調査によると、太陽光発電の導入は年末までに43%増加すると予想されており、業界アナリストによる新型コロナ流行前の予測とほぼ同じペースで推移しています。パンデミックの影響がなければ、もっと増えていたのかもしれませんね。

そして再生可能エネルギーはまだまだ成長を続けるようです。ブルームバーグのアナリストは、2024年までに世界で1,123ギガワットの風力発電と太陽光発電が導入されると予想しています。この数字は、現在のアメリカの発電容量を上回っているとのこと。さらに、新しい種類の再生可能エネルギーも導入されようとしています。5月には、オハイオ州議会が北米初になる淡水洋上風力発電所の建設法案を可決しました。建設は容易ではないようですが、もしも建設されれば、7,000軒の家庭に電力を供給するのに十分な20.7メガワットのエネルギーを発電できるそうです。実現できれば、他の地域でも実践可能な前例になりそうですね。

これらはすべて、脱化石燃料がすでに起こっていることを示していますが、だからといって市場任せにしてはいけません。むしろ世界の指導者たちは、クリーンな電力にさらに多くの資金を投入し、化石燃料の使用を禁止して、より迅速かつ公正な方法で移行できるようにすべきです。私たちは移行の際に最も過酷な影響を受ける労働者脆弱なコミュニティを守るために、新しいエネルギーが人々地球のために持続可能な方法で生産されていることを確認する必要があります。まだまだやるべきことはたくさんありますが、ちょっとだけ立ち止まって進歩をお祝いしましょう。

2. ダコタ・アクセス・パイプライン建設操業停止命令

今年の夏、気候変動活動家たちは何年も続いた闘いに勝利しました。ワシントンD.C.特別地区連邦地方裁判所の判事が、ダコタ・アクセス・パイプラインの操業停止を命じました。連邦地裁は、米陸軍工兵隊が同パイプラインの建設主体であるエナジー・トランスファー・パートナーズに与えた連邦認可は国家環境政策法に違反しているため、廃棄されるべきと判断しました。

この命令は、4年前に米先住民のスタンディング・ロック・スー族が居留地付近を通るパイプライン建設に対して大規模な抗議活動を行なった際の訴訟に対する判断でした。この訴訟でスタンディングロック・スー族の指導者は、彼らの主要な水源である川の地下を通る石油パイプラインが、飲み水や魚釣り、伝統的な儀式に使われる水を汚染すると主張していました。彼らが「水は命(Water is life)」と話していたのを覚えています。

ありとあらゆる手段でパイプラインを存続させようとする化石燃料産業と、それを支える米政府を相手取っての勝利は、特に心強いものになりました。水の守り人たち(彼らは自身たちを「Water protectors」と呼んでいます)が起こした2016年の抗議行動は、警察や軍、州兵による暴力と、民間の警備会社による軍事スタイルの監視を受けました。氷点下の中で抗議をする人たちに、警察がホースで大量の冷水を浴びせかけたこともありました。権力者たちは、この恐ろしいパイプライン建設プロジェクトの立ち上げと実行を心から望んでいて、そのために多大な時間を費やすのをためらわなかったのです。

スタンディングロック・スー族の闘いはまだ完全に終わったわけではありません。7月の判断はまだ上訴中のため、また覆される可能性もあります。また、抗議活動に参加した人々の中には、連邦政府に告発され、110年の懲役刑に処される可能性に直面している者もいます。当局は今すぐに彼らを赦免すべきであり、上訴を扱う裁判所は、公正な社会を作るための出発点として、パイプラインの廃棄命令を支持すべきです。

3. 気候変動リーダーたちが選挙に勝利

トランプ政権の終焉は、気候にとって確かに良いニュースではあります。ジョー・バイデン次期大統領は、大規模な気候変動対策計画を打ち出しましたが、汚染産業とつながりのある人物を政権移行チームの主要ポストに起用するなど、脱化石燃料を約束したわけではありません。それはさておき、もっとエキサイティングなのは、次の会期で連邦議会に足を踏み入れようとしているグリーン・ニューディーラーたちです。

大統領選と同時に行なわれた上下院選挙で、重要な気候変動リーダーたちが再選しました。その中には、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(以下AOC)とエド・マーキー上院議員が含まれています。ふたりは2019年に連名でグリーン・ニューディール決議案を提出しています。また、AOCと彼女と親しいイルハン・オマル下院議員、ラシダ・トレイブ下院議員、アヤンナ・プレスリー下院議員らは、斬新な気候変動政策を掲げています。11月に行なわれた選挙では、下院でグリーン・ニューディール決議案の共同提案者になった下院議員が93人立候補しましたが、落選したのはたった1人だけでした。グリーン・ニューディールへの世論の後押しを感じますね。

米連邦議会では、大規模で大胆な環境政策を支持する新しい顔も見られるでしょう。ニューヨークの下院選で当選したジャマール・ボウマン議員もそのひとりです。彼は、革新的なグリーン・ニューディールや気候正義を促進するための米国外交政策の抜本的な見直しを支持するなど、臆することなく進歩的な政策を掲げて出馬しました。もうひとりいます。コーリー・ブッシュ下院議員は、環境正義の強力な味方です。ここに挙げた以外にも、心強い勝利がいくつかありました。

これらの勝利は、長い間世論調査が示してきたことを反映しています。 大多数のアメリカ人が気候変動対策を支持しているという事実です。私たちが気候変動対策のために、そしてそれを推進する候補者のために闘う意思さえあれば、革新的な対策が実施される未来が待っています。

4. 主要銀行、北極圏の石油ガス掘削に投資せず

今月初めにバンク・オブ・アメリカが北極圏での石油・ガス掘削に投融資を行なわないと発表した時に、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティバンクに続いて、この種のコミットメントを行なう最後のアメリカの大手銀行になりました。北極圏での掘削事業を拡大しようとしている企業にとっては最悪のニュースですが、地球にとっては朗報ですよね。

バンク・オブ・アメリカの発表は、気候変動活動家らの長年にわたる圧力の成果といえます。昨年秋に環境保護団体の連合が気候危機へのウォール街の役割を問い詰める「ストップ・ザ・マネー・パイプライン(パイプラインへの資金提供をやめろ)」キャンペーンを立ち上げて以来、特にバンク・オブ・アメリカは強い批判を受けてきました。

この公約は原油価格の下落後に行なわれました。つまり銀行はいずれにせよ石油やガスから大きな利益を得られなくなりそうということを意味しています。活動家たちはまた、北極圏で新規リース契約を結ぶ企業と、融資する銀行を訴えるつもりだと話しています。そんなこともあって、バンク・オブ・アメリカが純粋に世のため人のためにこの発表をしたとは思えませんが、それでもこれは良いニュースであり、特に経済を味方につけた場合の圧力が有効であることを示しています。

繰り返しになりますが、やるべきことはまだまだあります。化石燃料会社が掘削を検討している場合、未公開株式投資会社のような小規模の金融機関に資金を求めることも可能ではあります。そういう金融機関は金利も高くて投資に対する利益の回収が早い傾向があるので、必ずしも安全な賭けとは言えないかもしれませんが、それでも可能性がないとは言い切れません。

環境保護団体や先住民族の人権団体は、北極圏での掘削を終わらせるために、銀行や資産運用会社、保険会社、さらには広報会社にまで汚染者との関係を終わらせるよう働きかける一方で、北極圏の新たなリース契約について連邦政府に提出する意見書を準備しているそうです。

5. 大きな変化を起こすにはまだ遅くない

気候危機と環境破壊が深刻化していることは科学的に明らかです。そして人間の行動、というかほぼほぼ権力側の行動が原因であることは明らかです。それでも変化を起こすのは今からでも遅くないことが、多くの調査結果から明らかになってきています。

11月に「二酸化炭素の排出をすぐに止めても、気候変動は取り返しがつかないところまできている」と主張する研究結果が発表されましたが、専門家はすぐに否定。研究は非科学的で、信頼されている気候モデルはその逆が事実であることを示していると指摘しました。

大規模なプラスチック汚染問題の解決もまた、今からでも遅くありません。確かに今、世界はこれからたった20年のうちに海に捨てられるプラスチックの量を3倍に増やす勢いです。しかし、同じ調査では、指導者たちがこの問題に真剣に取り組めば、その量を80%削減できることもわかっています。また、世界の指導者たちは、パリ協定のプラスチックバージョンのようなものを検討しており、準備ができていることを示していると言えます。パリ協定のように象徴的な意味合いしか持たないものにならなければいいのですが…。

大胆な行動をとれば、地球の生物多様性の危機を収束させることだってできます。世界自然保護基金が今年発表した報告書によると、1970年以降に世界の動植物の個体数が68%も減少しているのだとか。恐ろしすぎです。しかしながら、国連の研究者たちは、世界は生物多様性の目標を達成できていないものの、減少傾向を逆転させるような変革は可能だとしています。私たちは、生態系を回復させることも、生産性を高め被害を最小限に抑えるために食糧システムを再構築することも、植物を中心とした食生活に移行することも、ハチをはじめとする受粉者の個体数を増やすことも、化石燃料の使用をやめることもできるのです。というか、このような行動を実行しなければならないのです。


訳者は、バイデン次期大統領が気候変動対策を優先すると言っても、トランプ政権が覆したオバマ前大統領の環境政策をやり直す程度で終わるんじゃないかと思っていたのですが、先住民女性を内務長官に、黒人を環境保護局の長官に、大統領予備選で躍進したピート・ブーティジェッジ氏を運輸長官にそれぞれ指名するなど本気度を見せていて、2021年を迎えるにあたってそこそこ良いニュースかも、とちょっぴり期待しています。

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