どこを指してる? 世界最大の氷山がサウスジョージア島に接近中

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
どこを指してる? 世界最大の氷山がサウスジョージア島に接近中
Image: Lauren Dauphin/MODIS/NASA EOSDIS/LANCE/GIBS/Worldview

大西洋でちょっと怖い事態が起こっています。

「A68a」と名前がついている世界最大の氷山が、イギリス領サウスジョージア島に近づいてきているのです。氷山の接近により周辺に住む野生の動物にどのような影響が出てくるかを調査するために科学者チームがサウスジョージア島へ向かったとのことです。

3週間で85km接近している!

前回この氷山に関する一報が入ってきたのが11月27日。このときはサウスジョージア島から離れていっていたのですが、それから状況が一点。3週間前の時点では160km離れていたのに、最近の衛星写真ではもう75kmまで迫ってきています

あまりに接近しているため、氷山の一部分はすでに島の大陸棚に乗り上げている可能性もあることが下のマップで読み取れます。

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Image: British Oceanographic Data Center’s Global Bathmetric Chart of the Oceans (GEBCO)/British Antarctic Survey

野性動物の餌がなくなることを懸念

A68aは、現在世界一番大きな氷山であり、このまま行くと海底を削りながら一定の場所に何年も留まることになります。生物学者たちは、そうなることでペンギンなどの野生生物の食べ物がなくなることを懸念しています。

「氷山はヒトデやウニなどの海底に住む生物たちを荒らしていくことで、生物の多様性が失われていきます。これらの生物は体の中に炭素を蓄えるため、氷山がぶつかることで生物の体内に蓄えられた炭素が水の中に放出され、それが大気へと流れていく可能性があり環境によくない影響が出てしまいます」と話すのはイギリスの生態学者Geraint Tarling氏。

この氷山、どこから来たの?

A68aはもともと南極のラーセン棚氷から2017年の7月に割れて分離。それから漂流を続けています。全長140km、大きさは3,900平方km。でも意外と厚みはなく、200mほどだということ。

人差し指で何かを指しているような形のA68a氷山は、ここ数日時計回りで動いていて、北側の広い部分はすでに海底棚の上を漂流しながら浅瀬へと向かっています。国際氷チャートグループの科学者Klaus Strübing氏は、氷山はこのままでは島に乗り上げてしまうと危惧しています。

12月13日の時点ではこのまま海底棚に乗り上げていくか、もしくは海流によって反対方向へと流されていくか、どちらになるかは「時のみぞ知る」とNASA Earth Observatoryはブログに投稿。Strübing氏によると、3年前に氷山が漂流し始めてから、時計回りに動いていたと思ったら、時計と反対周りに回り始めたり、止まったり動いたりとなかなか動きの読めない波乱の旅を続けているとのこと。かつて2004年にも、A43bという氷山が同じような場所で漂流して、何ヶ月も止まった後、島の周りを動いていたことがあるそう。

科学者チームが調査に乗り出すぞ

今回の氷山の影響で、氷山からどれだけの水が溶け出し、そしてペンギン、アザラシ、クジラなどの野生生物にどんな影響を与えるかを科学者チームが調査に乗り出すそうです。無人潜水機を使って、氷山周辺の海水を採取し、塩分、温度、クロロフィルなどを調べ、さらに水中のプランクトンの数を調査し、過去のデータと照らし合わせるそうです。困った氷山ですね...。とにかく周辺の動物たちの命が失われないことを切に願います。

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