AirPods Maxレビュー:素晴らしいからこそ価格にイラッとする

  • 20,093

  • author Caitlin McGarry - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
AirPods Maxレビュー:素晴らしいからこそ価格にイラッとする
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

音質、ノイキャン、空間オーディオの耳福。でもお値段がね…と。

2020年最後にApple(アップル)が投下してきたAirPods Max。日本では6万円超えとなる強気な値付け独特のデザインなどなどで期待とガッカリが入り混じっていますが、米GizmodoのCaitlin McGarry記者も悲喜こもごものレビューをしてます。詳細は以下どうぞ!


私はここ何年も、Bose QuietComfort 35 IIを愛用してきました。米国からヨーロッパや日本への長時間フライトにも持っていったし、展示会会場のガヤガヤをキャンセルするのにも使ってきたし、在宅仕事中は近所の芝刈り機の音をブロックしてくれています。とはいえ、ワイヤレスノイキャンヘッドホンが他にも無数にある中、Appleが550ドル(日本価格6万1800円)のAirPods Maxを発表したときにちょっと興味を持ったのは事実です。ただ私のBoseのヘッドホンは350ドル(約3万6000円)で買って、それでも高いなって感じたくらいなので、AirPods Maxは高すぎです。

…って、そうでもないんでしょうか?

うーん、やっぱりけっこうなお値段ですよね。使ってみて、すごくよいヘッドホンだとは思うんですが、このお値段は私には乗り越えられませんでした

Apple AirPods Max

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これは何?:Apple初のオーバーイヤー型ヘッドホン。

価格:550ドル(日本価格6万1800円)。

好きなところ:きらめくサウンドに素晴らしいアクティブノイズキャンセリング、他のAppleデバイスとのシームレスな連携、快適なヘッドバンド、頼れるバッテリーライフ。

好きじゃないところ:お値段、不思議なデザインのケース、3.5mmケーブルがそのままでは使えないこと、あとはお値段。


今あるベストヘッドホンの1.5倍の価格

まずわかりやすいところからいきましょう。Bluetoothオーバーイヤーヘッドホンでアクティブノイキャン性能の高いもので、もっと値段の安いものは、すでにたくさんあります。Bose 700は400ドル(日本価格4万6750円)Sony WH-1000XM4は350ドル(日本価格4万円)で、しかもどちらも今は定価よりだいぶ安く買えます。でもAppleは価格競争しなくても、高くても買っちゃう人がたくさんいます。それはほんとにそうなんですが、実勢で1.5倍以上の価格差なので、AirPods Maxはその分価値があるの? って思ってしまいます。

そこで私は、AirPods MaxとBose、Sonyの最新ワイヤレスノイキャンヘッドホンを比べてみました。するとたしかにAirPods Maxのほうがいろんな意味で優位な点があるんですが、短所もいくつかあります。詳しくはもう少しあとで書きますね。

独特のデザイン(とくにケース)

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このヘッドバンドはよいと思うんです。
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

最初にデザインですが、ご覧の通りわりと独特で、好きじゃない人もいるかもしれません。大きなアルミのイヤーカップを使っていて、BoseやSonyのプラスチックのものより重くなっています。AirPods Maxの重量は13.6オンス(384.8g)と、約9オンス(256g)のBoseやSonyの1.5倍以上になります。その差は不快というほどじゃないにしろ、はっきりわかります。ただ私個人的には、メガネとピアスを着けてるので、オーバーイヤーヘッドホンは2〜3時間すると痛くなってくることがほとんどなんですが、AirPods Maxではこの問題がありませんでした。長時間着けていても快適です(2020年来の諸事情で、今回は飛行機では試せてませんが)。

ヘッドバンドはメッシュで、頭にかかる圧力が軽減されてますが、これが独特の外観をかもし出してます。私はこのメッシュのデザインはよいと思うし、快適でもあります。

でも問題は、チャージングケースです。Appleは存在しない課題に対して解決策を提示すべく、デザインをがんばりすぎた感があります。チャージングケースに収めたAirPods Maxはまるでハンドバッグかブラジャーみたいで、どっちもヘッドホンに求めるイメージとは全然違います。

見た目の問題だけじゃなく、ヘッドホンを持ち歩くならしっかりしたケースに入れて、雨風やらカバンの中のゴミやらに触れさせないことがすごく大事です(しかもこの値段だし)。昔バックパックの中でシロップ漬けチェリーの瓶を割ったことがある人間としては、AirPods Maxをこのケースだけでカバンに入れてたらどうなることか、考えるだけでハラハラしてしまいます。

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ヘッドホンをミニバッグみたいに持ちたいと思いますか?
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

肝心の音はすごい

とはいえ、この独特のデザインをむしろ気に入る人もいれば、そこまで気にしてない人も多いと思うので、肝心な話に移りますね。そう、音質はどうかってことです。AirPods Maxは9個のマイクを搭載していて(ANC用に8個、音声用に3個、うち2個は両方をこなします)、各イヤーカップには40mmダイナミックドライバ搭載、さらにソフトウェアのマジックもあり、音質的には素晴らしいものです。

ほんとに、音に関してはまったく不満がありません。イコライザー(EQ)調節のための物理ボタンもアプリもありませんが、別にかまいません。何もしなくてもすごくよい音なんです。初めて装着したときに頭に浮かんだ言葉は、やや小っ恥ずかしい言い方ですが、「音がキラキラしてる」です。

同じ歌、同じ映画の同じシーンをAirPods MaxとBose 700、Sony WH-1000XM4で何回も、何時間も聞き比べましたが、どうしてもAirPods Maxがベストだと感じました。他のヘッドホンより、とにかく没入感が深いんです。アダプティブEQの技術がすごいのか、イヤーカップの密閉度が高いのかわかりませんが、Wingsの『Maybe I'm Amazed』を聞いているとまるでスタジオにいるような感覚で、左側からはピアノの音が、右側からはドラムの音が入り、ポール・マッカートニーの声があたりを包み込みます。しかもそれが、ロスレスのオーディオファイルを有線ヘッドホンで聞いてるとかじゃなく、Spotifyの曲をBluetooth経由で聞いてるだけで可能なんです。

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イヤーカップが耳を密封し、素晴らしい音を聞かせてくれます。
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

もっともっと聞きたい、空間オーディオ

AirPods Max(AirPods Proも)の空間オーディオが活躍する機会が少ないのは、空間オーディオがすごくよいと思うからこそ、残念です。AirPods Maxにはセンサーが満載で、両イヤーカップに光学、位置、ケース検知、加速度センサー、そして左イヤーカップにはジャイロスコープもあります。空間オーディオをBluetooth設定から有効化すると、AirPods Maxは事実上サラウンドサウンド・システムに早変わりします。たとえばiPadでDisney+の『Soul』を見ているときは、私が移動しても音の方向は固定のままなので、他のヘッドホンのときより没入感が高まりました。主人公のJoe Gardnerがカギをチャラチャラ言わせる場面では、まるでリアルなディナークラブに入り込んだように感じました。

ただ空間オーディオはコンテンツ自体が5.1か7.1、またはDolby Atmosで録音されたときにだけ有効です。全アプリ、全デバイスではサポートしていません。『Soul』はDisney+では5.1なんですが、Dolby Atmosで作られたコンテンツだともっとよい効果が期待できます。ただ現状、Dolby Atmosコンテンツはなかなかありません。映画やTV番組の詳細情報を見ると、それが5.1や7.1、Dolby Atmosで作られたものかどうかチェックできます。

Apple TV+オリジナルの『For All Mankind』の爆発シーンをDolby Atmosで見たときは、ほとんど映画館にいるみたいでした。だからAirPods MaxをApple TVにつないで聞けたらすごいことになると思うんですが、Apple TVは空間オーディオをサポートしてません。なので今はiPhoneかiPadでしか使えないのですが、私は普段iPhoneとかiPadを動画とか音楽といったコンテンツ視聴にメインで使ってません。なので多分私が空間オーディオを使える機会は少ないんです。でもとにかく素晴らしい機能だとは思います。

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音量調節にDigital Crownを使うのもよかったです。
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

ノイキャン性能も最高です。飛行機では試せませんでしたが、Sonos Playbaseで飛行機内の騒音を再現してテストしたところ、AirPods MaxのANCはSonyと同等、Boseよりベターな結果でした。右のイヤーカップの物理ボタンを押しての外部音取り込みモードも、他のノイキャンヘッドホンよりよいと思いました。声がより自然に聞こえて、音楽を聞いてるときでもクリアでした。

Apple Watchから持ってきたDigital Crownもうまく機能してます。AirPods MaxのDigital Crownは、音量調節や再生コントロールだけじゃなく、接続先のAppleデバイスの切り替えにも使えます。たとえばiPadで動画を見てからiPhoneで音楽を聞く、といったとき、AirPods Maxはそれを理解してちゃんと音をつないでくれました。

欠けてるもの:電源ボタンと3.5mmケーブル

AirPods Maxに欠けてるもののひとつは電源ボタンで、これはちょっと不思議です。AirPods Maxはケースに入れるとすぐ超低電力状態に入るのですが、放置してても2時間くらい経たないとこのモードになりません。でもバッテリー70%からゼロになるまで、そこそこ使っていても1週間半くらいかかりました。なので1回の充電で20時間使えるという触れ込みは、だいたい合ってるようです。

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入力はLightningポートのみですが、従来の3.5mmケーブルで使うためのアダプタは付属しません。
Image: Caitlin McGarry - Gizmodo US

もうひとつの問題は、3.5mmオーディオジャックで有線接続するには、Lightning - 3.5mmアダプタ(日本価格1,000円)なりケーブル(同3,800円)なりが必要になることです。本体だけでもすごいお値段なのに、さらにチャリンチャリン搾り取るのか、アダプタくらい入れてくれてもいいんじゃないかな…って思います。

私は引き続きBoseで

というわけで、もっとイヤーカップが小さくて軽く、チャージングケースがもっと実用的で、3.5mmケーブルが付いてきて、もう少し値段が下がれば、AirPods Maxは(とくにiPhoneユーザーなら)完ぺきです。でも他社のものもすごくよいし、もっとお手頃です。ここに書いた欠点が気にならない人はAirPods Maxを買って全然問題ないと思いますが、個人的には、使い慣れたBose QuietComfort 35 IIでいいかなと思います。

まとめ

・音はすごくよいですが、550ドル(日本価格6万1800円)は高すぎます。

チャージングケースのデザインは全然好きになれません。

かなり重めのイヤーカップ。

・Dolby Atmosのコンテンツを空間オーディオで聞くととくに素晴らしい音です。

・Sonyのベストなものに並ぶアクティブノイズキャンセリング。

・Appleデバイスとの接続は、いつも通りシームレス。

3.5mmケーブルが付いてこないのはひどい。

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