体験してみたい!
周りの状況を認識し、歩行者や障害物の情報を音声で伝達。位置情報を把握し、階段、エレベーター、ドアなどへ誘導してくれる、名付けて「AIスーツケース」。
IBMのWebメディアMugendai(無限大)に、そんな未来感あふれるプロダクトが紹介されていましたよ。
Googleもない頃に、世界初の音声ブラウザを開発
インタビューに登場したのは、IBMフェローで、カーネギー・メロン大学客員教授の浅川智恵子さん。2021年4月には、日本科学未来館二代目館長に就任予定のすごい方です。
浅川さんの名前を聞いてまず思い浮かべるのが、視覚障がいの方向けに開発された世界初の音声ブラウザ「ホームページリーダー」。
ご自身も事故により視力を失う経験をされた浅川さんは、1985年に入社した日本IBMにて視覚障がい者の課題解決に取り組み、ホームページリーダーを開発。これにより、視覚障がい者が点訳を経ることなく膨大な情報にアクセスできるようになり、その技術は世界中に広がりました。
しかもこれを1997年、まだGoogleも創設されていなかった頃に製品化したのですから、そのすごさが分かります。
そんな浅川さんが現在取り組んでいるのが、AIスーツケースなんです。

パラリンピックの延期…。落ち込むどころか新機能をつくってしまう
視覚障がい者のアクセシビリティの向上を目的とし、日本IBM、清水建設、オムロンなど5社が集い始まった、AIスーツケースのプロジェクト。実は2020年の東京オリンピック・パラリンピックでお披露目の予定でした。
しかしご存知の通り、大会は延期に。実証実験もまた延期になりましたが、そんなことでへこたれないのが浅川さん。コロナ禍・コロナ後の「ニューノーマル」な世界を見据え、落ち込むどころか新機能を開発してしまうんです。
例えば、2メートル以内に人が近づいてきたらセンサーが自動的に適度な距離を保つソーシャル・ディスタンス機能や、マスクをしていない人を顔認証技術で見極める機能など、技術を実生活に落とし込む素晴らしい手腕を発揮しています。

ホームページリーダー誕生から20数年。イノベーションを起こし続ける浅川さんは、AIスーツケースの開発の意気込みを以下のように語っています。
私たちは、杖を使って歩いている時も、盲導犬に補助してもらっている時も、常に自分がどこにいるかを頭の中の地図で意識し続けなければなりません。障害物も自分で認識しなければなりませんが、時にそれは難しいことがあります。杖は地面しか触れないので、何も無いと思って進んでトラックの荷台に顔をぶつけてしまうなんてこともあります。
(中略)
もっと気楽に町歩きがしたいですよね。お買い物だって周りの雰囲気を楽しみたいじゃないですか。あら、おいしそうな匂いがしているわ、ここは賑やかだわ、行列ができている、なんの行列かしら?視力のある人が楽しんでいる町歩きやショッピングをいつかできるようになりたい、そんな夢をAIスーツケースに込めました。
日本科学未来館館長就任とともに、AIスーツケースを展示したいと語る浅川さん。ぜひ体験してみたいですよね。
「あきらめなければ道は開ける」をモットーとする、活力あふれる浅川さんのインタビューは、Mugendai(無限大)より続きをお楽しみください。
Source: Mugendai(無限大)