日本は2022年から。
イーrン・マスクがCEOを務める宇宙開発会社、SpaceXの衛星ブロードバンド、Starlinkのプレオーダーが開始しました。最近、Starlinkのベータユーザーがすでに1万人以上いることが明かされて、え?もう使えるんなら言ってよって思った人もいるかと思いますが、今回ちゃんと申し込めるようになりました。
日本では来年スタート予定
ただしサービス開始は、日本の場合2022年になるようです。念のため日本の住所、東京と沖縄を試しに入力して確認しましたが、どちらも2022年と出てきました。 トップの画像は沖縄でチェックしたときのものです。
でも実際サービスが始まったら使えるのは先着順とのことなので、いち早く使いたい人は今のうちに申し込んでおくのが吉です。あ、プレオーダーには一時金99ドル(約1万400円)が必要で、しかもThe Vergeによれば、払ったからといってちゃんとサービスが提供される保証がないのは要注意です。またStarlinkを使うには、見晴らしの良い場所へのアンテナ設置が必要になるので、その点も要確認です(詳しくは後述)。
お値段は月99ドル(約1万400円)
そして気になるお値段は、Starlink Kitと呼ばれるアンテナなどの機器購入などにかかる初期費用が499ドル(約5万2000円)、月額利用料が99ドル(約1万400円)となっています。SpaceXのイーロン・マスクCEOは、料金は万国共通にしたいと言っているので、日本に来るときも1万円前後になると思われます。一般的なインターネット利用料金と比べるとかなり高めですが、へき地だったり、一応回線はあるけど不安定だったりするところでは検討する価値がありそうです。
もうひとつ気になるのは速度ですが、現状では50〜150Mbps程度だそうで、これまた恵まれた環境にいる人にとってはあんまり魅力ないかもしれません。でも私は今イギリスの郊外と田舎の中間くらいのところに住んでるんですが、家の回線が有線でも10Mbpsを切ることが時々あり、家の中だとスマホもつながりにくくてテザリングもできないので、50Mbps出る回線をバックアップで使えるなら助かりそう、と思ってます。

Starlinkのサービス提供前にはStarlink Kitとして、アンテナ(Starlink)とWi-Fiルータ、ケーブルなどが送られてきます。アンテナは「クリアな視界」がある場所に設置する必要があり、ビルや家が密集している地域だと場所の確保が難しいかもしれません。Starlinkにはセットアップ用アプリもあり、「空しか見えない場所」かどうかチェックする機能があるんですが、やってみると割と周りの家とかが入り込んでくるのがわかります。あとは雨や雪、強風といった天候で接続が悪くなることもあるとのこと。
事業者としての課題
…と、多少制限がありつつも、今ある接続環境に不満のあるネットユーザーとしては期待が高まります。でも米GizmodoのJoanna Nelius記者は、Starlinkの事業としての課題をいくつか指摘しています。まずマスク氏自身が「この先1年とかでマイナスのキャッシュフローの谷を越えねばならない」とツイートしているように、お金の問題です。Starlinkユーザーはまだ1万人くらいしかいないのに、すでに衛星を1,000台以上打ち上げていて、これからさらに増やしていく予定です。
SpaceX needs to pass through a deep chasm of negative cash flow over the next year or so to make Starlink financially viable. Every new satellite constellation in history has gone bankrupt. We hope to be the first that does not.
— Elon Musk (@elonmusk) February 9, 2021
またこれはネット接続業者共通の課題ですが、ユーザーが増えたら増えたで、使える帯域が狭くなって接続が遅くなるっていう問題も抱えてます。今Starlinkを使ってる人の多くは100Mbpsくらい出てるらしいんですが、同じインフラでユーザーが増えれば速度は下がるはずなので、インフラ増強にお金がかかるっていうループ…。
それからStarlinkみたいな衛星ブロードバンドには、従来のネットが行き渡らないようなへき地と都市部のデジタル格差を解消する役割も期待されてます。でもその格差解消のための費用が月99ドルもするのは、それ自体がハードルじゃないか、とNelius記者は指摘します。
こういった接続事業者のジレンマ、辛酸を知り尽くす既存の地域ISPからは、Starlinkってほんとにやっていけるの?と疑問の声も上がっています。米国政府は昨年末、へき地にインターネットを提供できるからってことで、Starlinkに9億ドル(約940億円)近い補助金を交付したんですが、そんなに税金つぎ込むほど信頼できるのか、というわけです。
上のマスク氏のツイートには、今までの衛星コンステレーションはすべて破産してきたとあります。でも不可能を可能にしてきたSpaceX、そしてマスク氏だから、Starlinkもきっと世界を変えていく…と信じたいです。