ゲーミングPCとは、真逆を行く文脈といえるでしょうか。
VAIO渾身のハイエンドノート「VAIO Z」に触れてみました。どんな機体かをカンタンに記すと、14インチで1kg以下、最長34時間駆動のタフバッテリーとCore i7 11375Hを搭載したWindowsマシンです。2021年1月にインテルから発表されたばかりの、モバイル用CPUのなかでもハイパワーなCPUを内に秘めたノートPCの第一弾です。
最初に感じたのは、ビジネスノートの理想形はこれなのかな、というところ。軽くてキーボードがよくて、ボディデザインはとことんストイック。意匠と呼べるものはVAIOのロゴくらいです。RGBの光で彩り、ボディを分厚く仕立てて排熱口カバーも派手にしたゲーミングPCとはまったくもって異なる存在です。

歴代のVAIO Zを思い出すと、たしかにもともとスマートなデザインを身にまとい続けてきました。BEAMSコラボのような限定品は別として、使用時に目に映るのは、キーボードとディスプレイだけでいいといわんばかり。ドヤれると揶揄されることもあるノートPCとは違った美学を持っていました。新型VAIO ZもそのDNAを受け継いでいます。高価なアイテムだからこそ自己を顕示したくなるものでしょうけど、そんな気持ちは子供っぽいとばかりのたたずまいです。
しかし各部をよく見ると、機能美と記さずにいられない造形の組み合わせ。いいね。道具という感じがある。

移動時にもストレスを感じさせない958gという質量。14インチ級ではもっと軽いノートPCもありますが、持ち運ぶ機材であることを考えると、頼りがいのある硬い(から重くなりがち)ボディであることも重要です。その点VAIO Zは、軽さと硬さをうまく両立させたように感じます。カーボンファイバー外装の薄さは感じ取れるのだけど、凹みたわみはほとんど感じない。
ところでVAIOというと、外装にマグネシウム合金を採用したVAIO NOTE 505(1997)を思い出しますが、軽さと硬さを追求すると、現在のところはカーボンがベストなんですって。

ボディの硬さは打鍵感にもいい影響をもたらしています。指でキーを押すと、ブレが少なくほぼ真っすぐに沈みこんでタイピング。中央部のキーを押しても、外側のキーを押しても、感触はほとんど差がありません。1.5mmのストロークをそのまま押し込める。このカチリとしたタイピングは、外装パネルの剛性からくるものでしょう。音も静かで、Zoomをしながらの文章作成でもストレス低そう。
タッチパッドも、パームレストに手を置いたときも安定感がある。地味に思えてもきますが、このたわみのなさが頼もしいのです。
ポートの数はUSB Type-C x 2、フルサイズHDMIのみ。シンプルですが、HDMIは残りました。会議室で、プロジェクターに画面を映し出すというシーンはまだまだなくならないということですね。
お値段(VAIOストアでは27万2,580円〜)が許せるのであれば、文章作成が中心となる業務の人から、マネージャークラスまで納得できるマシンですコレは。
Source: VAIO