身に覚えがありすぎて耳が痛い…。
大抵の人は話を切り上げるタイミングがさっぱり読めないまま、言いたいことが終わってからもダラダラとサービス残業のようにしゃべり続ける生き物であることが米国の最新調査でわかりました。
調査手法
調査はハーバード大学が次の2つに分けて行いました。
①身近な友だちや家族と交わした最近の会話に関するオンラインアンケート。話が終わるタイミングと終わって欲しいタイミングのズレを分析。対象806人。
②ラボで他人とペアになって雑談。テーマ自由で、思いつくまま1~45分間。対象252人。
3分の2の人は長い話を我慢して聞いている
すると①では「話が長いと感じる」と答えた人が67%にも達し、長さは「希望より50%長い」か「50%短い」かのどちらかで終わるのがほとんどでした。ちょうどいいタイミングで終える話し上手はホントに少数派だったんですね。
論文主著者のハーバード大心理学博士課程のAdam MastroianniさんはScientific Americanにこう語っています。
「話し手は聞き手の心を読みながら話すわけですが、その読みはだいたい外れています」
身も蓋もありません。
「そろそろいいかなと最初に思ったら、そこでやめるのが得策です。もっと聞きたいと思われるほうが、もううんざりだって思われるよりベターですからね」
そりゃそうだ…。
他人が相手でも話は長くなってしまう
身近な人が相手だから、つい気を許しちゃって話が暴走するのかと思ったら、同じことは②の他人同士の雑談でも確認されました。 こっちも70%近い人が「話が長いと感じる」と答えていたんです。具体的には次のような数値になります。
話し手と聞き手の両方が満足できるタイミングで切り上げた会話は全体のなんと2%ぽっきり。
話し手か聞き手の一方が満足できるタイミングで切り上げた会話も全体の30%ぽっきり。
聞き手も話し手の心は読めない
じゃあ聞き手は話し手の心を読めるのかというと、これも正答率は似たり寄ったりでした。だいたい64%の聞き手は話し手のサインをまったく読めていなかったんです。
つまり「さっさと切り上げたいのに長々と話させてしまったなあ」と思うときには「まだしゃべり足りない」と思っていて、「もっと話したいのに途中で話すのやめてしまったなあ」と思うときには実は相手は単に切り上げ方がわからなくて、ヘドロモドロ共通の話題を探して間をもたせているだけだったりしたんですね。
聞くほうも話すほうも相手の心が読めないのはお互いさま。うまくいかないものだなあ…。
会話は力を抜いて楽しむのが一番
Clubhouseでも内容のある話ほど「話がクドくなるから」って途中で切り上げてしまわれて、「えーなんでそこでやめるの!?!?!? 1時間だって聞いていたいのに!!!!」ともったいなく思うことありますよね。そうかと思うと、内容のないその場つなぎの長話を全員ががまんして聞いていたりもします。
深く考えると、恐ろしくてますます発言なんかできなくなっちゃいますけど、Mastroianniさんは 「もう悪あがきはやめて、ひたすらリラックスしておしゃべりを楽しむことですよ。読もうとしてもどうせハズレるんだから」とScienceに話しています。そ、そうか…。だよね…うん。
Sources: PNAS、Smithonian Magazine、Scientific American、Science