アリゾナ州下院で「アプリ内決済を制限してはダメ」と、フォートナイトの乱に一石を投じる法案が通過

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  • author Joanna Nelius - Gizmodo US
  • [原文]
  • R.Mitsubori
アリゾナ州下院で「アプリ内決済を制限してはダメ」と、フォートナイトの乱に一石を投じる法案が通過
Image: adrianosiker.com/Shutterstock.com

「フォートナイトの乱」から、はや7カ月か。

アメリカ南西部のアリゾナ州下院で現地時間の3日、あらたな独占禁止法案が31対29票で可決されました。「だからなんぞや?」と思うことなかれ。このことがAppleとGoogle、そして『フォートナイト』にも大きな影響を与えるかもしれません。

大手プラットフォームの「アプリ内決済の制限」に「待った!」をかける法案に

今回、州下院で可決されたアリゾナ州法案「HB2005」を一言で説明すると、「特定のデジタルアプリケーション配信プラットフォームによる、特定のアプリ内決済システムの押し付けを制限する」というもの(法案の詳細はこちら)。これは1年間の累積ダウンロード数が100万件を超えるアプリ配信プラットフォームが対象で、iOSのApp StoreやGoogle Playもそこに含まれます。

さらに同法案では、配信プラットフォームが「アリゾナを拠点とするアプリ開発者に対し、支払いを受ける唯一の方法として、特定のアプリ内決済システムの使用を要求する」ことを禁じています。

Epic Gamesに対するAppleの主張が否定されることに

これはどういうことかと言いますと、Epic Gamesのように直接決済システムの導入を希望するデベロッパーに対し、Apple側が「すべてのアプリ内購入はApp Storeの決済システムを経由しなければならない」と主張することができなくなる、ということです。

法案が州法として施行されれば、AppleやGoogleなどの企業が「自社以外のアプリ内決済システムを使用した」という理由でデベロッパーに報復措置をとることも禁止されます。8月に起きた「フォートナイトの乱」はまさにそのパターンで、Epic Gamesが直接決済システムを導入するやいなや、AppleおよびGoogleは「開発者向け規約に違反する」として、それぞれのアプリストアから『フォートナイト』を削除しています。

「大手テック企業への抵抗が高まっている証」

アメリカ経済的自由プロジェクト(American Economic Liberties Project)で州および地方政策ディレクターを務めるパット・ガラファロ氏はプレスリリースにて、「今日アリゾナ州下院で承認された法案は、AppleやGoogleなどのゲートキーパーが中小企業、起業家、消費者、地域社会にもたらすあらゆる害に対処するのに役立ちます」と話しています。「法案が見事可決されたことは、主要な商取引分野を支配する大手テック企業の力を抑制したいという願望が高まっている証拠です」。

つまるところ、HB2005によってアリゾナを拠点とするデベロッパーは「アップル税」、つまりアプリ内購入ごとに発生する30%の手数料(年間100万ドル未満のデベロッパーは15%)を回避できることになります。ちなみに以前米Gizmodoでもお伝えした通り、2020年7月時点で『フォートナイト』が生み出した個人消費額は4,340万ドル(約46億6380万円)にのぼっています。昨年8月、いわゆる「フォートナイトの乱」勃発後にAppleが『フォートナイト』をApp Storeから削除したことで、その額が大幅に減少したことは間違いないでしょう。

現時点ではAppleによる『フォートナイト』の削除は「違法ではない」

カリフォルニア地区のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース裁判官は昨年10月、Appleが『フォートナイト』をApp Storeから締め出したことは、「法的に認められる」との判決を下しました。

次のApple対Epic Gamesの法廷バトルは5月3日に設定されており、ゴンザレス・ロジャース氏が再び裁判官を務めます。MacRumorsによると、次の公判は両当事者が参加する予定。新型コロナウイルス感染防止対策のため移動が制限される証人向けに、特別な滞在施設が用意されるとのことです。Appleのティム・クックCEOは公判前に7時間もの証言聴取に応じることになります。

こうした動きが増えれば…『フォートナイト』のApple復活もあり得る?

HB2005が法制化されるには、まずアリゾナ上院で可決され、その後ダグ・デューシー州知事による署名が必要になります。AppleとEpicの次回公判までは2カ月しかないので、それ以前の成立はむずかしいでしょう。また、たとえ法制化されても、アリゾナ州がそれをどの程度厳密に施行するかは不明ですし、法案が可決された場合、さらなる法的な問題に直面することはほぼ間違いでしょう。

Epic Gamesなどのデベロッパーにとって、道のりはまだ遠いものの、GAFAなど大手に対する風当たりが強くなっているのは間違いなさそうです。今後、アメリカ国内の他州をはじめ、世界中で同様の動きが起きる可能性もあるので、要注目です。

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