「はっきり言う。気にいらんな」とは言わんといて。
Chromebook(クロームブック)でガンダム名言集をやりたかったわけではなく。こちらの動画のコメント欄で思わず 「デスクトップなんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」と返してしまったんですよ。
実際、「運用」のことを考えないとデスクトップはごちゃごちゃアイコンが並んでゴミ屋敷化するばかり。Chromebookを使うと、ファイルが置けるデスクトップなんてない方が精神衛生上ラクだと気づきます。すっぱり最初からGoogleドライブにデータをためる仕組みの方が効率的だし、セキュリティー的にも安心(電車に忘れちゃったりなんてこともあるわけですから)。仕事に使ってみればよくわかります。
最近は教育マーケットの躍進もあって、どのメディアでもじわじわ「やっぱりChromebookいいじゃん」という論調になりつつあります。しかし個人的には昨年から2021年は一大Chromebookブームがくると見込んでいたこともあって、テクノロジーとかIT、PC関連のジャーナリズムで活躍する偉い方々が集まる席で、ギズモードはChromebookに着目してます、みたいな話をすることも多かったんです。そうするとたいがい「あれはCPUが非力で遅いし、使えないソフトが多いからねえ」みたいなネガティブな反応がかえってきました。その場合必ず「Chrome OSを使われたことはあるんですか?」と聞くようにしているのですが、たいがい苦虫をかみつぶしたような顔で「ない」と仰られて会話が終了。たぶん「プロフェッショナルの私が低スペックの廉価版PCなんか使うわけないだろ。いいかげんにしろ」という矜持をお持ちなんだと思います。OSのことを聞いているんだけどね。

これはChromebook(=Chrome OS)の評価としては微妙にポイントがずれています(ずっとWindows機やMacBookを使い慣れてきた一般の人が使いにくいと言うのならまだわかります)。Chrome OSの開発者、つまりGoogleの中の人が考えたのは、クラウドを活用することでいかに学生やビジネスマンがCPUやアプリケーションに依存せず安全で快適なテックライフをおくれるかです。「ハードの性能の違いが戦力の決定的差ではないという事を教えてやる」って言いたかったんでしょう。ましてやなにかの「廉価版PC(量産型ジム)」を作ろうとは思ってなかったはずです。
もちろん、Chrome OSはより早くて最適化されたCPUの方がサクサク動きます。その一方でスペックが低いマシンでも起動は早いし、Googleのサービスを快適に使える性能は担保されているわけです。それ以上でも以下でもないのがいいところ。

僕はこういった現象を「テックのコモディティー化」と呼んでいます。
もちろんこれはネガティブなニュアンスではありません。というのもテクノロジー製品に限らず、大量生産されている安価なプロダクトには必ず多くの人に愛されるなりの良さ、突き詰めた機能性の美しさがあって、そこを探究していく楽しさみたいなものがChromebook(=Chrome OS)にも内在しているように感じられるからです。これって、GUIやiOSでコンピューターをみんなに広めようとした、Appleのスティーブ・ジョブズと同じ方向を向いてると感じています。
たとえば、ヘインズやチャンピオンプロダクツのTシャツを着て、やっぱり長く多くの人に愛されているものには理由があると感銘をうけるような感覚にきわめて近い。もはやそれは周囲を出し抜いて突出するための戦略的なツールではありません。でも、ベタな表現で恐縮ですが、人間の叡智を受け止めるピースフルなマインドには溢れていますよね。
というわけで、編集部リチャードのピースフルなChromebook解説動画をどうぞ。