PlayStation Plusで動画ストリーミング試すより、PS Nowにがんばってほしい

  • author Joanna Nelius - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
PlayStation Plusで動画ストリーミング試すより、PS Nowにがんばってほしい
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

巷にあふれてる動画ストリーミングを増やすより、もっとやることあるのでは?と。

SonyがポーランドのPlayStation Plus上で動画ストリーミングサービスのトライアルを始めようとしていることがわかりました。仮にお値段据え置きで中身が追加されるならうれしいことだし、動画を見る手段の選択肢が増えるのも一般論としては良いのかもしれません。でも米GizmodoのJoanna Nelius記者は疑問を感じてるそうで…以下、Nelius記者からの問題提起です。


SonyがPlayStation Plusに動画ストリーミングを追加するって噂を裏付ける形で、Sony Interactive Entertainment(以下SIE)幹部がポーランドでのトライアルの存在を認めました。でも個人的には、動画ストリーミングサービスはもうお腹いっぱいです。それにPlayStation Plusを強化するくらいなら、クラウドゲームサービスのPlayStation Nowのほうが、(影が薄いですが、その分なおさら)伸ばしがいがあると思います。

Spider’s Webによれば、SIEはSony Pictures Entertainment(以下SPE)と共同で、ポーランドのPlayStation Plus上で「PlayStation Plus Video Pass」なるサービスを12カ月試験的に立ち上げようとしています。米GizmodoもSonyに直接問い合わせ、PlayStation Plus Video PassがポーランドのPS Plusサブスクリプションの一部として提供されることを確認しました。 PlayStation Plus Video PassはPS4またはPS5から視聴可能で、映画『ブレードランナー2049』や『バッドボーイズ』、ドラマ『Community』全6シーズンといった、SPE製作の映画15本・TV番組6シリーズが見られます。

SIEのグローバルサービス担当バイスプレジデント、Nick Maguire氏はSpider Webに対し、なぜポーランドなのかを説明しています。いわく、ポーランドにはPlayStationユーザー数が多く「PlayStation Plusやソーシャルメディア上でのコミットメントや活動において突出」していて、ビデオオンデマンドもよく使われているから、とのこと。表面上はそれっぽいんですが、今回テストで配信される作品は、Amazon PrimeとかNetflixといった他社サービスで見られるものばかりです。このトライアルでわかるのは「PlayStation Plus Video Passがポーランドでうまくいくかどうか」ということですが、今すでに動画ストリーミングサービスがあふれている中で、新たなサービスへのニーズは本当にあるんでしょうか?

今回のSIE・SPEによる動画ストリーミング進出は、出遅れ感があります。彼らは最近、PS3とPS Vitaストアを閉じるという判断を覆しましたが、ストリーミングTVサービス・Vueは2020年1月に正式にシャットダウンしました。そのとき彼らは、PS4で映画やTVコンテンツを見たいときはPlayStation Storeに行くように、と言ってたんです。でもそのPlayStation Storeでは、ビデオオンデマンドの提供を今年8月31日で終了することが最近わかりました

SonyはPlayStation Storeの終了の理由を「我々のコンソールでサブスクリプションベースおよび広告ベースのエンターテインメントストリーミングサービスを利用するPlayStationファンの増加」、と言ってます。平たく言うと、PS4とかPS5でNetflixとかYouTubeを見てる人があまりに多いんで、PlayStation Storeをやってるのが虚しくなったってことなんでしょうか。ともあれPlayStationユーザーの間で動画ストリーミングが人気、ということはその経験で十分わかってるはずですが、それでもまたポーランドでビデオオンデマンドをやって、その人気を確かめようとする意図は何なんでしょうか? Sony Pictures Entertainment製作のコンテンツ限定でストリーミング提供するテストをしたいのかもしれません。Paramount+とかDisney+が自社コンテンツを自社ストリーミングサービスで囲い込んでるのと同じ感覚なんでしょうか。

ちなみにポーランドでは、PS Nowは使えません。PS Nowは立ち上がって数年経ちますが影が薄く、その理由は、まあなんというか、そんなに良いサービスじゃないからです。数年かけて多少改善はしてきましたが、他のクラウドゲーミングサービスよりずっと遅れています。すでに市場にあふれている動画ストリーミングの選択肢を増やすことよりも、PS Nowをもっと充実させることのほうが先じゃないでしょうか?

PS NowはPS Plusとは別サービスで、料金は月10ドル(日本では1,180円)かかり、プレステ以外で使う場合はWindowsパソコンでないといけなくて、MacとかChrome OSじゃダメだし、AndroidやiOSのスマホとかタブレットでもプレイできません。PS4・PS5ユーザーであれば、Remote Playアプリを使ってどんなデバイスでもプレイできるようになりますが、そのデバイスは家のネットワークにつながってる必要があり、プレステ本体も電源オンでないといけません。そういう意味で、Sonyの真のクラウドゲーミングはWindows PCでしか使えません

さらにPS NowはPS4のコントローラーしかサポートしてなくて、PCに移植された『Detroit: Become Human』みたいなゲームでも然りです。しかもPS Nowのゲームタイトルは全部がずっとプレイできるわけじゃなく、PCアプリのインターフェースは遅くて反応が悪く、ネット接続も要改善…と課題山積です。ただ良いニュースは、PS Nowでついに1080p対応ゲームのストリーミングが始まったことです。とはいえ数年前からあるクラウドゲーミングサービスが今ようやく1080pに対応っていうのはちょっと信じられないスピード感です。Twitterで発表しても、素直に歓迎する反応は少なくて、かえって物悲しくなってしまいました。

MicrosoftやNvidiaといったSonyの競合は、どんなデバイスでもゲームができ、ネット接続もしっかり安定していることを優先してきました。比べるとPlayStationでは、クラウドゲーミングは後付けレベルなのかな、と見えてしまいます。たとえばですが、ゲームのローンチ時にPS Now限定公開にする機会はあるはずで、そうすれば非プレステユーザーならPS Plusにもサブスクライブする必要があるので、新規ユーザーを呼び込めます。ゲームデベロッパーとの間では詳細を詰める必要があるでしょうけど、やろうと思えばそんな施策ができるはずです。PlayStationにXboxとかGeForce Nowみたいなクラウドゲーミングのエコシステムがあったらすごく良いと思うんですが…。

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