初フライトからわずか3日。
火星で人類史上初の動力飛行を成し遂げた NASAの小型ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」が、早くも2度目のフライトに成功しました!
前回より高く舞い上がり、地面と水平に行ったり来たりする複雑な動きも見せてくれたとのことで、滞空時間は前回よりも長い51.9秒だったそうです。
NASAのジェット推進研究所はTwitterでこのように報告しています。
Go big or go home! The #MarsHelicopter successfully completed its 2nd flight, capturing this image with its black-and-white navigation camera. It also reached new milestones of a higher altitude, a longer hover and lateral flying. pic.twitter.com/F3lwcV9kH2
— NASA JPL (@NASAJPL) April 22, 2021
でっかく行こうぜ! 我らが火星ヘリコプターが2度目のフライトを無事完了し、ナビゲーションカメラでこんなモノクロ写真を撮ってくれました。前回よりも高く飛び、滞空時間も長くなって、初めての水平移動にも成功しました。
2度目のフライトが行われたのは4月22日の午前5時30分(東部標準時間)。
今回の目標は、まず4.9メートルの高さまで垂直に上昇したのち、水平方向に2.1メートル移動してからすぐに同じ距離を逆方向へ戻ってきて、元いた場所に下降して着陸するというもの。最初のフライトと大きく異なった点は、主にこの水平移動でした。

およそ2億9000万キロメートルも離れた地球から傍観しているだけの私たちは、つい火星がどれほど過酷な環境なのかを忘れてしまいがち。でも、火星の大気濃度は地球のたった1%しかなく、重力は3分の1ほどしかなくて、しかも春を迎えている現在、地表の温度は常に氷点下で寒い時にはマイナス73℃にまで下がるそうですよ…!
だからこそ、2度目のフライトが成功したとの通信が火星から届いたとき、NASAのジェット推進研究所内に本部を置くインジェニュイティのミッションコントロール室は拍手と歓声に包まれました。以下、その様子をNASAの動画でご覧ください。
2度目のフライトの様子はまだ部分的にしかリリースされていませんが、近いうちに全貌が見れるようになるはず。こちらは19日の初フライトの様子をパーサヴィアランスがMastcam-Zを使って撮影したもので、離陸と着陸シーンだけがつなぎ合わせてあります(実際の滞空時間はもっと長かったそうです)。

科学的なミッションを担っているパーサヴィアランスとは異なり、概念実証実験に過ぎないインジェニュイティはもともと頑丈に作られていません。残念ながら、火星の環境下であまり長くはもたないだろうと想定されて、5度目のフライトを最後に火星での活動を終了する予定です。
今後も矢継ぎ早にフライトが計画されているので、超過酷なスケジュールをこなしていくインジェニュイティを引き続き見守っていきたいですね。
Reference: NASA