NASAの小型ヘリが試験飛行に向けて準備中。初めてのカラー写真を撮ったよ!

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
NASAの小型ヘリが試験飛行に向けて準備中。初めてのカラー写真を撮ったよ!
NASAの小型ヘリ「インジェニュイティ」が初めて撮ったカラー写真。Image: NASA/JPL-Caltech via Gizmodo US

いまいちパッとしませんけど、大事なのはどう撮れてるかじゃなく、だれが撮ったか。

こちらの低解像度の写真は人類が初めて他の星に送りこんだ小型ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」が、火星の表面に無事降ろされた直後に撮影したものです。火星探査車「パーサヴィアランス(Perseverance)」のタイヤが画面上部に見えていることから、撮影場所はパーサヴィアランスの真下だとわかります。

パーサヴィアランスのお腹の下に格納されたまま火星に到着し、これまで電池を充電してもらったり、火星の厳寒の夜から守ってもらっていたインジェニュイティですが、つい先週の4月3日にデプロイ作業が開始されました。作業には丸一日かかったそうで、まず横向きに格納されていたインジェニュイティを垂直のポジションへと移動させ、脚を拡張して、それから別れ際に6つのバッテリーを満タンチャージ。ひときわ緊張が高まったのはインジェニュイティを火星の表面へ10センチほど落下させる場面だったのですが、衝撃にも耐えて無事火星の表面に降り立つことに成功しました。

高さ0.49m、回転翼の長さ0.2m、重量(地球の重力下で計った場合)たった1.8kgしかないインジェニュイティ。小さいけど、なかなか頼もしいこの立ち姿!
Image: NASA/JPL-Caltech via Gizmodo US

こちらがパーサヴィアランスからみたインジェニュイティの姿。4本の脚でしっかりと火星の大地を踏みしめています。回転翼はまだ制御されている状態なので、見た目からはヘリコプターだとわかりにくくなってますね。

火星の極寒の夜

インジェニュイティが本領を発揮できるのはまだまだ先で、それまでにいくつかの試練を乗り越える必要があります。そして、インジェニュイティが直面した最初の試練は「夜」でした。

火星の夜は過酷なまでに厳寒で、気温はマイナス90℃にまで下がるそうです。そこまで温度が下がってしまうと、インジェニュイティに搭載されている電子機器やバッテリーが凍結したり、破損したりする危険があるため、サーモスタット付きのヒーターで適切に温度管理する必要があります。

パーサヴィアランスのお腹にくっついていた時にはサーモスタットが7℃に設定され、ぬくぬくしていられたインジェニュイティでしたが、切り離されて電力供給がなくなった今は自力で暖を取ることに。そこで、バッテリーを長持ちさせるためにサーモスタットがマイナス15℃に切り替えられたのですが、それでもインジェニュイティはどうにか火星の寒い夜にも耐え抜いたようです。ちなみに、インジェニュイティに搭載されている6つのバッテリーは太陽光発電により充電されます。しかしながら火星は地球よりも太陽から遠いので、太陽光の強さは地球のおよそ半分しかないのだとか。

NASAのジェット推進研究所でプロジェクトマネージャーとしてインジェニュイティを見守るMiMi Aungさんは、NASAのプレスリリースでこのように語っています。

インジェニュイティが火星の寒い夜を耐え抜くために必要な断熱材、ヒーター、そして電池容量が備わっていることを確認できました。私たち技術者チームにとっては大きな勝利です

試験飛行に向けて

今後も試験飛行に向けての準備は続きます。引き続き温度調整機能と電力系統が正常に機能しているかを確かめ、もし不具合があった場合は微調整します。その上で、回転翼から制御装置を外し、モーターを動かしてみて、ちゃんと回るかどうかをテスト。最終的にはインジェニュイティに搭載されている自動ナビゲーションシステムを確認してみて、すべてが正常だったらいざフライト段階へ進みます。

インジェニュイティの準備が整い次第、パーサヴィアランスは「Van Zyl Overlook」地点まで移動し、そこから飛行を見守ることになっています。なお、NASAによれば、Van Zyl Overlookは 2020年8月、パーサヴィアランスがローンチされてわずか1ヶ月後に急逝したNASAジェット推進研究所の故・Jakob Van Zylさんを偲んで名付けられたのだそうです。

インジェニュイティが火星の空へ舞い上がるのは早くて2021年4月11日(日)だそうで、地球にその様子を伝えるデータが転送されてくるのは翌日の4月12日(月)。

いざ火星の空へと飛び立つことができたら、最高3メートルの上空から周囲の様子を高解像度のカラー写真で捉えられるようになるのだそうです。異星の空に自ら操縦する飛行物体を飛ばすのは、人類初の試み。火星の鳥瞰図は、一体どんな新しい情報をもたらしてくれるのでしょうか。

Reference: NASA (1, 2, 3)

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