これで合成着色料ともおさらば? 科学者らが天然の青色着色料を開発!

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  • author Rina Fukazu
これで合成着色料ともおさらば? 科学者らが天然の青色着色料を開発!
Image: Rebecca Robbins, Mars Wrigley Global Innovation Center

(青色が食欲をそそるかどうかはまた別の話...!)

感覚的なものかもしれませんが、いわゆる"インスタ映え"を意識するよりもっと前の時代から、食べ物や飲み物の見た目ってやっぱりどこか大事ですよね。最新の研究によると、赤キャベツに含まれる色素を利用して、天然の青色食品着色料が開発されたそうです。

自然界で「青色」は珍しい

一般的には赤、オレンジ、黄、緑など色とりどりの果物や野菜があるなかで、という色はあまり存在しないのだとか。(ブルーベリーに敬意!)食べものにかぎらず動物、植物、鉱物など自然界でも青色は珍しく、食品だけでなく化粧品、医薬品、繊維産業などメーカー企業が青色をつくりだすには別の方法を使う必要があるのだといいます。

合成の青色着色料としては、シアン色を作るのに一般的な「FD&C Blue No.1」や、インディゴに使われる「インディゴティンFD&C Blue No.2」などがあります。天然色素ではスピルリナクチナシなどがあるものの、色合いとして望ましいシアンブルーにならなかったり、他の着色料との相性が悪かったりするようです。

Science Advances誌で発表された新しい論文によると、合成色素に代わる天然の青色色素(特にシアン)を見つけることは「業界全体の課題であり、世界中でも複数の研究テーマとなっている」ほどなのだとか。

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(左上)一般的な合成着色料、(右上)研究で新しく開発されたP2化合物、(下)スピルリナを使ったアイスクリーム。
Image: P. R. Denish et al., 2021/Science Advances

赤キャベツから「青色」を抽出する

そんななかカリフォルニア大学デービス校、オハイオ州立大学、名古屋大学、フランスのアビニョン大学などの国際的な研究チームが開発したのが、まさに天然のシアン系食用色素。十分な量を得ることができる着色料として、今後幅広い用途に使用されるポテンシャルを秘めているようです。

もともと赤キャベツから抽出される色素はが多く、青色アントシアニンと呼ばれる色素は生成されるものの、科学者チームのあいだでは、どうすれば多くの量を抽出できるかを課題としていました。

新たに発表された論文によれば、研究者らは、他の赤キャベツのアントシアニン分子を青色化合物に変換する方法として数百万種類の酵素をリストアップし、上位の候補を実験室でテスト。タンパク質設計ツールを用いつつ、合成生物学の知見を活かしつつ、高効率で必要なコンバージョンができる酵素を構築。この酵素により、赤いアントシアニンが有用な青色の抽出物に変わることが実現したといいます。

研究者らは、これを「P2-Al複合体」(略してP2)と名付けました。さらに青いアイスクリーム、青いアイシング、砂糖でコーティングしたレンズ豆などを作ったとか。「P2」は他の化合物との相性もよく、鮮やかな緑色の食用色素を作り出すといいます。

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(上)合成着色料、(左下)新しいP2化合物、(右)スピルリナで作られたドーナツのアイシング。
Image: P. R. Denish et al., 2021/Science Advances

安全性の検証は、これから

論文によると「製品に適用した新しい着色料の安定性は優れており、常温で30日間保存しても目立った色の減衰は見られない」とのこと。

もっとも気になるのが安全性ですが、食用として安全かどうかに関する評価はこれからだといいます。New Scientistによると、論文共著者である名古屋大学の吉田久美氏は、赤キャベツのアントシアニンが 「私たちの食生活のなかで長い長い歴史を持っています」とコメント。これが、新しい酵素によって生成されたアントシアニンが健康に悪影響を及ぼさないかどうかについてはまた新しい研究発表を待つことになりそうです。

ほかにも、大量生産はできるのかといった大きな課題も残りますが、こうした問題をクリアした際には、これまで合成着色料だった青色の食品の成分表に「P2」が登場する日がやってくるのかもしれませんね。きれいな青色をした食べものにどれだけ食欲をそそられるかは、本当、べつの話なんですけどね。

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