きっと世界中のみんなが放っておかない…。
スターウォーズの愛されキャラR2-D2とコラボしたガジェットは魅力たっぷり。ただ、Anker社のミニプロジェクター「Nebula Capsule II」に関してはちょっと意見が分かれるかもしれません。
まず、見た目のかわいさは否定できません。これがビデオプロジェクターとしてスクリーンに映像を出してくれるなんて、ますますソファから動けなくなる自分の姿が想像できたりして。ただ、機能や価格を細かく見ていくと、あぁ気軽に手を出せるものではないな…と現実に引き戻されてしまうかも。米Gizmodoが製品レビューをしています!
Anker Nebula Capsule II R2-D2プロジェクター

これは何:R2-D2の見た目をした小さなビデオプロジェクター
いくら:700ドル(約7万6500円)
好きなところ:持ち運びにめちゃめちゃ便利。充電式だから屋外でも使用可能。Android TV搭載でコンテンツへのアクセスも簡単
気になるところ:日中に使用するには明るさが足りない。Netflixにアクセスするには特別なアプリが必要
ミニプロジェクターということは…?
映画館のようなスクリーンを自宅に設置するのはステイホームを充実させる意味で素敵なアイデアですが、それなりのビデオプロジェクターを買おうとすると高コストで、大型・軽量の薄型テレビを買う選択肢の方が現実的に思えます。
一方、ミニプロジェクターであれば広めの庭がある人やキャンプが好きな人にとって、どこでも簡単に映画館を作れるという点で魅力的です。「Nebula Capsule II R2-D2エディション」の最大の魅力は小型で持ち運びに便利なところです。あとは、用意するのはスクリーンだけだそうです。
「R2-D2」に似てはいるけど…
ただ、そんな「Nebula Capsule II」にもちょっと惜しいなと感じることがあります。今回の「Nebula Capsule II」は、R2-D2と(ギリギリ)同じ円筒形。手足がないので、オリジナルそのものと言い切れないのが率直なところ。
ただ、起動するたびにドロイドのようなビープ音を鳴らしてくれるのはスターウォーズファンの胸キュンポイントかも。そのほかにもいろいろな仕掛けがあれば良いのですが、実際はそうでないようです。たとえば5年前のハイアールによるプロジェクター兼ミニ冷蔵庫のように、もうちょっと工夫が凝らしてあるのが実感できたらなと思うところはあります。
一方、ミニプロジェクターのなかではちょっぴりマンネリ感のある箱型デザインではなく、缶型になっているのは好感を持てます。飲料缶や水筒よりもちょっぴり大きいだけ(以下の画像の通り)なので、バックパックの水筒ポケットにも簡単に入れることができるんです!

性能は期待しても良さそう
印象的なのは、堅実なサウンドのスピーカーを搭載していること。これ1台で室内では十分な音量を出してくれます。低音もしっかり良い感じに聞こえます。もちろん、大きなウーファーを設置するようなサラウンドシステムにはかないませんし、より良い音を求めて大型のワイヤレスBluetoothスピーカーをプロジェクターに接続することもできます。でも、最初からしっかりめの音質が期待できるのは嬉しいですよね!
充電式のバッテリーが内蔵されていて、通常は3時間ほど持ちました。スピーカーの音量によってはそれ以下になることもありますが、延長コードを引かなくても映画を1本観れるくらいなのは便利です。これは(R2-D2の見た目以外に)他社製品より「Nebula Capsule II」を選ぶ最大の理由といえるかもしれません。

このプロジェクターは背が高めでやや重く、水平じゃない場所に置くのに苦戦することもあるかもしれません。でも、底面にスタンダードな三脚座があるので、倒れないよう自立させることができるようになっています。

実は完全なAndroid TVデバイス!
R2-D2のお尻には、プロジェクターをスピーカーとしてだけ使いたい人のためのAUXコネクタ、ゲーム機やChromecastなどのストリーミングデバイスを接続するためのHDMIポート、メディアファイルが詰まった外付けドライブを接続するためのデータ専用USBポート、そして電源とバッテリーの充電に使うUSB-Cポートがあります。
「Nebula Capsule II」は完全なAndroid TVデバイスで、無線LAN接続でDisney+、HBO、YouTubeなどのサービスからコンテンツを単独でストリーミングすることができます。
数週間使ってみるとほとんどのプロジェクターがAndroid TVを搭載していないことが不思議に思えてくるほどですが、やはり課題もあります。残念ながらNetflixの厳しい認証プロセスを満たしていないため、Google Playストアからネイティブにインストールすることができません。そのため自分でNetflixをサイドロードするか、ストリーミングサービスへのアクセスを提供するAnkerのアプリをインストールする必要があります。スマホを接続してワイヤレスマウスとして使用すればなんとかなりますが、そうでない場合Netflixのインターフェースを操作するのは結構厄介です。
どうしてもNetflixは譲れない…という場合、50ドル(約5,500円)のChromecastのようなHDMIストリーミングスティックデバイスを購入して接続するのが得策かもしれません(「Nebula Capsule II」の本来の良いところは“用意するのはスクリーンだけ”だったんですが)。


同梱されているAndroid TVリモコンはかなりベーシックで、最新のNvidia Shieldリモコンのような便利な再生コントロール機能がないのが少し残念なところ。R2-D2の頭部分にリモコンの機能のほとんどを再現したタッチセンサーボタンがあり、リモコンが行方不明になったときに便利です。
ただ、最近のアップデートが原因でプロジェクターのオートフォーカス機能に素早くアクセスする機能が作動しなくなったようで、じつはこれにかなりイライラしちゃいました。本当はリモコンの入力ボタンを数秒間押し続ければできたはずなのですが、手動でオートフォーカスを有効にするためにAndroid TVのホーム画面に戻って設定を有効にするか、プロジェクター本体の中央ボタンを長押しする必要があります。将来のアップデートで修正されますように。

昼間はほぼ使えないという弱点も
個人的に感動したのは、セットアップの簡単さ。ここ数年新しい小型プロジェクターはあまりチェックしていなかったので、起動すると自動的に台形補正(垂直方向の調整のみ)をやってくれたり、一時的に投影される基準マーカーを使ったピント合わせも好印象でした。
ただ、使用していて徐々に熱を帯びてくると、ピントがずれることが多々あります。プロジェクター本体がそれに気付いて自動的にピントを直してくれることもありますが(内蔵のモーションセンサーが移動や位置変更を検知)、多くの場合は手動でオートフォーカスを作動させる必要があります。この作業は必要以上に厄介な印象です。
画質は「Nebula Capsule II」の最大の弱点かもしれません。720pでしか映らないので文字や画面上のメニューなどの細かい部分で特に苦戦します。また、1回の充電で映画を1本見られるように充電池を最大限に活用するため、明るさはわずか200ANSIルーメン程度。これは暗い部屋であれば100インチの映像を映し出すのに十分な明るさですが、たとえ曇り空であっても、野外では昼間はほとんど使えなさそうです。

ポータブル性を重視するならAnkerの「Nebula Capsule II」は優秀なミニプロジェクターのひとつです。特にこれからの季節、星空の下で映画を楽しみたいという人にはぴったりかもしれません。これ1台にバッテリーとスピーカーが内蔵されているため、スクリーンやWi-Fiを用意すれば簡単にプライベートな映画館を作れちゃいます。
ただ、700ドルという価格はそう簡単に手が伸ばせるものではないはず。大画面テレビの代わりに使おうと考えている人には厳しいかもしれませんし、夜しかテレビを見ないという人でなければがっかりすることもあるかもしれません。
R2-D2はきっとみんな大好きですが、総合的に見るとプラス300ドル(約3万3000円)で1080p、1,000ルーメンの「Epson EpiqVision Mini EF12」のようなプロジェクターの方が良い選択肢だといえそうです。Ankerの「Nebula Capsule II」のような携帯性や利便性は薄れますが、どんな時間帯でも使うことができます。それに、クリエイティブな人ならDIYでドロイド風に仕立てることもできちゃうかも?