6月10日、カナダや北極海では日食を観測できるって

6月10日、カナダや北極海では日食を観測できるって
2020年6月21日の部分日食の最中、枝に佇む鳥。中国河北省邯鄲市にて

6月10日、カナダや北極海、ロシア付近では金環日食が起こります。残念なことに日本からは観測できませんが、アメリカやカナダ在住者向けに、トロント在住の科学ジャーナリストのDan Falkさんが今回の天体ショーについてまとめてくれました。


米国北東部とカナダ東部に住んでいる天文ファンは、6月10日の木曜に早起きをすれば、太陽が深い部分食になりながら昇るという非常にレアな光景を見ることできます。この天体イベントは、太陽がまん丸ではなく印象的な三日月になっている姿を収められる滅多にない機会なので、写真家にとっても興味深いものとなりそうです。

今回の日食は何もかも少し変わっています。月が軌道上で地球から最も離れた地点に近くなって、太陽を完全に覆うには見かけが小さくなるので、皆既食を見られる人はいません。オンタリオ州北部と高緯度北極からは、月が太陽を隠しきれずほっそりとした輪っかを残す、いわゆる金環日食を観測できます。しかしながら、430マイル(約692km)幅の金環帯が網羅するのは、人口がまばらな地域のみ(月の影はオンタリオを通った後、ハドソン湾、バフィン島、北極、そしてシベリア東部へと移動)。その一方で、部分日食を観測できる地域に住んでいる人は数千万人といます。そして特にトロントからニューヨークにかけての一帯から観測する人たちは、太陽が昇るにつれて欠け具合が最大になる姿を見ることができます(その一帯の北東にいる人たちにとって食の最大は太陽が昇った後、一帯より南西にいる人たちにとって食の最大は日の出前に終わっていることになります)

ロチェスター・ミュージアム & サイエンス・センターのプラネタリウム館長Steve Fentressさんは、「細い三日月形の太陽が昇っていくのを見るのは、これからずっと記憶に残るものです」とコメント。

観測するエリアによっては、三日月形となった太陽の2つの“角”がまず地平線から顔を出すかもしれませんが、そのような光景はほぼ平らな北東の地平線があってこそです。Fentressさんは当日の朝、オンタリオ湖南岸からの観測を計画しているそうですが、大勢の観測者が向かう可能性があります。ニューヨークとアトランティックシティの間のジャージーの海岸線も素晴らしい観測ロケーションになるはず。

もちろん最優先すべきは安全性です。いくら短時間だろうと適切な保護(太陽観察用グラス)なしに太陽を直視するのは危険。どんなに類まれな光景でも肉眼で凝視しないでください。日が昇るときや沈むときの太陽をチラッと見ても、目に深刻なダメージがないのは、「日の出や日没では膨大な量の大気を通して見ていて、その大気がある程度は守ってくれるから」とアメリカ自然史博物館のシニアサイエンティストJackie Fahertyさんは言います。「しかし100%の防御ではありません。私からの助言は絶対に日食観察用のグラスを使うこと」

アメリカ天文学会は、日食用グラスの評判の良いメーカーとそれらを仕入れている小売店の便利なリストを用意しています。さらに、ネットで見る前に地元の科学センターやプラネタリウム、地元の大学の天文学部に確認してみるのも手です。

写真を撮るなら、2013年にChris Cookさんが撮影したエンパイアステートビルディングの後ろで昇る部分日食の美しいショットや、2012年の金環日食の際にEvan Zuckerさんがニューメキシコで撮った風力タービンの列の後ろで沈んでいく欠け具合の大きい太陽のショットのような、地平線に浮かぶ日食の絶景を収めたいはず。

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2009年7月22日、インドのアーグラにあるミナレットに沈む部分日食
Image: MANAN VATSYAYANA/AFP (Getty Images)

写真家たちにとっても安全が第一です。「デジタル一眼レフだと日光はレンズを通して目に入ってくるので危険です」とZuckerさん。カメラの液晶ディスプレイ越しに見るというオプションが代わりにあればそれを使いましょう(それでもカメラのセンサーに日光が減光フィルターなしで長時間が当たることがないように気を付けるべきです。センサーを損傷する可能性があるので)。

計画を立てておけばうまくいくでしょう。日の出の正確な時間や日の昇る方角を知るには、timeanddate.comの日の出と日没時間カリキュレーターのようなオンラインツールが役立ちます。eclipsewise.comにあるデータテーブルは6月10日の日食の各地域における正確な時刻を記載しています(地域「北米」をクリックしてスタート)。

どこからの観測だろうとアラームは不可欠かもしれません。ニューヨークでは5時24分に日が昇り始めて、食の最大が起きるのはちょうど8分後、太陽の73%が月に覆われます。トロントでは日の出は5時35分で、食の最大はちょうど5分後で太陽の80%が覆われるとか(greatamericaneclipse.comのこのページの2つ目の地図には、昇ってくる太陽が北東部の各地ではどんな形で見えるか掲載されています)。

金色のリングを見ようと心に決めている人(そして6月10日の朝が曇るかもしれないと不安になっている人)には、Sky & Telescopeの編集者たちが用意した熱心な日食ファンのためのチャーター機がありますよ。ミネアポリス・セントポール国際空港からの座席数限定3時間のフライトは、スペリオル湖の北にある金環帯へと飛んで、乗客は水平線上に姿を現すドーナツ型の太陽の絶景を眺める4分半を満喫できます。

Sky & Telescopeでシニアエディターを務め、日食フライトの企画を手伝っているKelly Beattyさんは「特にこういったパンデミックでワクワクすることが少ない時期に、これは見逃せない天体ショーなんです」と語っていました。繰り返しになりますが、天気さえ良ければ地上からでも非常にレアな天体ショーを見られます。Beattyさんいわく「6月10日は早起きさえすれば、美しいと同時に神々しい光景を見ることができる」とのこと。

日本から金環日食を見られるのは一番早くて2030年とだいぶ先なので、何ともうらやましい限りです。

Source: NASA, ECLIPSOPHILE, American Astronomical Society, National Geographic, evanzucker.com, timeanddate.com, EclipseWise.com, greatamericaneclipse.com, Sky & Telescope, 国立天文台

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