ベストセラー本著者がApple入社→社員2千人以上の反対署名で即解雇

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ベストセラー本著者がApple入社→社員2千人以上の反対署名で即解雇
Image: Apple

いくらFacebookとAppleが戦争状態だからって、よく雇ったなあ。

「カオスなモンキーたち」とシリコンバレーを描いたベストセラーの作者がAppleに採用された途端、「あんな本の著者、なぜ雇うんだ!?」「人物査定はどうなってんの?」とApple社員2000人以上が反対署名!

あっという間にお払い箱になり、ちょっとした話題を振り撒いています。

採用から4週間足らずで採用取り消しになったのはAntonio García Martínez氏。ウォール街のゴールドマンサックスでリーマンショックを経験して広告スタートアップに転職し、シリコンバレーで自身も広告スタートアップを立ち上げて元いた会社に知的所有権侵害で訴えられながらもTwitterに買収され、2011~2013年にFacebook広告部門プロダクトマネジャーを務めた人です。

自身の体験をまとめた本(邦題「 サルたちの狂宴」)を2016年に上梓し、Wiredなどにコラムを書いたりしながら悠々自適の印税生活を送っているかのように見えたのですが…。まさかその本が会社復帰の足かせになるとは…。

どんな表現がOUTなのか

問題になったのは次のような記述で、SNSでも拡散されました。

「ベイエリア(サンフランシスコ湾岸地域)の女は自分では世慣れてるようなこと言うけど、もろくて弱くてお嬢さん育ちでナイーブで使い物にならないやつばかりだ」


「偉そうに女性の権利を主張するだけして二言目には自立を自慢するが、いざパンデミックや侵略が起こった日にはどうだ。ただの足手まといなお荷物になるだけではないか。散弾銃の弾の箱とかディーゼル缶のほうがまだ役に立つというものだ」


「(スタートアップに調達を取り付けるのは)とっかえひっかえ5人の女に言い寄るようなもので、エクイティラウンドは5人の女を口説いてシックスサムに持ち込むようなもの」

ほかにもインドなどの訛りや女子の容姿をバカにする差別表現も随所に散りばめられていたようですよ? 「すべての敵に捧ぐ」という副題とともに、まるでシリコンバレーに喧嘩売るかのような内容で、女子社員からは「女だっていうだけでこんな風に思う男と机並べて働くなんて」といった声も寄せられていました。

「ダイバーシティとインクルージョンを是とするAppleの社風と相容れないものだ」と社員たちは採用見直しを求める嘆願書を提出。上層部が採用取り消しを決めたのはその数時間後のことでした。はやっ…!

もうシリコンバレーの地は二度と踏めないだろうと言われています。ご~ん。

本人の反論

García Martínez氏は何日か経ってからこんなツイートを流していますよ。

1. 広告チームに誘ってきたのはAppleのほうで、元同僚を通して話がきた。広告業界の経験、特にデータとプライバシーの実績を買ってくれたそうで、Appleの取り組みと重なるということで、仕事を辞めてきてくれと説得された。


2. Appleのためにそれまでの生活は捨てた。ワシントン州の家は自分の手で建てたものだったけど、それも売って引っ越したし、外の媒体の仕事も将来のライティングの夢も投げ出して、Appleでこれから何年もキャリアを積み上げることを目標にしていたのに。


3. Appleはライティングのことも充分承知のうえの採用だった。リファレンスに記載の人たち(新規採用者を知る人たち)への照会でもベストセラー本の内容と現実の職務態度に質問が集中した。著名なバレーのVCと経営陣はみな喜んで後押ししてくれた。


4. Appleとは「納得ずくで別れた」のではない。即決でAppleにクビになったのだ。


5. Apple側は声明を出したが、それは在職中によからぬ素行があったと明確に示唆する内容だった。これは名誉毀損であり、断じて事実ではない。

…なんかこのまま本1冊書けそうな勢い。てか、カオスモンキーはこの一連のいざこざで微妙に売れてるらしい…。ただでも起きないわ…。