米独占禁止当局、アップル名指しで製品修理独占の実態改善を求める

米独占禁止当局、アップル名指しで製品修理独占の実態改善を求める
Image: Alex Cranz/Gizmodo US


製品修理の権利はメーカーにない、消費者にあるもの。

米連邦取引委員会(Federal Trade Commission/FTC)は、約2年の歳月をかけた、製品の修理に関するメーカーの制限についての報告書「Nixing the Fix」を発表、修理に関する消費者の選択肢を制限するために設けている妨害を正当化する証拠は乏しいと記載。

つまり、メーカー正規の修理以外認めないような現状はダメ(特にApple)、改善しなさいと、アメリカの公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関(いわゆる独占禁止当局)が明確に警告しているんですね。

FTCによる問題リスト、名指しされるApple

この長文の報告書は、2019年に開催されたFTC のワークショップの中で検討されたもので、その後議会は、この問題の調査を継続するよう要請しました。修理の権利を養護する団体は、製造メーカーが修理の権限を独占して不公平に市場を操作していると警鐘を鳴らしていますが、メーカー側は現状のままでも市場は問題ないと反発してきました。超党派のFTCの報告書は、これを断固として否定。「メーカーは修理の制限について多く説明をしてきたが、その大半は記録に裏付けられていない」と結論づけています。FTCが強調している問題のリストは広範にわたっていますが、内容は以下の通り。

・マグナソンモス保証法に違反し、日常的に保証が無効になっている

・修理を妨げたり複雑にしている製品設計

・部品や修理に関する情報が入手できない

・第三者による修理は「安全性を低下させる」ことを意図したような設計

・消費者をメーカーの修理ネットワークに誘導するようなポリシー

・第三者の修理部品を誹謗中傷する行為

・ソフトウェアロックとファームウェアアップデート

・エンドユーザー向けライセンス契約

・(メーカー外による)独立した修理をシャットアウトするための手段として、特許権や商標権を行使する企業

また報告書では、この修理制限によって、低所得者層や有色人種のコミュニティに大きな負担をかけていることも指摘。「多くの黒人が経営する中小企業は、修理・メンテナンス業を営んでおり、これらの中小企業が直面している困難は、有色人種が経営する中小企業に不均衡な影響を与える可能性がある」と報告書には記載されています。

この修理制限は、サービスが行き届いていない地域コミュニティの中小企業経営者に損害を与えるだけでなく、自宅にブロードバンドインターネットがなくてスマートフォンに依存している低所得者層にとっても、経済的負担が大きくなる可能性があるとしています。

またFTCは、パンデミックの影響で、消費者は自宅で仕事をしつつ製品を修理することが困難になり、この問題がさらに悪化したことを強調しています。さらにサプライチェーンの不足による部品の入手が困難になるなどで、顧客は家電の修理に数ヶ月を待つこともあります。修理するには、正規の修理工場を通さなければならないため、多くの顧客が壊れたコンピュータやその他の仕事に必要なガジェットの修理を何週間も待たなければならず、ユーザーは在宅勤務やリモート・ラーニングの時代には耐えられない状況となっているとも指摘。

テック企業の中でも、Apple(アップル)は、「修理制限ポリシーを持つ企業の具体例」として名指しされる不名誉を授かりました(この記事を読んでいる方は、このAppleの不名誉に驚くことはないと思いますが)。

アップルはこれまでも独立系の修理業者を敵対視し、顧客には事前に承認された正規の修理業者の利用を促しています。また、修理マニュアルへのアクセスを制限し、電池劣化iPhoneを意図的に低速化させていたことも問題になりました。

この報告書では、現状をどう改善するかについて、新たな法律の制定、マグナソンモス保証法の強化、自動車業界のような自主規制、製品の修理可能スコアの透明化、そして、昨年家電製品の長寿命化と修理の容易化をメーカーに求めた欧州連合(EU)の事例を参考にすることなどの提案がなされています。またFTCは、(第三者による)独自修理を理由に、保証を無効にしたメーカーを報告するよう、プレスリリースツイッターで消費者に呼びかけています。

    あわせて読みたい