棺に書かれた名前は別人だった。最新技術で調査したら史上初の妊婦のミイラと判明

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
棺に書かれた名前は別人だった。最新技術で調査したら史上初の妊婦のミイラと判明
Image: Courtesy Warsaw Mummy Project

女性のミイラ→いや男性のミイラ→やっぱ女性のミイラ→なんと妊婦のミイラ!

2,000年前の聖職者の男性だと思われていたミイラが最近の放射線検査で、実は女性でさらには妊婦だったことがわかったというお話。

学術誌「Journal of Archaeological Science」に掲載されたポーランドの調査チームの研究論文によると、このミイラは史上初の妊婦のミイラだったそう。もともとは1826年に「女性のミイラ」ということでワルシャワ大学に寄付されたミイラでしたが、1920年代と1960年代に棺に刻まれた象形文字を翻訳したところ「Hor-Djehuty」というエジプトの男性聖職者の名前が書かれていたことがわかり、さらに1990年代に行なわれた放射線検査でミイラが男性だと確定されました。しかし、最近の研究で「このミイラが間違いなく女性であることが証明された」と論文には記されています。

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Image: W. Ejsmond et al., 2021/Journal of Archaeological Science

実は、ミイラが元々埋葬されていた棺とは違う棺に移されてしまっていることは多々あり、ただ単に違う棺に入れられてしまったのか、もしくは19世紀の古物商の商人が適当な棺に入れて売ったのかは定かではありませんが、このミイラも棺の間違えで性別の勘違いが生まれてしまったようです。

放射線検査とCTスキャンで性別は女性だと確定したこのミイラですが、巻き布の中に何が隠れているのか、正確な年代や病気などがあったかなどを調べるためにもう一度検査をしていると、なんとびっくり胎児がおなかにいることがわかったのです。

「最初は目を疑いました。まったく予期していなかった発見でした。何人ものスペシャリストを集めて話し合った結果、やはりこれは胎児で間違いないと結論づけました。骨盤の中にいて母親と一緒にミイラ化されたのです」と研究チーム。

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Image: W. Ejsmond et al., 2021/Journal of Archaeological Science

頭の大きさから26週〜30週くらいの胎児だったと見られています。母親も外見から妊婦だと認識されていたはずなんだそう。胎児の保存状態は乾燥で骨が 縮んでしまうなどあまりよくなく、体の他の部分の計測は難しそうだとのこと。

歯の状態から母親の年齢は20歳〜30歳ほど。古代エジプトの都市テーベの王家の墓から発掘されたこともあり、おそらくこの女性はテーベの上流階級の人間だったであろうといわれています。彼女の遺体は丁寧にお守りと一緒に布に包まれてミイラにされていたとのことです。これまで胎児のミイラは見つかっているんですが、母親の体の中に胎児がいる状態のミイラというのは初めてだそうです。

「防腐処置を施した死体から胎児を発見するのは大変むずかしいことです。というのも、この時期の胎児の骨はとても小さく見逃しやすいからです。胎児を発見するためには大変性能のよい機械を使う必要があります。これまで胎児のいるミイラが見つかって来なかったのは以上のような理由があります」と研究チームは語っています。なぜ腐敗処理の時点で胎児が取り出されなかったのかは、子宮の硬さや宗教上の理由が考えられますが、2,000年も前のことなので想像することしかできないというのが本当のところ。

今後は母親が亡くなった時の健康状態を組織を採取して調べていくそうです。もしかすると古代の妊娠について新しい発見があるかも?

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