よし、寝よう。
朝起きたらまずコーヒーという人は多いと思います。筆者もそのひとりで、何をするより、まずはコーヒーです。
しかし、新しい研究によると、カフェインを摂取しても認知機能は向上せず、むしろ睡眠不足によってミスが発生する可能性があるとIFLSが伝えました。
276人の被験者を対象としたこの研究では、さまざまな難易度の課題を、
1.起きているとき
2.実験室で徹夜したあと
3.家に帰って寝たあと
で、それぞれ完了する能力を比較したそうです。
2番目の課題を行なう前に、一部の被験者には、カフェインを200mg、その他の被験者にはプレセボ(偽薬)を摂取させ、カフェインが睡眠不足による障害を軽減するのか検証したとのこと。
Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, & Cognitionに掲載された結果によると、カフェインはタスクを完了するのを助けているけれど、睡眠不足のグループと比較して、タスクの完成度をあげていたわけではなかったそうです。論文の中で、著者のひとりであるKimberly Fenn博士は次のように書いています。
睡眠不足は、どのタイプのタスクにおいてもパフォーマンスを低下させました。しかし、カフェインの摂取は、簡単なタスクを成功させる手助けになることがわかりました。一方で、一連の手順を決められた順序で、漏れや繰り返しなく実行するプレースキーピングにおいては、カフェインはほとんど影響がありませんでした。カフェインは目を覚まして作業に集中する能力を向上させるかもしれませんが、医療ミスや交通事故などの原因となるミスを防ぐ効果はあまり見られませんでした。
質の高い睡眠は本当に大事
医療ドラマなんかで、睡眠もままならず、コーヒーを流し込むように飲んで次の手術に挑む…、なんてシーンがありますよね。しかし、あのシーンを当たり前だと思っていると非常に危険というわけです。
IFLSによると、時間外の手術は、午前中の手術に比べて死亡率が高いことが判明しており、疲労が医療の結果に関与している可能性が示唆されているそうです。
睡眠不足がなぜ認知機能に影響するのかは、今のところ不明だそうですが、ワーキングメモリや、注意力、意思決定力が低下することはよく知られているそう。つまり、医療従事者はもちろんのこと、重要な意思決定をするような人にとって睡眠不足は大敵ということになります。
職場でのパフォーマンスをあげるなら、カフェインよりも睡眠を取れる環境を用意する方がよさそうです。
前述のFenn博士は
もし、カフェインが睡眠不足の条件下で、手続き上のミスを明らかに軽減させることがわかっていたら、外科医やパイロット、警察官といった、十分に睡眠が取れない状態で危険が伴う仕事をしなければならない人たちにとって、幅広い意味を持ったことでしょう。しかし今回の結果は、睡眠を優先させることの重要性を強調しています。
とまとめています。
カフェインは役に立たない?
そんなことはありません。すでに書いたように、シンプルなタスクを完了させるためには役立っています。
ただ、カフェインは目を覚ましてくれる効果はあっても、認知能力は向上させてくれないので、眠い状態で仕事をしても、ある程度はシャキッとしていられますが、結果はそこまで変わらないのです。
本来ならしっかりと寝る環境を作るべきなのでしょうが、どうしても頑張らないといけないときは、カフェインよりも短時間だけでも体を休める「パワーナップ」をした方がよさそう。
ま、10分だけ、と言いながら1時間寝てしまうなんてザラなんですけどね…。
Source: IFLS