今世界で一番注目を集めるインフルエンサーは中国のはぐれゾウ。しかしその背景は…

今世界で一番注目を集めるインフルエンサーは中国のはぐれゾウ。しかしその背景は…
Image: Shutterstock

世界中から固唾を呑んで見守られるインフルエンサー、現る。

新進気鋭のTikTokerでもなければYoutuberではありません。スマートフォンを持つことすらできないのに、世界中から注目を集めるインフルエンサー。それは、タイトルのとおり、中国のゾウたちです。

15頭のアジアゾウの群れは雲南省南西部の自然保護区から離れ、これまでに500kmの距離を北上し続けています。このゾウたちがいつ故郷を離れ移動し始めたのかは正確にはわかりませんが、昨年3月に地元の人がゾウの群れを発見したことから、中国当局が気付いたと見られています。

専門家の間でも、ゾウたちがなぜ旅を始めたのかはっきりした見解は出ていません。経験の浅いリーダーが道を間違えてしまったのではないかとか、自然保護区が密集していたり荒廃していたのではないかとか、新しい生息地を探しているのではないかなど言われています。

はっきりしていることは、このゾウの群れがどこに向かおうと世界中から注目され続けることです。中国の新華社通信によると、24時間体制で10台以上のドローンがゾウを監視していて、世界中がゾウの中国放浪の旅をライブストリームで見守っています。

800万人以上が動画に釘付けに

先週は雲南省昆明市近くの森で、旅を一時中断してお昼寝をしているゾウたちの様子がカメラに捉えられました。大人のゾウが寝ている間に子ゾウがその上で遊んでいる様子を800万人以上の人たちが見守っていました。そしてゾウの群れは再び動き出しました。

行き先がわからないゾウたちの長旅は、中国当局の手厚いサポートのもと世界中から優しく見守られていますが、実際は悩みの種でもあります。この1カ月間だけでも、当局はゾウが渡れるように道路を封鎖したり、人工密集地への侵入や農地への被害を防ぐためにおやつを与えるなど、ゾウの旅をエスコートしてきました。しかし、すでに約100万ドル(約1億1000万円)の農作物の被害が発生したり、自動車販売店に侵入する様子を捉えた動画もあります。

しかし、アジアゾウが絶滅の危機にひんしている事実を考えると、このはぐれゾウたちを責めることはできません。20世紀初頭には、ペルシャ湾からインド、中国に、10万頭以上のアジアゾウが生息していたといわれています。しかし、密猟や生息地の減少によりゾウの数は激減し、中国では主に雲南省南部にわずか300頭ほどが生息するだけです。もしかしたら本当にこのはぐれゾウたちは、この現状を世界中に伝えて助けを求めるべく旅をしているのかもしれません。

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