悪夢ではない…?
今月は、新しく数々の便利な機能を追加してくるiOS 15の話題でもちきりです。早く秋の正式リリースがやってこないかな? 楽しみで楽しみでしかたないって人もおられることでしょう。でも、ちょっと待って! 米Gizmodo編集部のAndrew Couts記者は、もしフルにiOS 15の全機能をiPhoneで使ってしまったなら? 本当に本当に大丈夫? 少し立ち止まって考えるようにもすすめていますよ。
Apple(アップル)が発表したiOS 15のおかげで、スマホをありとあらゆる便利なデバイスの代わりにしてしまう流れが、大きく加速してしまうことは間違いありません。とりわけ新機能のいくつかは、利便性を大いに向上させるものですけど、本当に全面的に頼りきってしまうと心配な側面もありそうです。
もっともボクが懸念しているのは、iOSのWallet。あまりにも便利になりすぎなのはわかります。ただクレジットカードやプリペイドカードをアップロードして管理できるだけでなく、すでに一部で対応していた自動車のデジタルキーとしての機能を大幅に拡大。家のスマートロックとして、タッチで施錠も開錠もできますし、免許証から公的なIDカードまで、さまざまな身分証明としても使用できてしまいます。
つまり、もしもiOS 15で、Walletの全機能をフル活用してしまったとしたら、もはやiPhoneは、家のカギになり、車のカギになり、免許証になり、クレジットカードになり、そして携帯電話ともなるわけですね。これからはカギも財布も持ち歩かなくってよくなります。サングラスとiPhoneさえ手に持てば、それで外出オッケー。すばらしいことではありませんか? そうです、そのiPhoneを落としたり、盗まれたりさえしなければね。
別にiPhoneを、ここで列挙したすべての機能において、バックアップの役割で使っていく人はまだよいでしょう。財布を出先でなくしましたか? でも、iPhoneでも支払いができるから、とりあえずは大丈夫。iPhoneをなくしましたか? まあ、でも、財布は手元にあるから、とりあえずの買い物は大丈夫。ところが、今回の発表で、こういうバックアップ的には、もうiPhoneを使わず、むしろ、完全にiPhoneのWalletに頼りきってしまう人のほうが多くなるような気がします。iPhoneでなんでもできるから、ほかのものはすべて家の片隅に置きざり。そんな状況で、さて、外でiPhoneをなくしてしまったなら?
なにをそんなに大騒ぎしているのでしょうか? いまやAppleは、探す(Find My)機能を強化しまくってくれているので、たとえなくしてしまったとしても大丈夫。なんといってもiOS 15からは、AirPodsまで探せるようになりますからね。結局のところ、人というのは、しょっちゅう大切なものをなくしたり盗まれたりするのですから。
もしApple Watchユーザーであれば、かなりの確率で、すべてを失って困るという事態には陥らないことでしょう。さすがにApple Watchまで、腕から外していてなくしたり、盗まれたりしてしまったというシーンは、そう日常的には起きないと思われます。Apple Watchから、iPhoneを探せばなんとかなりそうです。ただし、現在のありかが判明しても、そのiPhoneを取り返せるかどうかは別問題でもありますが。あるいは、身近にコンピュータを使える環境にあった場合も、やはりAppleアカウントにログインし、それで探せばなんとかなります。あるいはあるいは、だれか別のスマホを使っている友だちに頼み、iPhoneを探すを実行してもらうことだってアリ。ただし、このすべてがそろわない場合も、意外にあるものですよね?
たとえば、こんなシーンを想像してみてください。いま家から遠く離れた場所に来ています。iPhoneが、まったくどこへいってしまったのか見当もつきません。だれも知り合いはいません。だから、iPhoneを探すを実行不可。電話もかけられません。車はあります。でも、カギがないのと同じなので、どこへも行けません。そもそも免許証もなくしたわけですしね。あと、お金も一切ないのと同じなので、もはやジ・エンド。
ここまで極端にiPhoneだけに頼りきってしまう人は、もちろん、iOS 15が出たからといって、それほど大多数ではないこともわかります。車のデジタルキーも家のスマートロックも、まだそもそも対応していない生活環境だってケースは少なくないでしょう。しかしながら、あまりにも便利にiPhoneのみに頼りきってしまうライフスタイルが日常となったとき、突如として訪れる悪夢のような瞬間があることも、覚えておいたほうがよいのかもしれません。