愛犬に虫でできたペットフードをあげてみた

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  • author Molly Taft - Gizmodo US
  • [原文]
  • 中川真知子
愛犬に虫でできたペットフードをあげてみた
Image: Molly Taft - Gizmodo US

コオロギは普通に香ばしくて美味しい。

ペットと暮らし始めると、ペットに与えるものはすべて「いいものを」って思いませんか。筆者はかつて一緒に暮らしていたポメラニアンの食べるものを、実際に自分でテイスティングして選んでいた時期がありました。

今年、黒いラブラドールとダックスフントのミックスであるTレックス君と暮らし始めたMolly Taft記者も、同様に食べ物で悩んでいる様子。

そして、「」というアイディアが思い浮かんだみたい。

というわけで、今回は米GizmodoのMolly Taft記者による「愛犬に虫でできたペットフードをあげてみた」をお送りします。


多くの人がそうであるように、私も2021年に入ってから食肉を減らし、野菜を多く摂取するようにしていました。なので、新たに家族に加わったTレックスのために牛肉が入ったフードを与えるのはいかがなものか、と思ったのです。

ペットフードは製造過程で想像以上に環境を破壊しています。アメリカには約1億6300万匹の犬と猫がいると言われており、必要とするペットフードは膨大な量になります。あるUCLAの研究では、ペットフードは米国の食肉生産が環境に与える影響の25〜30%の占めており、年間6400万トンもの温室効果ガスを排出していると推定されているそうです。

インスタグラムの広告にあるような「人間も食べれられるドッグフード」や「最高級肉を使ったドッグフード」、「その場で調理するドッグフードミールキット」なんて最悪です。犬は雑食性で、さまざまな食物からタンパク質を摂取することが可能。一説によると、人間の廃棄物を食べて生きてきたオオカミが、犬の先祖ではないかと言われています。

しかし、過去10年ほど、高級タンパク質を使った「プレミアム」ペットフードが業界で大ブームとなっており、UCLAの研究者は、ペットフードの高級肉トレンドが人間が行っている気候変動や土地利用のメリットを相殺してしまうのではないかと懸念するほど。

そこで、コオロギの出番です。コオロギやミルワーム、グラブといった昆虫は、古今東西で食されています。中でも、コオロギにはタンパク質や脂肪などの栄養素が豊富に含まれ、畜産に比べて資源の使用量が大幅減

WHOは昆虫が今後数十年の世界の食料不安を解消する「大きな可能性」を持っているとすら言っています。しかしながら、欧米人は昆虫食に二の足を踏んでいる状態なんですよね。まぁ、その気持ちはわかります。チャレンジ精神旺盛なタイプな私でさえ、主なタンパク源をコオロギから摂取したいか?と言われたら、「yes」という自信がありません。

一方で、私の愛犬は毎日同じものでも飽きずに喜んで食べています。だったら、サステナブルで健康的なタンパク質を主食とすればいいじゃない、と思ったんです。

そしてこの哲学は、コオロギを使ったドッグフードやおやつを作っている会社のJiminy'sのAnne Carlson社長のモチベーションにもなっているのだとか。

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Image: Molly Taft - Gizmodo US

「人間の場合、どんなに好きな食べ物だとしても、毎日は食べませんよね。しかし、犬の場合は違います。与えられたものを食べています」

彼女は、常に食べる食料を変えることで、大きな変化が生まれると説明しています。過去の研究結果のもと、コオロギが犬の良質なタンパク質であることを確認したCarlson氏は、FDA(米国食品医薬品局)がペットフードの基準を定めるのを助けるAssociation of American Feed Control Officialsと協力して、研究を始めたそう。

コオロギとクロバエの幼虫(グラブ)は今年始めに承認され、昆虫が主なタンパク源となったJiminy'sのおやつやフードが誕生しました。

同社の「エコ計測器」によると、Tレックスのような体重18キロの犬が、鶏肉を主原料としたフードからJiminy'sに変えると、年間383,883ガロン(約1452kℓ)節水でき、500マイル(約805km)以上のドライブに相当する排出量を削減できるそうです。(牛肉ベースのフードから変えた場合、この10倍も削減できるのだとか! )

これは環境だけでなく、愛犬のためにもいいことと言えるのでは。私はTレックスが昆虫食を気に入ってくれるのか、そして昆虫食のフードに変えることでどう変化するのか興味がありました。そんな私の知的好奇心を満たすように、Jiminy'sが、カリカリとおやつの入ったサンプルを送ってくれたので、早速試してみることにしました。

あ、ここでみなさんに伝えておかないといけないことが。

まず、Tレックスはグルメではありません。ペットの中には、とてもグルメで好き嫌いが激しい子もいるのは知っていますが、Tレックスの場合、脳が「食べ物」と判断したものはなんでも喜んで食べます。キッチンの床に落ちている「何か」ですら、食べ物だと思ったら拾い食いしているくらいです。

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Image: Molly Taft - Gizmodo US

ただ、そんな前提があったとしても、私はコオロギのカリカリが今現在食べているピュリナのチキン&ライスドライフードと比較して食いついてくれるようになるか、結構努力しました。

手始めに味覚テストと称して、右手にコオロギカリカリ、左手にピュリナのカリカリを持ってみました。驚いたことに、Tレックスはコオロギカリカリを先に食べ、次にピュリナを食べました。

好反応だったので、次に獣医の指示に従って、Tレックスの既存のフードにJiminy'sのコオロギカリカリを少量混ぜていきました。数日経過するとTレックスは朝食と夕食にコオロギカリカリを喜んで食べるようになりました。観察している限り、消化器系などに問題もなさそうです。

サンプルボックスに入っていた製品の中で、個人的にヒットだったのがトレーニング用のおやつです。Jiminy'sのおやつはエンドウマメとサツマイモに糖蜜、ニンニク、ローズマリーが入っているのですが、かなり肉っぽい匂いがするのです。Carlson氏いわく、この独特の匂いは、犬よりも人間向けなのだとか。

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Image: Molly Taft - Gizmodo US

「Jiminy'sの最終消費者は犬ですが、まずは飼い主に気に入って手に取ってもらう必要があります。Jiminy'sのタンパク源は珍しいので、嗅いだことのある匂いだな、味も悪くないだろう、これなら買ってやってもいいかな、と思ってもらわないといけないのです」

人間にとってもいい匂いというのは、犬にとってもいいはず。実際、おやつの袋を開けた瞬間からTレックスは大喜びで、もらえるならなんでもするぞ、といった意気込みすら感じられました。1週間経ってもなお、カボチャやサツマイモのおやつに同じ反応を見せます。他の肉入りトレーニングおやつよりかなりお得な価格設定になっていることもあり、今後も買い続けると思います。

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Image: Molly Taft - Gizmodo US

ただ、Jiminy'sのコオロギカリカリを全力でプッシュできていないのは、私自身、価格の面で悩んでいるからです。

というのも、コオロギカリカリは高価な部類に入るんですね。1.6キロの袋だと1週間しかもたないのに、20ドル以上するのです。ピュリナは0.45キロで約1ドル。つまり、ピュリナだと1.6キロで9ドルくらいで購入できることを考えると、5倍以上するという計算になります。環境のためと言われればそれまでなのですが、さすがにこの価格帯では、変化をもたらすほどユーザーに広く受け入れられるとは思えません。

Carlson氏によると、Jiminy'sの製品で最も高額なのはコオロギの粉なのだそう。これはコオロギを産業規模で養殖するための最良の方法を模索している最中だから。養殖場が増えて技術が磨かれれば、すぐに効率化されるだろうと予想しています。その他のタンパク源としてミルワームが市場に出回り始めているので、業界は生産量を増やして、コストを下げることができるでしょう。

大手ブランドも、タンパク源を変えるというアイディアには注目している様子。ピュリナはドッグフードにコオロギ(とコイ)のタンパク質を使う会社を所有しており、去年11月にはピュリナブランドとしてクロバエの幼虫を使ったキャット/ドッグフードをスイスで発売しています。

また、4月にはMars Petcareがイギリスで猫用昆虫食をローンチしています。

カールソン氏は、昆虫ベースのフードに切り替える人が増えれば増えるほど良いと言います。

「時間が経てば、多くの競合他社が出てくると思いますが、私は大歓迎です。変化をもたらすことができる限り、多くの参加者を受け入れる余地があると思っていますよ」

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