カリフォルニア、「浮体式洋上風力発電所」の開発に向けて一歩前進

カリフォルニア、「浮体式洋上風力発電所」の開発に向けて一歩前進
Image: Jeff J Mitchell/Getty Images

バイデン政権は先日、カリフォルニア沖に洋上風力発電所を開く計画を発表。その計画には新たな技術が導入されるようです。

デブ・ハーランド内務長官は声明文の中で「今日の発表はクリーンなエネルギーの未来に進むことに熱心なパートナーとの数カ月にわたる積極的な関与と献身を反映するものです」と述べていました。

この計画によって、開発業者らは中央カリフォルニアのモロ・ベイ沖と同州北部の沿岸に近いハンボルト沖の2つのロケーションに商用規模の洋上風力発電所を設置できるようになります。政権いわく、その2カ所を合わせれば160万世帯分を賄うには充分な電力量を生成できるとか。この計画は意外にも、カリフォルニア沿岸を実験や軍事作戦に使って以前はそういった計画をはねつけていた軍からのサポートを受けています。しかし、そんな大きな障壁を取り除いたとしても、太平洋で洋上風力発電所を建設するには物理的な難しさも伴います。

安定した風力エネルギーが得られる「浮体式風力タービン」

世界的に見てほとんどの洋上風力発電所は、タービンをコンクリートや鋼鉄で地面に固定できるよう浅瀬に建設されています。しかし西海岸の海底の地形は水深がすぐに深くなるため、着床式の風力タービンでは不可能です。そのため開発業者たちは、同地で風力を動力源として利用する新たな手法を考え出さなくてはなりません。

そこで、杭の代わりにケーブルで繋がれた浮体式風力タービンの登場です。遠くまで流されるのを防ぐため、海底に下ろされる錨には鎖とおもりで補強も可能。ホワイトハウスが出した声明文には「新たな洋上風力発電の技術がカリフォルニア沖の水域に配備される」と綴られていました。

開発業者はこの技術があれば、着床式の風力タービンよりも速くて安定した風力エネルギーにアクセスできるようになります。さらに着床式風力タービンだと沖合の風力資源を推定40%しか取り込めていないことから、浮体式は世界における風力発電の発電量を増やせるかもしれません。

この浮体式風力タービンは比較的新しい技術で、世界初の浮体式洋上風力発電所は2017年後半にスコットランド沿岸で発電を始めたばかり。それ以降、およそ20カ所以上で実現されていますが、米国や商業規模で運用されているものはありません。メイン州の開発業者は現在、浮体式洋上風力発電所の稼動を押し進めていますが、苦戦を強いられているので、この技術を米国内で初めて配備するのはカリフォルニアになるかもしれません。

The Business Network for Offshore WindのLiz Burdock会長兼CEOはメールの声明文で、「世界的産業からの関心はかつてないものになりますが、西海岸の開発にはエンジニアリング会社と技能を持つ労働者のための機会を創出する次世代テクノロジーにおいてアメリカの創意工夫と革新を要します」と述べていました。

浮体式洋上風力発電市場は急成長する?

開発業者らは浮体式風力タービンのある未来に向けて準備ができています。実際、地域内の数社は既に興味を示した模様。Magellan Wind社とOrsted North America社を含む連合体はカリフォルニアの海にタービンを建設しようと躍起になっています。そしてTrident Winds社とEnBW North America社はモロ・ベイ近くに1000メガワットの浮体式洋上風力発電所を提案しましたが、メイン州で起きたことと同様に漁業からの反対に遭っています。

エネルギー省が主催したサミットでGeneral Electric(ゼネラル・エレクトリック)社も研究者らが12メガワットの浮体式洋上風力発電所のコンセプトに取り組んでいることを発表。同社のモデルとシミュレーションがプロジェクトのコンセプトの証明に成功すれば、提携企業らとプロトタイプの建設へと前進するかもしれません。

浮体式洋上風力発電市場は今後数年で急成長すると予測されていて、バイデン政権はそれを支援したい考えです。ホワイトハウスは先日の声明文で、エネルギー省が「浮体式洋上風力発電技術の研究、開発、実証に1億ドル以上も投じた」と書いていました。

海洋エネルギー管理局がカリフォルニア沖の水域を開発のために正式に確保して環境的な分析を行った後、2022年中頃にはその水域のリース契約を開発業者への競売にかける予定。もしこの新技術が米国で実現すれば、カリフォルニアは世界最大級の風力発電所の1つとなるかもしれず、米国を2035年までに100%ゼロカーボン電力を達成するというバイデン政権の目標に近づけるかもしれません。

Source: The Whitehouse, NREL, NYT, Fortune, Offshore Wind California, Castle Wind Offshore, Fisherynation.com, ARPA-E Energy Innovation Summit, Renewables Now, PRNewswire, the Bureau of Ocean Energy Management,

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