18万円のスマホ……なるほど理解した。ライカってこういうブランドです

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  • author 山本勇磨
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18万円のスマホ……なるほど理解した。ライカってこういうブランドです
Image: ソフトバンク, Leica
縮尺は同一ではない

オートフォーカスもズームもできて18万円。

先ほどソフトバンクから、Leica(ライカ)が監修したスマートフォン「LEITZ PHONE 1」が発表されました。価格は税込18万7920円折りたたみスマホや、「Xperia Pro」といった特別な機能を持ったモデルたちが鎮座する価格帯です。

LEITZ PHONE 1、本体の製造はシャープが行なっていて、デザインやカメラの監修をライカが行なっている座組みだそう。スペックシートを見比べてみると先日発表されたシャープの1インチセンサー搭載スマホ「AQUOS R6」とよく似ています。というか、AQUOS R6のカメラもライカが監修しているので、この2機種は事実上の兄弟機でしょう。

中身がほぼ同じAQUOS R6の価格が13万3920円(ソフトバンク価格)ですから、LEITZ PHONE 1はおよそ5万円のコストが“スペック以外”にかかっているといえます。僕はまだLEITZ PHONE 1の実機を見ていませんが、先行ハンズオンの写真を見るにめちゃくちゃ外装が綺麗。おそらくそういったこだわりにプラスの金額が載っているのでしょう。

そこで今日はLEITZ PHONE 1が「なぜに20万円近くもするのか」その理由がなんとなく理解できるように、今までギズで取り上げてきたライカの伝説を紹介。ライカのカメラって「1台100万円」であることがよく取り立たされますが、普通のカメラメーカーではありえないビジネスをやってます。

業界標準の35mmフィルムを広めたブランド

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Image: Shutterstock.com

写真の業界標準である「35mmフィルム」、ライカはこのフォーマットを使ったカメラの始祖とされています。現在のデジタルカメラにおける「フルサイズセンサー」も35mmフィルム(24mm×36mm)のサイズに近くなるように設計されたものですから、その影響はかなり大きいといえます。

35mmフィルムカメラは、1910年代にライカの前身エルンスト・ライツ社のオスカー・バルナックによって試作されたのが始まりと言われています。当時の写真用カメラはフィルムが巨大(つまりカメラも巨大)、かつ感度が低いので三脚必須。

オスカー・バルナックは病弱だったことから、小さくて軽いカメラを求めて35mmフィルムカメラを開発したと言われています。今思えば、スマホのようなモバイルガジェットの原点なのかもしれません。

モノクロ写真しか撮れないモデルがある

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Image: Leica Camera AG

ライカには「M型ライカ」と呼ばれる主力のカメラシリーズがあります。このM型ライカは歴史的に「レンジファインダー式」という合焦(ピント)方式を採用していて、構造上ズームレンズが使用できないという特徴があります。そしてM型ライカはオートフォーカスにも対応せず、1枚1枚ピントを合わせてシャッターを切ります。

そんなエッジな特徴を持つM型ライカですが、その印象をさらに強めたモデルがあります。それが「Mモノクローム」シリーズ。その名のとおりモノクロ(白黒)センサーを搭載していて、カラー写真が撮れません。ズームも、オートフォーカスも、カラーもナシ。ライカのなかで最も機能を削ぎ落とした究極のデジタルカメラです。

2020年発売、最新の「M10モノクローム」は定価で115万5000円(税込)。便利か否か、ハイコスパか否か、もはやそんな価値基準にないカメラ。それに共感できる人が買い、そういう人に向けて作る。そういう世界なのです。

「ライカM10モノクローム」は中判フィルムに匹敵するデジタルカメラか?

異端。しかし、これもまた一つの最先端。モノクロ撮影に特化したデジタルレンジファインダーカメラ「ライカM10モノクローム」が発表されました。カラーフ...

https://www.gizmodo.jp/2020/01/leica-m10-monochrom.html

いまだにフィルムカメラを販売しつづけている

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Photo: 照沼健太

ライカには現在販売中のラインアップに「Leica M-A」というカメラがあります。このカメラは2015年に発売された、今でも新品で手に入るフィルムカメラなんです。キヤノンやニコンも2015年・2018年にそれぞれフィルムカメラの販売を終了しており、大手カメラメーカーのなかでも現行でフィルムカメラを販売しているのはライカくらいでしょう。

しかもこのLeica M-A、電気をまったく使いません。フィルムも手巻き、露光も手動。電気を一切使わない機械式フィルムカメラのため、メンテナンスをすれば半永久的に使えるとされています。大袈裟にいえば人生を終えるまで使える。iPhoneですら現役5,6年が限界ですから、現在のガジェットとは使える期間がまったく違うことがわかります。

そんなLeica M-Aの体験は、ユーザーであるギズモード照沼さんのレビュー記事をご覧ください

いま新品で買える機械式フィルムカメラ「ライカM-A」レビュー:型落ちが宿命のデジタル製品に逆行する、一生モノのカメラ

スマホともデジタルカメラとも一線を画す、ザ・一生モノ。ここ1〜2年で急激に囁かれるようになった「デジタルカメラの買い疲れ」ですが、それは無理もあり...

https://www.gizmodo.jp/2020/04/leica-m-a-review.html

自分に言い訳をして買う「憧れのカメラ」

2017年ギズ編集部が買ったもの:なぜひとはこんなにもカメラを買ってしまうのだろう

物欲が一切つきない年でした。買い物をするときって、それを買う理由(言い訳)を見つけますよね。今年一番使った言い訳は「30歳の節目の年だから」です。...

https://www.gizmodo.jp/2017/12/buy-camera.html

そんなライカは、カメラユーザーのなかで憧れの存在。新品で約100万円、現役で使えるユーズドのM型デジタルライカでも最低40万円くらいが相場です。易々とは買えない。だから憧れなんです。

実際にギズモード編集長代理の佐々木も、30歳になった記念にライカを買ったと言っていましたし、富士フイルムの上野さんも、2000年になるから買ったと言っていました。そう、みんな自分に言い訳をして買ってるんです。そんな言い訳をするくらい買うきっかけを作るのが難しい。ライカユーザーの自分からしても、ライカって無くても困らない。けど欲しいんですよね

AQUOS R6と中身が一緒なら、LEITZ PHONE 1を選ぶ必要はないかもしれないんです。でも欲しい。ライカってそういうものなんです。

どうですか、18万円が可愛くみえたでしょう?

「今の日本のメーカーは機能性のことを言い過ぎなんですよ」ジェットダイスケがライカを選んだ理由

何かと実利的な時代、だからこそ。2月末よりギズモード・ジャパンでスタートしたカメラ特集「さよなら、プロっぽいカメラ:僕らはカメラをこう選ぶ」。この...

https://www.gizmodo.jp/2020/04/jetdaisuke-interview-march-2020.html

2019年ギズ編集部が買ったもの:人生で初めてライカを買うまで

ちょっと長くなってしまいました。ギズモード・ジャパンの編集部員が2019年に買ったものを紹介する年末企画。2019年は人生で初めてライカ(Leic...

https://www.gizmodo.jp/2019/12/2019-buylist-yamamoto.html

Source: ソフトバンク

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