シチリア島のドワーフ・エレファント、島に来てから急に小さくなった説浮上

シチリア島のドワーフ・エレファント、島に来てから急に小さくなった説浮上
Photo: Archives of the Gemmellaro Geological Museum|プンタリ洞窟で発見されたドワーフ・エレファントのほぼ完全な骨格標本

数万年前、イタリア沖のシチリア島にいわゆるドワーフ・エレファントが住み着きました。どうやらゾウたちは島にたどり着いてから程なくして矮化していった模様。最新の研究は、シチリア島にやってきたときには10トンだった巨獣が急激に縮んでいき、世代ごとに平均して200kg減っていったと示唆しています。

という環境では、島育ちではない品種とは見た目も挙動も異なる固有種が生み出されます。そのため、チャールズ・ダーウィンなどの科学者たちは諸島を研究することで、進化の過程への重要な見識を得てきました(生息する場所によって姿が異なるという現象は、ポケモンのクリエイター陣にもコンセプトを与えています)。

この分岐の一例がヨーロッパ、アジアとアフリカの間に位置する地中海の島々に存在します。そこでは先史時代にドワーフ・エレファントが歩き回っていました。このような小さな巨人の固有種の多くがずっと生息していて、約1万年前に絶滅した品種もいます。ゾウたちがどれほど小さくなったかというと、体高1.7mで体重は2トン弱と考えられています。ちなみに、アジアとアフリカにいる現代のゾウは、種類と性別によりますが体高約2~4mと体重約2~7トンほど。

小さくなった原因は食料不足

先日、Current Biologyに掲載された研究によれば、シチリア島のドワーフ・エレファントの1種は先祖がそこに住み着いてからすぐに大きな体格を失った可能性が高く、その原因はおそらく島の食糧が限られていたことにあるそうです

シチリア島から収集された古代ゾウの標本11個を英国、ドイツ、アイスランドとイタリアからの研究者チームが調べました。シチリア島プンタリ洞窟から採取されたひとつの標本のおかげで、彼らは1頭のドワーフ・エレファントのミトコンドリアDNA(母親からのみ引き継ぐDNA)の復元に成功。温暖な気候では古代のDNAが劣化してしまいがちだからこそ、この復元は注目に値するものです。そして他の証拠もあって、ゾウの矮化にかかった時間を大まかに推測することができたのです。

著者らによれば、このゾウはPalaeoloxodonという絶滅した属の仲間で、17万5500年~5万年前に生息していたとか。その直系の祖先は成体だと体高約4m体重は10トンほどになる、まっすぐな牙を持つゾウ(Palaeoloxodon antiquus)だと考えられています。研究チームは、彼らが20万年ほど前に分岐してから(進化の過程で)急速に体重が減ってきた説を立てています。彼らの最尤(さいゆう)推定値では、古代のゾウが先祖の10分の1近いサイズの体高約2m体重1.7トンになるまで、ひと世代で200kgと約4cmずつ縮んでいったそう。わかりやすく言うと現代の人間が頭胴長63センチ体重12キログラムほどのアカゲザルのサイズになるようなものだと、著者らは語っています。

今回の研究がほかの古代生物調査に役立つかも

ノッティンガム・トレント大学の古代ゲノム学と分子生物学の専門家で論文の著者Axel Barlowさんは大学のプレスリリースに、「この急激な進化プロセスに起因する矮化の規模は本当に驚くもので、最も大きい陸生哺乳類の1種において体重の85%近くが失われるという結果になっています」とコメントを寄せていました。「巨獣の子孫として、ドワーフ・エレファントの絶滅は島での進化の最も興味深い例です」とのこと。

他の研究では島嶼矮化はたいてい総体的な食糧難に由来すると示されており、研究者らはシチリア島で起きたことについても同じだろうという意見です。 そして彼らはこの研究で古代のDNAを復元するために使った技術が、温暖な気候に生息していた小さなゾウや他の古代動物の進化の旅の調査でも役に立てればと思っています。ちなみにこの研究で使われたドワーフ・エレファントの遺骨は、イタリアのパレルモ大学にあるジェンメッラロ博物館に保管されているそうですよ。

Source: Environment & Society Portal, Bulbagarden, Fossil Hunters, Sea World, Cell Press, National Geographic, Phys.org,

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