集中モードはスマホ依存脱却の切り札となるか:iOS 15ベータプレビュー

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  • author Caitlin McGarry - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
集中モードはスマホ依存脱却の切り札となるか:iOS 15ベータプレビュー

まず気持ち的に解放されるかも、と。

この秋公開予定のiOS 15パブリックベータ版が公開されました。今回のアップデートでは、ついついスマホを使ってしまう依存気味な生活を立て直すための「通知要約」「集中モード」がポイントですが、それらはほんとに効果的なんでしょうか? 米GizmodoのCaitlin McGarry記者がプレビューして、その体験を書いてます。

※この記事は、取材のための特別な許可を得て掲載しています。


iOS 14はデザインがカスタマイズできるようになってビジュアル的にオーバーホールされたのに対し、iOS 15はデザインの裏側、中身のロジスティクスが大改造されました。つまり、iPhoneの挙動をより完全にコントロールできるようになります。それによって、私たちのiPhoneの使い方も大きく変わってくるんです。

今、生活をスマホに支配されてる感がますます強くなってます。四六時中入ってくる着信音や振動音、通知表示のおかげで、リアルな人生のもっと大事なことから注意を奪われているんです。Apple(アップル)もそんなモヤモヤを認識してるからこそ、iOS 15にはiPhone体験をより注意深くキュレーションするための機能が詰まっています。この機能を使うには、ユーザー自身がある程度理解して設定する必要があり、自動的には何も変わりません。でも、しっかり設定さえできれば、スマホと生活のバランスがもっと良くなる、はずです。

私はiOS 15ベータをしばらく使ってみましたが、元々ディテールを重視する方だし、仕事柄毎日長時間iPhoneを使ってるので、「集中モード」や「通知要約」でスマホの動作を隅々までカスタマイズしていけるのは、まさに歓喜です。iOS 15にはイラッとする部分もありますが(Safariに関して、詳しくは後述)、全体的にはうれしいアップデートです。

iOS 15はまだベータで、正式リリース時には変更になることもあると思われるので、この記事では新機能全部を細かくレビューはしません。ここでは、iOS 15によって毎日のiPhoneの使い心地がどうなるか、私がチラ見したものをお伝えできればと思います。でも、もちろんiOS 15は一般にベータ公開されてるので、自分で使ってみたい!って人は、今すぐインストールできます。ただしベータ版に関する一般論として、毎日メインで使うデバイスにはなるべく入れないほうがいいです(と言いつつ私は、毎日使ってるiPhone 12 Proに入れちゃいましたが)。

そんなわけで、iOS 15のある生活がどうなるのか、見ていきましょう。

通知多すぎ問題の終焉

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通知要約機能が、すぐ見なくていい通知をまとめてくれます。
Image: Caitlin McGarry – Gizmodo US

私は通知が嫌いで、大好きです。なので長年iPhoneを使う中で、通知を送っていいアプリは絞り込んできました。たとえば仕事の後はTwitterをチェックしないようにしているし、リプライとかDMの通知は絶対オフにしてるので、なかなか返信しません。でも、この設定のせいで、タイムリーなことを見逃す可能性もあります。でも、新たに加わった「通知要約」でもっと細かいコントロールが可能になり、通知を全部見るか・全然見ないかではなく、一定の時間帯ごとにまとめて受け取れるようになります。小さなことのようですが、まるで自分の脳みそを前よりうまくコントロールできてるような感覚になるから不思議です。

設定は簡単です。設定から「通知」を開くと「通知要約」のオプションが見えて、そこから要約を見る時間を選択できます。私は仕事前のスマホチェックをする午前7時15分、ランチ時間の正午、仕事を終えて運動前の午後5時45分に要約を見る設定にしました。どのアプリが通知要約に入るか、どのアプリが個別で通知できるかもカスタマイズできます。通知要約を使うときは、どのアプリがたくさん通知を送っているのかも確認できるので、要約すべきか、個別に見るかそれを元に判断できます。たとえば私はニュースアプリの号外通知とSlackメッセージは個別に見たいんですが、Uber Eatsのディスカウントとかお店のクーポンとかは、どんなにおトクでも急いで見たいと思いません。

とはいえ、通知要約が実際にスマホ利用時間を減らしているかどうかは、まだ何とも言えません。私の1週間のスクリーンタイムはまだ、うわっ…と思うほど長いです。でもiOS 15のもうひとつの新機能「集中モード」は通知要約以上に効果的で、私自身まだ使い方を調整中ですが、とにかくiPhoneの使い方を劇的に変えようとしてくれてます。

フォーカスを絞り込む

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コントロールセンターから下スワイプで、集中モードに。
Image: Caitlin McGarry – Gizmodo US

「スクリーンタイム」ではアプリを使ってる時間を細かく確認できて、その考え方は良いと思うんですが、罪悪感も植え付けられますよね。特定のアプリとかカテゴリに制限時間も設定できますが、実際私は最初こそ制限を守ろうとしたものの、だんだん無視するようになって、結局はオフにしてしまいました。だから今は毎週、うんざりするほど同じような週間レポートを受け取っています。毎日4時間スマホに費やすとか、どうなんだとは思ってるんですが、それをどうやって減らせばいいかわかりません。

そこで集中モードが、救世主なのかもしれません。通知要約と同じように、集中モードではiPhoneの使い方、とくに通知関係を細かくコントロールできます。私はぼーっとInstagramをスクロールしちゃうことがありますが、それはたいてい何かミームを受け取って、それにミームで返そうとして、探すのに5分とかかかっちゃうわけです。仕事に集中したいときにInstagramスクロールのループにハマるのは、ほんとは一番避けたいんです。なので私は今、生産性向上のための集中モードの設定作りに凝ってます。

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集中モードでは、iPhoneから呼ばれる度合いをコントロールできます。
Image: Caitlin McGarry – Gizmodo US

集中モードの設定方法はふたつあり、ひとつは設定から、ひとつはコントロールセンターからです。新しくできた「集中モード」の設定をタップすると、おやすみモードをオン・オフしたり、何らかの集中モードプロフィールを作ったり、それに切り替えたりできます。私は「仕事」プロフィールを作ったんですが、それは私がパソコンで使ってるアプリ(Slack、Gmail、Airtableなど)に関しては、iPhoneでも通知を許可する設定です。特定の人たちからのテキストメッセージも通知許可してますが、それ以外の人には「今忙しいです」的な返信が行きます(返信しない設定にもできます)。忙しいって言われた人たちは、それでもメッセージを送るかどうか判断でき、そのうえで送る判断になった場合、そのメッセージは通知なしで届きます。あとは「バケーション」プロフィールも作りました。私の性格的に、休暇中に仕事メールやSlackの通知が来たらきっと見てしまうからです。

集中モードの一環でホーム画面もカスタマイズでき、要らないアプリは隠せます。私はものすごい時間をかけて、「仕事」と「バケーション」で表示するアプリを選び抜きました。「仕事」のホーム画面には、当然ニュースヘッドラインと、Spotifyと天気の小さなウィジェットを表示してます。あとは仕事で常に使ってるGmailやSlackや音声メモやメモといったアプリも入れてます。「バケーション」の方は天気が第一に来て、メールは外して、Instagramを入れてます。

記事としては、集中モードが役に立ったと言いたいし、たしかにそうなのかもしれません。ただ私自身は、この記事を書くためにiPhoneをたくさん使わなきゃいけなかったので、普通の状態でiPhone使う時間を減らせるのかどうかは確信を持って言えません。でも、言えるのは、集中モードはスクリーンタイムよりもずっと有効ってことです。スクリーンタイムが「先週こんなに気が散ってたよ!」って罪悪感を押し付けてくるのに対し、集中モードは気が散る要因をユーザーに選ばせてくれるんです。「スマホ依存したくない」って問題意識は同じなんだけど、表現の仕方を変えるだけで、だいぶ気分が良くなりますね。

FaceTimeがもっと楽しく

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iPhoneでのSharePlayは友だちと音楽を聴くのに最高。
Image: Caitlin McGarry – Gizmodo US

FaceTimeにも、遅ればせながら、みんなが使いたくなるような機能が追加されました。ミー文字も嫌いじゃないですが、ほんとは今回のアップグレードが去年くらいに来てたら良かったですね。

まずはアップルの動画・音楽パーティ機能、SharePlayから見ていきましょう。去年はコロナでみんなステイホームしてたので、私はよく友だちと同じTVを同時に見てましたが、やっぱり「一緒にいる」って感じがしませんでした。同じ動画をストリームしながら電話で話したり、音楽を聴きながらメッセージを送りあったりもしましたが、何か足りないものがありました。SharePlayを使うと、対応アプリの動画や音楽をFaceTimeに取り込むことができ、友だちの顔を見てコメントを聴きながら、動画や音楽を視聴できます。

仕組みはこうです。まずFaceTime通話を開始して、次にFaceTimeアプリから出てSharePlay対応アプリ(現状ではアップル純正アプリのみですが、今後いろんなサードパーティアプリも追加)を開きます。するとアプリ画面の上に、SharePlayを有効化するための通知が出てきます。またはSharePlayを有効化せずにコンテンツの再生を始めると、自分ひとりで視聴するのか、FaceTimeの相手とシェアするのかを聞かれます。いずれにしても簡単にオンできるしラグもありません。米国の反対側にいる友だちと一緒にApple TV+の動画をストリームしたときは、同時に会話もしてましたが、相手の声もはっきり聴こえるし、動画もしっかり見えました

SharePlayはすごく気に入りましたが、特にiPadで動画を見るときにぴったりだと思います。でもiPhoneでも、FaceTime中にSafariのページをサッとシェアしたり、Apple Musicから好きなアーティストの新曲を聴き込んだりできるのがすごく良かったです。

SharePlayが使えるのは今の段階ではアップル純正のApple TV+やApple Musicとかだけなんですが、iOS 15が正式リリースされたら対応サービスが一挙に増える予定です。Disney+やHBO Max、Hulu、MasterClass、NBA、TikTok、Twitch、ESPN+、Paramount+がみんな対応を表明してるし、SharePlay APIがあるのでさらに増えると思います。ただし一緒に視聴する友だち側も、少なくとも今のアップル純正アプリに関しては、そのサービスのアカウントを持ってなきゃいけません。またSharePlay使用中は、スクリーンショットを撮ったり、録画したりもできません。でも、気が利いてると思ったのは、FaceTimeの相手がスクリーンショットを撮ったら(そこには自分の顔と、空白の画面が映るはずですが)、すぐに通知が来ることです。相手が一時停止とか巻き戻しとかすると、自分側もそれに合わされます。

動画を見るならもっと大きい画面で見たいはずですが、わたしの姪っ子たちが友だちとFaceTimeしながら動画を見られることに気づいたら、モニターのある私の部屋に入り浸りになるかもしれません。YouTubeは今のところSharePlay非対応ですが、画面共有機能を使えば基本的には何でも一緒に見られるはずです。アプリ自体がSharePlay対応してるものに比べるとエレガントさに欠けますが、目的は果たせます。

AndroidもFaceTimeパーティに参加

FaceTimeには他にもいろんな新機能が追加されましたが、SharePlayの次に大きいのは、FaceTime通話へのリンクが作れて、iOS以外のプラットフォームからも参加できることです。今まで友だちや同僚とビデオ通話するにあたって、相手側のプラットフォームを確認しなきゃいけないことが何回もありました。iPhone同士ならFaceTimeが自然な流れで、Zoomよりずっとシンプルですが、Androidスマホとかパソコンを使ってる人は参加できません。でもiOS 15ではそうじゃなくなって、ほんとに助かります。FaceTimeのリンクを作れば誰にでもシェアできて、相手側にiPhoneは必要ないんです。Zoomみたいなスケジュール機能もあり、事前にFaceTime通話の予定を入れることもできますが、ちょっとおかしいのはそれをFaceTimeアプリから直接できないことです。まずカレンダーアプリを開いて招待を作成し、それからFaceTimeリンクを作る、という流れになってます。

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Google PixelでFaceTimeする図。AndroidだけどiOSライクです。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

それ以外は本当にシームレスです。私はカレンダーから、FaceTimeリンクの入った招待状を同僚でiOSユーザーのVictoria SongとAndroidユーザーのFlorence Ionに送ってみました。通知はiPhoneの方がややシームレスだったものの、AndroidのFlorenceもメールでリンクを受け取り、そこからWebブラウザを開いてFaceTime通話にアクセスできました。そのときのAndroidでの動作は、FaceTimeがスマホのマイクとカメラにアクセスするためのパーミッションを求めただけでした。FaceTimeリンクを作った私の方では、VictoriaとFlorenceが通話に参加するリクエストを送ったときに通知を受け取りました。なので単にリンクをタップするだけでは通話にアクセスできず、この点プライバシー的には大事なポイントです。

Florenceいわく、AndroidでもFaceTimeは快適に使えてました。彼女はコアなAndroidユーザーでiPhoneに乗り換えるつもりは絶対にないんですが、ときにはiPhoneユーザーに囲まれて寂しいこともあったので、これからはiPhone持ちの家族や友だちとFaceTimeしたいと言ってます。アップルがAndroidユーザーに救いの手を差し伸べてくれて良かったです。

Safariでは問題勃発

ここまでiOS 15の良いところを書き尽くしたんで、逆にそんなに良くないところも書かなきゃいけません。Safariです。

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Safariのアドレスバーがバウンスするのでかなり使いにくいです。
Gif: Caitlin McGarry - Gizmodo US

iOS 15ではSafariのデザインが大きく変わります。たかがデザイン、されどデザインで、全部積み重なると、今まで体で覚えてきた動作がつねにブロックされる感覚に襲われます。macOS MontereyとかiPadOS 15に関しても同種の悲しみを感じてるんですが、iOS 15のSafari使用感は独特かつ細かい手口で、イラッとさせてきます。

何が変わったかっていうと、まずアドレスバーが画面の一番下に移動して、片手で使ってるときにタップしやすいのはナイスなんですが、アドレスとか検索ワードを入力しようとすると画面上部に飛んで行くんです(キーボードを表示するため)。でもEnterを押すと、アドレスバーはまた画面下部に戻ってきます。すごい挙動不審だし、しばらく使ってても全然慣れません。私は手が小さいので、理論上はこの配置で恩恵を受けられるはずなんですけどね…。

あとはほとんどのオプションが、検索バーの横のメニューに隠されてしまいました。たとえばリロードボタンもなくなったんです。リロードするにはまずメニューをタップして、さらにもう1回タップしなきゃいけません。Webページをプルダウンしてリフレッシュする手もありますが、それをするにはページの一番上までスクロールするか、画面上部をタップして一番上にいかなきゃいけなくて、多分多くの人にとって直感的でない、余計な手間がかかります。このメニューにはリーダー表示オプションも入ってますが、ほとんどの人にはすぐわからないはずです。ユーザーを確実に混乱させつつ、本質的なメリットはないアップデートじゃないかと思います。

でも、Safariにタブグループができたのはすごく歓迎です。私はiPhoneではSafariのページをたくさん開けておくと収集つかなくなるので、開いたページはなるべく閉じるようにしてます。でも、iOS 15ではタブグループでページを整理できるので、かなりやりたい放題できます。旅行したい場所のタブグループもあるし、仕事関係でいつか絶対読もうと思ってる記事のグループ、コロナ生活が終わってカットオフしちゃったジーンズを捨てるときに買おうと思ってる服のグループもあります。タブグループはiPhone以外のデバイスにも同期されます。タブ大好きでiPhoneでも無制限に開きまくる人もいますが、その人たちにとっての良いニュースは、タブグループも理論上無限に作れることです。

新Safariをしばらく使っていますが、今回のデザイン変更でどんな問題が解決されたのかわかりません。Safariは前から十分良くできてます。新機能の中にも、タブグループみたいな本当に使えるものもありますが、アドレスバーとかリロードボタン、ムダに複雑になった部分は、正式リリースまでになんとか良い形に直してほしいです。

メッセージ、マップ、天気などなど

iOS 15には他にも良いところがたくさんあり、私はまだちょっと表面をひっかいた程度です。私の生活をもっと快適にしてくれてる他の機能は、こんな感じです。

Shared With You:これはメッセージアプリの新機能で、テキストメッセージの中のリンクや写真を認識して、写真なら写真アプリ、WebのリンクならSafariのホームページの中で、見つけやすい場所に置いてくれます。

Live Text:こちらはカメラで捉えた風景からテキストを抽出する機能で、やってみるとまるで魔法だし、動きもものすごく速いです。iPhone XS以降のカメラを、雑誌なり看板なり何かしら文字を含むものに向けるとその内容を読み取り、それをコピペしたり検索したり、プレビューの中で翻訳したりもできるんです。既存の画像からも読み取れて、それは自分が撮った写真である必要はありません。Live Textで読み取った文字を、メモアプリとかのテキストフィールド上にコピペもできてすごく便利です。

天気:iOS 15の天気アプリには、アップルが2020年に買収したDark Skyの機能が加わり、より細かいデータが見られるようになりました。ロサンゼルスに住んでる私より、四季の変化が大きい地域の人の方がメリットがあると思いますが、それでもこの新しいデザインが気に入ってます。

マップ:私はGoogleマップ派ですが、新しいアップルのマップはすごくきれいです。地図自体がありえないくらい詳細になったし、よりきめ細かいカーナビ機能もうれしいです。

Walletアプリに運転免許証を追加する機能みたいに、まだ公開されてないものとか、公開されててもまだ私が使えてないものとかもあります。でも全体的にiOS 15は有意義なアップグレード(Safari以外は)で、とくにテクノロジー利用の主導権を取り戻したい人にはうれしいものになりそうです。

2021/07/05 19:50追記:記事冒頭に注意書きを追加いたしました。

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