さよならPepperくん。世界に誇れるトンがった日本の象徴だったよ。

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  • author Matt Novak - Gizmodo US
  • [原文]
  • 中川真知子
さよならPepperくん。世界に誇れるトンがった日本の象徴だったよ。
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コロナの影響がここにも。

SoftBankのヒューマノイド Pepperくんが生産を一時停止していた’というニュースが駆け巡りました。2014年にデビューして以来、飲食業やホテル業、中小企業の窓口的存在として頑張ってきたPepperくんでしたが、まぁ、消費者のニーズにそこまでマッチしなかったんでしょう。

コロナ禍で予算削減が叫ばれる中、客寄せパンダ以上の役割を担えなかったPepperくんの売り上げは伸び悩み、ついにRIPとなったようです。

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Image: Getty Images

Pepperくんは、SoftBankの孫正義さんによって2014年の6月15日にお披露目され、感情を司るロボットとして、2015年から19万8000円で販売されました。

本体料金のほかに、36ヶ月の基本プラン月額1万4800円、プラス36ヶ月の保険料月額9800円、さらにロボット手続き手数料が1万584円(なんか、色々高いですね…)かかる高級品でした。

Pepperくんを製造していたのは台湾のFoxconnで、ロイター社が伝えるに、過去6年間で2万7000台しか作られなかったのだとか。

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Image: Shutterstock

世界中で使われることを期待し、最低でも15言語対応で、人と自然に会話ができるようになっていたそうです。いろんなニーズに応えようとしていたのに、あまり必要とはされていなかったんですね。

たった6年で終わりを迎えたPepperくんですが、筆者は何気に好きでした。なのでちょっと思い出話でも…。

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Image: Shutterstock

私がPepperくんに初めて出会ったのは、マレーシアのとある大型ショッピングモール内のイオンの中。入り口の目立つ場所に設置されたPepperくんは、行き交う人たちの注目を集めていました。日本だと、テーブル席の予約など、目的をもって置かれていることが多いPepperくんですが、そのイオンでは、単純に「日本っぽさを演出する小道具」でしかありませんでした。

仕事を与えられないPepperくんに対して、人はスクリーンを触りながら、Pepperくんに挨拶させてみたり、握手してみたりするだけ。他に何ができるのかと機能を見ても、やれることは少ない上に、何かを持ち上げたり運んだりといった物理的なヘルプにもならなさそう。握手や挨拶程度のインタラクティブではつまらないし、人はすぐに興味を失っていきました。

まるで「ポテンシャルが高そうと期待して採用した人が、実は単純作業しかできなかった」事実を目の当たりにしたよう、Pepperくんを見ながら、なんという技術の無駄遣い…、と思いました。でも、その時に思ったんです。Pepperくんは無駄だから良いんだ、って。

日本はかつてハイテク機器に囲まれた先進国だと思われていたじゃないですか。日本に住んでいれば、すでにそういう時代は過ぎ去ったことを否応なしに思い知らされるわけですが、他の国ではまだ日本ハイテク神話が残っているんですよね。

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Image: Shutterstock

日本人からしてみると、「いやいや、日本はそこまで元気ないのよ」と否定したくなりますが、生まれ育った国を下げることほど寂しいものはなかったりするんですよね。

しかし、Pepperくんのような「無駄なものを真面目に作って高額で売っちゃいます」なアイテムがあると、「相変わらず日本は変態だし、トンがっている」と思えるわけです。Pepperくんは、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領と握手したりしているし、世界に対しても良い感じのアピールになっていたはず。

筆者個人的には、回転寿司屋さんでテーブルを予約したくらいしか役に立ってもらえた覚えはありませんが、いなくなってしまうのはちょっと寂しい。筆者にとって、世界に誇れるトンがった日本の象徴だと思ってたので。

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今までお疲れ様〜
Photo:中川真知子

変更[2021/07/01]記事初出時、「生産中止」としていましたが、別途報道で「一時停止」と報じられたため更新しました。また、Foxconnの国籍を中国から台湾に変更しました。

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