北米の熱波、調べたら150倍も起こりやすくなっていました。気温上昇が続くと確率はさらに高まる恐れも

  • 6,413

  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
北米の熱波、調べたら150倍も起こりやすくなっていました。気温上昇が続くと確率はさらに高まる恐れも
Image: Nathan Howard / 特派員 / Getty Images

こんなにひどい今がいちばんマシって考えると、背筋だけは寒くなります。

気候変動による死は未来ではなく、いま目の前にある脅威

6月末にアメリカ北西部とカナダを襲ったクラクラするような熱波は7月に入ってもまだ続いていますが、数百人にも及ぶ死者を出した酷暑に気候変動の影響があったことが明らかになりました。猛威を振るう熱波は、気候変動による死が想像上の未来の世界ではなく、いま目の前にある脅威だということを示しています。

強烈な熱波は、米北西部のオレゴン州からカナダのブリティッシュ・コロンビア州にかけて、前代未聞の華氏100度(摂氏37.8度)を超える暑さもたらしました。両国の検視官によると、死者数が例年の同時期と比べて大幅に増えた原因は暑さだったとのこと。オレゴン州では猛暑によって少なくとも107人が亡くなったそうです。同州マルトノマ郡の医療当局者は、ポートランドとその周辺都市の一部で67人が熱中症によって死亡したと推定しています(うち40人は死因を熱中症と断定)。当局者はこの熱波を銃乱射のような恐ろしい出来事と同じと位置づけて「大量殺りく事件」と呼んでいます。

当局者は、今後の気候変動対策の計画づくりに役立つ科学捜査を適切に行なうには、多くの人員と時間を割く必要があるとしています。詳細にわたって死因を分析して暑さ対策を見直す基準をつくることにより、将来的に熱波から命を守ることが可能になると期待しています。

科学者たちは現在、確率の増加や暑さの激化など、すべての熱波はなんらかの形で気候変動の影響を受けていると考えています。太平洋岸北西部の熱波の場合は、両方に影響があったみたいですね。

北米熱波は気候変動で150倍起こりやすくなっていた

World Weather Attributionグループの研究によると、気候変動が熱波のピーク時の気温を2度上昇させていたそうです。今回の研究では、現在の気候下でもこの規模の熱波が発生する確率は1000年一度ということで、まだまだレアっぽい気もしますが、産業革命以前の気候だと15万年に一度しか発生しないはずなんですって。つまり、気候変動によってあのひどい熱波に見舞われる可能性が少なくとも150倍になったということになります。気候変動、パワーありすぎです。

これもすごく恐ろしい話なのですが、もしも2100年までの世界平均気温の上昇を0.8度に抑えてパリ協定の目標である2度以内を達成したとしても、今回のような熱波は5年から10年に一度の頻度で起こっちゃうらしいです。15万年に一度のはずが、たった2度の上昇で最悪5年に一度って、通常の3万倍じゃないですか。赤い彗星も真っ青ですね……。

このイベント・アトリビューション(個々の異常気象に対して、地球温暖化がどの程度影響を与えていたかを定量的に評価すること)はまだ査読を受けていませんが、最近ではシベリアオーストラリアで起こった熱波でも繰り返し用いられた後に査読を通過していることもあって、科学者たちはこの「できることなら間違いであってほしいくらいひどい結果」に自信を持っているみたいです。

気候変動が熱波をもたらす可能性が高くなってきたとはいえ、分析作業は簡単ではなかったそうです。というのも、現時点でわかっている気候システムや二酸化炭素の影響の仮説を超えて気温が上昇してしまったようなんです。こんなに上がるはずないのに上がっちゃったよ、みたいな。想定外しかないのか、気候変動は……。

オランダ王立気象研究所の科学者で分析レポートの共著者に名前を連ねているGeert Jan van Oldenborgh氏は、「みんな熱波の影響を心配しています。誰もこんなことが起こるなんて予想していませんでしたし、こんな熱波が起こり得るとすら考えていなかったはずです。私たちは、自分たちが思っているよりも熱波のことを理解していないと感じています」とBuzzFeedの取材に答えています。

重要なのは、熱波から学んで未来に活かすこと

著者たちは、これ以上の地獄みたいな暑さを避けるためには今すぐ炭素排出量を削減する必要があると指摘。そのうで、もう熱波はある程度起こるものと考えて準備を整えなければならないと強調し、「気候変動が進んだ、これまでとはまったく違う未来に備えるために、適応策と緩和策をすぐに策定する必要があります」と述べています。

今後、熱波で多くの死者が出るのを防ぐためには、集められている死者に関するデータをどう扱うかが重要になってきます。対策としては、気候変動に配慮した空調設備電力網の整備のようなハイテクも駆使しつつ、ヒートアイランド現象緩和のための植樹や、高齢者や一人暮らしの人たち、ホームレスを見守るローテクも取り入れていかなくてはいけないでしょう。


今年はラニーニャ現象が起こったことや、米西部から北西部にかけて干ばつに見舞われ冬の降雪量が少なかったこともあり、熱波が起こりやすくなっています。起これば気温が高くなりやすいとぼんやり思ってはいましたが、まさかここまでひどくなるとは想定外でした。こうなってくると、1000年に一度とかを災害が起こってから知るのではなく、起こる前に1000年に一度の気象災害をシミュレーションして備えなきゃなんじゃないかと思いますね……。

    あわせて読みたい