フィンランドで発掘された4,400年前の木彫りのヘビ、シャーマンの杖だった可能性

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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フィンランドで発掘された4,400年前の木彫りのヘビ、シャーマンの杖だった可能性
木彫りのヘビの拡大写真

フィンランドの考古学者たちが発掘した、見事な木彫りのヘビ。このヘビは、石器時代のシャーマンの持ち物だった可能があります。

木彫りのヘビが発見されたのはフィンランド南西部にあるJärvensuo 1遺跡。同遺跡は1950年代に溝を掘る人たちが偶然見つけたものの、十分に発掘される機会はありませんでした。そして2019年、最後の発掘から約35年ぶりにJärvensuo 1の発掘が再開されたのです。

これまでJärvensuo 1で発掘されたのは釣り道具、陶器、そして柄の部分がクマの頭型に彫られた木製のスコップなど。紀元前4,000~2,000年にかけて、この遺跡には石器時代人が住んでいました。湿地にあるこの遺跡はかつて湖岸だったため、沈降と湿ったコンディションのおかげで遺物、とりわけ木製の品々の長期的な保存が可能になっていたのです。

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発掘された場所での木彫りヘビ(上)と移動させた後(下)
Image: S. Koivisto et al., 2021/Antiquity

木彫りのヘビが見つかったのは深さ0.6mほどの地点で、それを発見した考古学者たちはかなり感動した模様。この研究の筆頭著者でトゥルク大学の考古学者Satu Koivistoさんは「湿地考古学者として驚くようなものをたくさん見てきましたが、この像の発見にはすっかり言葉を失い、身震いしました」と、メールでコメントを出しています。

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発掘作業中のチーム
Image: S. Koivisto et al., 2021/Antiquity

このヘビは1つの木材から彫られており、長さ53cmで太さはおよそ2.8cm。頭部がわずかに持ち上がり口が開いた造形で、ヘビがにょろにょろと動いている(あるいは泳いでいる)姿をほうふつとさせます。とても写実的で、研究によればヨーロッパヤマカガシ(Natrix natrix)もしくはヨーロッパクサリヘビ(Vipera berus)を思わせるとか。放射性炭素年代測定法によれば4,400年前、新石器時代のものだそう。この発見の詳細は科学ジャーナル『Antiquity』に発表されています。

「像は右を下にして横たわっていて、なくしものか、捨てられたかあるいは意図的に湖畔に茂る植物の中に置かれたのでしょう」と科学者らは論文に綴っています。この彫刻は「形と特徴」のどちらにおいても珍しいとも書かれていました。

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同じ時代と地域の岩絵には、ヘビのような物体を持つ人間の姿が描かれています
Image: S. Koivisto et al., 2021/Antiquity

発掘された場所の性質をまだ完全に理解できていないため、この遺物の重要性や用途を判断するのは困難です。ですが、これが石器時代のシャーマンの杖ではないかという学説を研究者らは立てていて、論文ではこう書かれています。

このヘビが自立している彫像なのか杖だったのか(あるいはその両方か)は不明で、どちらにせよ何通りにも解釈できます。予備的な仮説としては、信仰的な領域に置くのが妥当と思われます。ヘビはフィン・ウゴル系民族とサーミ民族の宇宙論のどちらでも象徴的な意味を持っていて、シャーマンはヘビに変身できると信じられていました。さらに言うと、あの世は湖の下にあると信じられていたので、Järvensuoの像が湿地にあったと考えると興味深いものがあります。

そのうえ、同じ時代と地域の岩絵にはヘビのような物体を持つ人間の姿が描かれていため、木彫りのヘビをその当時の北方のシャーマニズム(ヘビは補助霊動物として重要な役目を果たした)と結びつけるのは筋が通っています。

ヘビは石器時代の他の文化でも重要な役割を果たしていました。2019年には、牙を含めてヘビを丸ごと飲み込んだとみられる1,500年前の人糞が発見されています。ヘビは栄養というより儀式目的で飲み込んだという説が立てられていました。

Source: Cambridge University Press,

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