走れる二足ロボットがこちら(まだ人より遅い)

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  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
走れる二足ロボットがこちら(まだ人より遅い)
Image: Oregon State University

思わず「がんばれ!」って応援しちゃう。

人が走る姿ってなぜこんなに感動的なんでしょう。あ、この場合は人じゃなくてロボットですね。

キャシー(Cassie)はオレゴン州立大学のスピンオフであるアジリティー・ロボティクス(Agility Robotics)が開発した脚だけロボット。歩くことも走ることもできるそうで、このたび二足歩行ロボットにしては世界最速の53分で5kmを完走しました。一生懸命走っている姿、エモい!

まあ53分ってべつに速いわけでもなく、人間だったら30〜40分ぐらいで走れる距離ですし、上記のビデオでも歩きながらキャシーと同等のペースを保っている人がいるくらいです。むしろ、キャシーのすごいところはスピードじゃなくて、なにも支えを必要とせずに一回の充電で5kmの距離を走りきったことなんです。

機械学習でランニングスキルを習得

ランニングは生体力学的にけっこう複雑な動作で、走るフォームを分析するサイトがあるぐらいです。ほとんどの人は本能が導くままに独自のランニングスタイルを確立していくのですが、これをロボット、特に二足歩行ロボットに再現させるとなると「ダイナミックバランス(動的つり合い)」が必要となり、技術的になかなか難しいそうなんですね。

転倒しないためにダイナミックバランスを保つにはどうしたらいいか。キャシーの場合は深層強化学習アルゴリズムを使い、自分自身でバランスの取り方を体得していったそうです。

オレゴン州立大学のロボット工学教授で、アジリティー・ロボティクス共同創始者でもあるハースト(Jonathan Hurst)教授は、キャシーについてこんなふうに説明しています。

オレゴン州立大学工学部のDynamic Robotics Laboratoryの学生たちは、生体力学の専門性を活かしつつロボット制御のノウハウと機械学習ツールとを組み合わせてキャシーを作り上げました。

このような総合的アプローチにより、今後も動物にも匹敵するパフォーマンスを引き出せると期待しています。

二足歩行ロボットの持久性

動物と聞くと俄かに四足歩行ロボットたちの姿が浮かんできます。

たとえばMITのCheetahくんは時速45kmぐらいで爆走できますし、中国のUnitreeが開発したロボット犬Go1くんは時速10kmぐらいのペースで伴走できます。これらの四本足ロボットたちはもうだいぶ前から比較的速いスピードで走ることに成功していたんですが、必ずしも長距離を得意とはしていませんでした。

そこで、キャシーの出番。二足歩行ロボットの弱点であったダイナミックバランスを克服したキャシーが、世界で初めて5kmの持久走もできるようになったというわけです。もっとも、今回のテスト中にはトラブルもあったようで、コンピューターが過熱して6分半のロスがあったほか、コーナーを曲がりきれずに転倒してしまったのだとか…。

未来のお手伝いロボット?

波乱に満ちた5kmランだったようですが、二足歩行ロボットへの期待値を高める効果は確実にあったようです。

オレゴン州立大学はいずれ二足歩行ロボットが配達やロジスティクス、また家庭での労働を担う働き手となることを想い描いているそうです。

もうそう遠くない未来、ロボットたちは人々の日常生活において交流し、一緒に働くことで私たちの生活の質の向上に役立ってくれるでしょう

とハースト教授は話しています。そんな未来のために、キャシーはすでに機械学習を駆使してLIDARやカメラなしで階段を上がり下がりすることを習得しているそうですよ。

とはいえ、技術的なハードルはたくさんあるようで、キャシーが大学キャンパスの外に出て消費者向けの製品となるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

脚だけなのに、走ってる姿は健気だなぁ。いずれスピードアップして追いかけてきたら、それはそれでちょっと迫力ありすぎるかもしれないですけどね。

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