あくまでも運転支援ですからね!
ドライバーはハンドルから手を離し、車が自動で運転されていく…。これぞ自動運転システムの目指すところではあるのでしょうけど、この分野で最先端をいくであろうTesla(テスラ)のイーロン・マスク氏でさえ、自動運転技術の完成までには、まだまだ乗り越えなければならない障害があることを認めています。現実は厳しいものですよね。
このほどReutersは、Teslaの「Autopilot」を活用した自動運転支援システムに関連する自動車事故をめぐって、米運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)が調査に踏み切ったと報じました。同調査は、2014年から2021年までに発売された、モデルY、X、S、3の全76万5000台を対象としているようで、要はこれまでにTeslaが米国内で販売してきた、ほぼ全車が調査対象規模となる模様。とりわけ2018年以降に発生した、11件のAutopilotに起因するであろう事故が問題視されているんだとか。
Autopilotの完成度は、走行中の周囲の自動車を認識する点では高まっているそうなのですが、停車している車両認識のレベルが低いという指摘もあります。実際、Autopilotをめぐっては、停車中の緊急車両に、発煙筒や電光標識、非常信号灯、カラーコーンなどにも気づかず衝突してしまい、関連する複数の事故で死傷者が出てしまいました。事故当時、Autopilotで車が動いている間、ドライバーはどのような状態だったのかを中心に、調査が進められていくみたいですね。
現在、市場で販売されている自動車のうち、自動で運転される車など存在しない。特定の進んだ運転支援機能はあるものの、いずれも運転者が衝突を回避したり、衝突事故の被害を軽減したりしながら、安全性を高められるものに過ぎない。自動車に搭載されている、ほかの技術や装置と同様に、運転者は、そうした機能を正しく責任をもって使用しなければならない。
今回のReutersの報道には、米運輸省道路交通安全局からの、こんな注意喚起が含められました。もちろん、販売側のTeslaのほうでも、十分に周知しているはずでしょうけど、いま米国内ではAutopilotを悪用し、ドライバーが酔っていたり、疲れて運転に集中できない状態でも大丈夫と、まるで完成した自動運転車に乗っているかのごとく頼りきってしまうケースが後をたたないともいわれています。まだ完全なる自動運転は未来の話ということを、絶対に忘れてはいけませんよ。
Source: Reuters