Epicに追い風。
Apple(アップル)やGoogle(グーグル)がiOSやAndroidのアプリ販売を独占している問題で、米上院議員がOpen App Markets Act(オープンアプリマーケット法)の法案を提出、なんか大きく雲行きが変わりそうな気配です。
何が変わるの?
法案は上院のRichard Blumenthal議員とMarsha Blackburn議員が超党派で提出したもの。強権的運用に歯止めをかけ、開発者が報復を恐れることなく外部ストアにもアプリを出品できるようにするのが法案の狙いです。Blumenthal議員はWall Street Journalに意気込みを語っていますよ。
「アップルとグーグルは長年に渡って競争相手を潰し、消費者を蚊帳の外に置き、億万ドル市場の門番役として膨大な富を懐に入れてきた」
「大手テック企業の楔を破り、アプリ経済を新たな競争相手に開放し、モバイル端末のコントロールをユーザーの手に取り戻したい」
GAFAの商慣行については1年前から米議会で熱い論点になっており、Amazon(アマゾン)のマーケットプレイス、Facebook(フェイスブック)のプラットフォームからのデータ収集、アップルとグーグルのアプリ内課金の独占を禁じる法案が続々現れています。州レベルでもアプリストアをめぐっては反トラスト法裁判が起こされているし、30%の手数料(アップル税)を巡るアップルとEpic Games(エピックゲームス)の法廷バトルもまだ続行中。そちらの行方にも大きく影響しそうです。
禁止になる行為
特に規制が重点的に行われるのは手数料です。アップルならアップルの決済を使わないと今は売れない決まりになっていますが、こんな風にデベロッパーにストア内決済システムの利用を義務付ける行為は禁止となります。また、外部決済システムの導入を試みるデベロッパーに報復する行為も禁止になります。つまり、それが規約違反になってAppStoreから追放されたエピックゲームスみたいな事例は、もう発生しなくなるってことですね。
というか、端末は初期設定でもう好きな場所で自由にサイドロードできる設定にすることも盛り込まれているんだそうな。これについてはグーグルはもう対応済みですよね(デベロッパーが使うフォーマットを制限する動きも見せていますが)。アップルはサイドロードは論外というスタンスなので(「プライバシーの取り組み」の一環ということになっている)、どうなることやら。
法案ではほかにも次のような禁止事項が盛り込まれています。
・デベロッパー独自開発のアプリの販売で知り得た情報を参考にして、アプリストア運営会社(アップル、グーグルなど)がそれと競合する自社プロダクトを開発する行為
・ランキングアルゴリズムを操作して、競合のアプリより自社アプリを上位に表示する行為
法案成立までには内容が変わってしまうことも考えられますが、好むと好まざるとにかかわらず反トラスト法の杭は打ち込まれそうな雲行きです。
世界インターネット税
Apple App Storeの手数料30%についてはあまりにも暴利だということで、イーロン・マスクも「世界中がインターネット税払ってるようなものだ」と言ってます。
Apple app store fees are a de facto global tax on the Internet. Epic is right.
— Elon Musk (@elonmusk) July 30, 2021
4月に上院半トラスト法公聴会に呼ばれたデートアプリ運営会社のMatch Group(マッチグループ)は、「30%のアプリストア手数料が2020年売上に占める最大の費用品目だった」と証言しています。どれぐらい払ったのかというと、24億ドル(約2640億円)の年間売上に対し、5億ドル(約550億円)がストアに手数料として支払われたのだそうな。いくら儲けてもストアにブラックホールがあるような感じですなあ。