ハリケーンに名前を付けるみたいに、熱波にも名称を付けたい

ハリケーンに名前を付けるみたいに、熱波にも名称を付けたい
2021年8月7日、アテネ郊外で起きた火災への対応を行なう警察官 Image: Milos Bicanski/Gettyimages

ギリシャは地獄のような酷暑に見舞われています。そんな中で専門家たちはハリケーンや熱帯暴風雨みたいに、熱波に名称と等級を付けることを検討しているようです。

熱波がもたらす静かな危険

熱波は嵐、トルネードや火事のように目に見える形での破壊こそもたらしませんが、世界でも最も致命的な異常気象の1つであることから“サイレントキラー”と呼ばれています。

アテネ国立天文台のリサーチ職Kostas Lagouvardos氏はThe Guardian(ガーディアン)の姉妹紙The Observer(オブザーバー)で「他の有害な気象現象とは違って、熱波は目に見えません」と述べていました。彼いわく、政治家と世間は熱波がもたらす静かな危険を意識する必要があり、熱波への命名はそれを叶える方法になり得るとのこと。

「これから起きる気象現象に名前が付いている方が、人々はもっと入念に備えられると考えています」と語っていました。「熱波が生活や財産に引き起こし得る問題について、彼らは意識を高めるようになります」。

今月、その必要性が浮き彫りになりました。ギリシャは記録を更新するほどの高温となり、6月以来2度目の大規模な熱波が全土で猛威を振るったのです。アテネ国立天文台によれば、中央ギリシャのフティオティダは46℃台と観測史上最高気温を記録したとか。ギリシャの首相は熱波を「この数十年間で最大の環境災害」だと評しました。

この異常な熱さが植物の水分を吸収し破壊的な山火事をいくつも引き起こして、25万エーカー以上を焼き尽くしたのです。火災のせいで数千人が避難する羽目になり、3人が亡くなり、数百人の住宅が焼失。首都アテネの郊外では今でも2件の火事が続いています。山火事なしにうだるような暑さだけでも目に見えない形で被害を及ぼしていて、熱疲労と熱中症など暑さによる疾患リスクを増加させているのです。

名前をつけて熱波の危険性を理解してもらいやすく

熱波はサイレントキラーかもしれませんが、気候危機の最も明らかな影響だと言えます。今月の頭に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)レポートは、気候変動のせいで熱波の発生頻度はすでに倍増し、これからの数十年でリスクは増すばかりと報告しています。早急な適応の必要性を指摘していて、熱波に名称を付けることは人々にもたらされる危険性を理解してもらう1つの方法になります。

Lagouvardos氏の提案は、1週間以上にわたって気温が40℃以上になると予報される熱波は命名されて分類されるべきというもの。規模の等級化には気温分布と人口密度といった要因の評価を含まなくてはならないため、台風や冬の嵐と比べて熱波でのプロセスは難しくなるかもしれないとも語っていました。しかし、熱波は嵐と比べて激しさと期間を予想しやすいという面もあります。

世界的な気候科学と医学の専門家は、厳しい熱波への名称付けと等級化を長いこと提唱してきました。昨年、数名の研究者たちや市庁、非営利組織がこの目的のためにExtreme Heat Resilience Allianceというイニシアチブを結成しています。

もしギリシャが今回の勧告に従って行動するなら、熱波を命名する世界で初の国家となります。先月、アテネは酷暑に適応する方法を模索するため最高熱波責任者(CHO)を任命したヨーロッパ初の都市になりました。任命されたEleni Myrivili氏は彼女も熱波に名前を付けることを支持するとThe Observerに話していました。

「名づけと等級化とで熱波の厳しさをもっと周知させるというアイデアは転機になる」とのこと。

Source: The Guardian (1, 2), euronews, Greek City Times, Extreme Heat Resilience Alliance, New York Times,

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