まずはWindows 10に注力。
Steamの高品質なゲームを手元でバリバリ遊べることで話題となった、携帯ゲーム機「Steam Deck」。こちら当初発表されてたSteamOSとWindows 10のデュアルブート機能だけでなく、Windows 11対応にむけてAMDと協力していることが明かされました。
ValveにてSteam Deckの設計を担当しているGreg Coomer(グレッグ・コーマー)氏へのインタビュー(via PC Gamer)により明かされた、今回の情報。それによると、ValveはこれまでSteamOSの最適化やWindows 10のパフォーマンス向上に注力してきました。しかし今秋後半にリリースされるWindows 11への対応のために、現在はAMDと協調しているそうです。
「これまではWindows 10に注力していたので、(Windows 11には)手が回らなかったのです」と語る、コーマーさん。
なお、Windows 11の動作要件には「TPMチップの搭載」といった、面倒くさいハードウェア条件が存在します。通常であればこのような要件の検証にも、追加の作業が必要となります。しかしこれに関してコーマーさんは、Steam Deckに搭載されているカスタムAPU(Accelerated Processing Unit)の製造元となるAMDと協力体制にあることを理由に、問題は生じないだろうと楽観視してい流ようです。「BIOSレベルで対応できるようにAMDと検討しているので、現時点ではWindows 11を動作させる上で問題は見つかっていません」とのこと。
Steam DeckではLinuxをベースにしたSteamOSが標準で動作しますが、Windowsといった他プラットフォームのゲームを動作させる際には、「Proton」と呼ばれる互換レイヤーを利用します。これについてもFAQにて、「(アンチチートソフトウェアの)BattlEyeやEACと協力し、Protonへの対応ををすすめています」とのこと。SteamOSとWindows 10/11の両対応により、プレイできるゲームの幅が広がるのは素直に嬉しいですね。またValve創業者のGave Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏はこれまで、Steam DeckはNintendo Switchのような既存のゲーム機とは異なり、よりオープンで柔軟になるべきだと語っていました。その発言とも、Steam Deckの開発方針は一致しています。
ちなみにPC Gamerの記事によれば、ドックに接続した時に性能が向上する…ということはないようです。このあたりは、任天堂の「Nintendo Switch」とは異なりますね。というわけで、自宅でドックに設置し4Kテレビでの高解像度プレイを楽しむ…という遊び方は難しくなります。
これについてもコーマー氏は、「最も使用頻度が高いであろうモバイルでのゲームプレイを優先した結果です」と述べています。どうやら技術的にはドック設置時に性能を上げることもできるようなのですが、現時点でその優先順位は低いとしています。
年内の正式発売にむけて、ますます盛り上がりをみせるSteam Deck。従来のゲーム機とは異なる「SteamからでもWindowsからでも、好きなゲームをプレイしてくれ!」という懐の広さは、個人的にもぜひ体験してみたいものです。