つ、つよい…。
食物連鎖のトップに君臨するハイイログマ(グリズリー)ですが、白い毛皮と鋭いツノを持つシロイワヤギにちょっかいを出せば、返り討ちに遭うこともあるようです。今月初旬、そんな事件が起きました。
ハイイログマは巨体ながらも俊足なことで知られています。ですからそんなハイイログマが、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるヨーホー国立公園でシロイワヤギに殺されたと知れば驚く人もいるかと。
ハイイログマとシロイワヤギの決闘
9月4日、カナディアン・ロッキーのバージェス・パス付近でハイキングをしていた人がクマの死体に出くわしたとパークス・カナダ(カナダの国立公園を管理する政府機関)に通報。パークス・カナダは、観光客が訪れる同地域に動物を引き付けないよう即座に屍を回収しました。
パークス・カナダからのメールでの声明文によれば、その後に行なわれた検視で「メスのハイイログマはシロイワヤギが原因の自然死」だと判明。クマはシロイワヤギに突かれ、首と脇の下には刺し傷がありました。これらの傷の位置は、「ハイイログマの捕食目的の攻撃とシロイワヤギの防御反応と合致する」とパークス・カナダはコメントしています。
ハイイログマは獲物の頭部、肩と首を狙う傾向にあります。その一方でシロイワヤギは攻撃者を払いのけるために鋭いツノを用いて自衛します。検視の結果、クマが死ぬ前にできた刺創の大きさと形は、シロイワヤギのツノと一致すると裏付けられたとか。パークス・カナダは、人間の関与と他の考えられる原因を除外できたと述べていました。
ハイイログマが小さかったのが敗因か?
このメスのハイイログマの体重は約70kgとクマとしては少し小さく、シロイワヤギの成体と大体同じくらいの重さになります。CBCは、パークス・カナダの野生動物生態学者David Laskinが同メディアのラジオ番組でクマが闘いに負けた原因は小柄だったことと関係あるかもしれないと語っていたと報じています。ちなみに、このクマに子どもはいなかったことが検視で明らかになっています。
ハイイログマがシロイワヤギを襲うのは、よくあることのようです。同じくブリティッシュコロンビア州にあるボスワース山で2018年に撮影された動画には子連れシロイワヤギと、出方をうかがうクマの姿が収められています。