肉と魚、環境によいのはどっち?

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  • author Dharna Noor・Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • mayumine
肉と魚、環境によいのはどっち?
Image: Elena Scotti (Photos: PixelSquid)

肉も魚も好きだけど、地球環境的にはどちらも…??

米Gizmodoの兄弟サイト「Earther」が気候変動に関する質問に答えていくシリーズ。今回は、肉と魚、どちらが地球環境にとってよいのかについて解説していきましょう。


まず結論からいうと、畜産が地球に与える影響はあまりよくありません。なんとなく想像できちゃうんですけど。

世界的に見ると畜産業は温室効果ガス汚染の15%近くを占め、アメリカでは牛だけでメタンガスの排出量の27%を占めています。

鶏と豚の畜産も地球環境にとっては問題ありです。どちらも牛に比べれば温室効果ガス汚染の排出量は少ないのですが、エサとして大量の大豆が必要(世界の大豆の3分の1以上が鶏に、ざっくり5分の1が豚肉に与えられている)で、これがアマゾンなどの森林破壊の一因となっています。

なので、畜産業による気候変動や生態系へのダメージを考慮してベジタリアンに転向する人もいるわけです。

じゃあシーフードは…? 肉の代わりにサーモンやエビやイワシだったら少しはマシですか…? その答えは複雑です。

地球環境のためには、天然モノのほうがいいけれど

厳密な排出量の観点からいうと、一般論として魚はお肉よりベターチョイスです。

海洋保護団体「Oceana」のコミュニケーション・スペシャリストのAnna Baxter氏は、 2012年の研究結果を引用した上で「平均的に、シーフードは他の動物性タンパク質と比較して、カーボン・フットプリント(CO2排出量)が少ない」と述べています。

魚料理のカーボン・フットプリントを可能な限り少なくするためには、いくつかのルールがあります。基本的には天然の魚介類がよいとされ、カタクチイワシ(アンチョビ)や、ニシン、イワシのような小さい魚は、食物連鎖の下位に属していて乱獲されることが少ないため、魚介類の中では最善の選択肢となります。また牡蠣やムール貝、ホタテなどの貝類は、餌を必要とせず、水から栄養をろ過することができるので、比較的気候に優しい選択肢となります。カリフォルニアにあるモントレーベイ水族館が公開している「Seafood Watch」に情報やそれに基づく選択肢のガイド(英語)が掲載されています。

しかしながら、それでもまだ複雑な実態があります

コンコルディア大学の博士研究員であり、ハーバード大学の動物法・政策プログラムの客員研究員のJan Dutkiewicz氏は、

魚は牛と異なり、ゲップやおならでメタンを発生させる反芻動物ではありません。また(魚は)鶏とは異なり、集中家畜飼養事業のような、排出量の多い環境で生産されたものではありませんが、別の問題があります。

と言います。

魚の養殖は天然の魚介類を獲るよりも気候への影響が大きいのです。例えば2017年、魚の養殖セクターは人が原因の温室効果ガス排出の半分を生み出していて、これはざっくりオランダの温室効果ガスの排出量とほぼ同じです。

天然のシーフードを食べることは、気候に配慮した選択と言えますが、しかし全てのシーフードに当てはまるわけではありません。エビやロブスターのような甲殻類は、二酸化炭素の排出量が最も多いとされています。というのは、甲殻類を漁獲して引き上げるトロール船が、罠を仕掛けたり回収したりするために頻繁に船をとめたり動かしたりする中で、大量の燃料を使用するからです。学術誌「Nature Climate Change」に掲載された2018年の研究によれば、ロブスター漁やエビ漁は、鶏や豚の農場よりも多くの二酸化炭素を排出する可能性があるとのこと。今年発表された他のレポートでは、底引き網漁は、毎年ギガトンレベルの二酸化炭素を排出していて、これは航空産業全体に匹敵する量だそうです。

また底引き網漁は、気候変動とは直接関係ない影響も多大です。底引き網漁デリケートな海底の生態系を破壊し、漁具は海洋プラスチック汚染の主な原因になります。これはサメなどの頂点捕食者を含む、すべての海洋生物に大きなリスクをもたらします。また乱獲も大きな問題となっていて、国連は世界の3分の1の漁業が持続不可能な速度で漁をしていると警告を出しています。さらに魚の養殖場も野生種に影響を与える汚染や病気の原因にもなっているとのこと…。

シーフードはどうしたらいいの?

ハンバーガーを食べる代わりにサーモンバーガーを食べることは、食生活におけるカーボンフットプリントを削減するためのひとつのステップです。でもそれだけではありません。

4月に発表された報告書によると、アメリカの漁業管理者は、年間漁獲量を制限する義務を怠っているとのことです。法や義務が守られているか議員に監視の目を光らせるように働きかけることは、大きなアクションのひとつですが、気候変動による漁業への圧力が増していく中、政策を改善することも必要です。アメリカで今年の夏に提出された法案では、既存の政策を改善し、より多くの生物を保護して気候変動をより適切に扱うものでした。

漁業は世界中で行われ取引されています。去年、世界貿易機関(WTO)は、持続不可能で世界の漁業資源を破壊する原因ともなる養殖場の補助金のカットについて、合意に達することができませんでした。

オセアナ(非営利の海洋保全組織)の海洋科学者であるFrances Withrow氏は、「オセアナは混獲を減らすために、底引き網漁の凍結や漁機材の持続可能性の確保するための活動を行っています。これは、シーフードを食す人たちが、よりよい選択肢を持てるようにするための、もうひとつの手段です」と語っています。

総じて、最も持続可能なタンパク質源は、動物性ではなく豆などの植物性タンパク質であることが科学的にもわかっています。魚介類による環境への影響を減らしていくためには、より持続可能な代替手段を増やして水産物全体を縮小していくことです。世界各国の政府は漁業に年間数百億ドルを費やしていますが、そのようなインセンティブは、乱獲や搾取を助長するものです。

Dutkiewicz氏は、

新鮮で健康的な野菜や豆類を生産している人に対して、よりよい品種や新しい品種を開発したりより大規模に生産できるように、(漁業に投じているのと)同じような予算をかければ、より低価格で安全な食品を選択してもらえる可能性が非常に高くなるでしょう。

と述べています。

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