これこそ今後のスタンダード!
どんどん大画面になってきているスマートフォン。ベゼルを薄くしてできるだけ全画面で広く使えるスクリーンをとのアプローチが主流ですけど、そうなるとどうしても気になるのは、フロントカメラの位置でしょう。ノッチでへこんだエリアにレンズを搭載したり、あるいはパンチホール方式を採用したりと、さまざまな工夫はあるものの、そこだけスクリーンが欠けてしまったり、穴が開いてしまうことだけは避けられません…。
いま最も熱いのは、ディスプレイの下にカメラを埋め込んでしまうUDC(Under Display Camera)のテクノロジーではないでしょうか。すでにZTEは1年前に「Axon 20」でUDCを採用し、全画面スマホをリリースしたと発表。6.92インチのAMOLEDディスプレイには、フロントカメラを搭載するためのノッチやパンチホールで欠けている部分が一切ありませんでした。ただし、ディスプレイ部に遮られる形でレンズが埋め込まれているとだけあって、このフロントカメラで撮るセルフィー写真は、ほかのスマホよりも画質が劣るような?

まだ昨年の時点だと、UDCのスマホは目新しい印象ばかりが話題となりましたけど、さらに技術は洗練されています。ZTEが新たに発売した「Axon 30」での進化を体感してみましたよ。背面のクアッドカメラもゴツいAxon 30ではありますが、やはりなんといっても最大の特徴は、もはやどこに埋め込まれているのかもわからないUDCの新フロントカメラでしょう。12メガピクセルの美しいセルフィー写真の撮影が可能になりました。

UDCのスマホで有名なのは、こちらの写真で左に写っているSamsung(サムスン)の「Galaxy Z Fold 3」でしょう。折りたたみスマホというだけでなく、ノッチもパンチホールも取り去ったフロントカメラを採用しているという革新性ですけど、ただこうやって見ると、どこにフロントカメラが埋め込まれているのかがくっきりと~。一方の右に写るAxon 30だと、フロントカメラ付いてるんですか? 思わずそう尋ねたくなるくらい、存在が隠れてしまっています。
それもそのはず、Axon 30のディスプレイ下部にフロントカメラを埋め込んだエリアのディスプレイ解像度は400PPI。これがGalaxy Z Fold 3だと、UDCエリアのディスプレイ解像度が144PPIに落ちるので、周囲との差で、あっ、ここにカメラレンズが埋め込まれているんだろうなって一目瞭然なのです。どうせならば、本当に全画面で使えて、映画もゲームもまったくフロントカメラで遮られることなく楽しみたいじゃないですか? それをAxon 30は、ついに実現してしまいましたね!

ところでUDCの課題は、ディスプレイ下部に埋め込んでしまう分だけ、セルフィー写真の画質が落ちてしまうことにありました。でも、最新モデルのAxon 30は見事に課題をクリアしてきた感じがします。Galaxy Z Fold 3のフロントカメラで撮影したものと比較しても、シャープな画質の違いは明らかですよね。UDCという搭載方式なので、フロントカメラで写真が美しく撮れないという不満は、まったくなくなったと考えてもよいのでは?
実はノッチをなくしたいのは、iPhoneのApple(アップル)も目指していることとされていますが、まだ踏み切るところまできていません。Face IDの認識精度を、ディスプレイ部に遮られて落としたくないという考えも働いていると思われます。ただ、今回のAxon 30のUDC完成度を見るに、各スマホメーカーが同技術の採用へ舵を切るのはもう時間の問題でしょうか。結局のところ、画質などで大きく犠牲になる面がないのならば、わざわざノッチやパンチホールで全画面スマホをあきらめる理由なんてありませんからね。

Axon 30はただUDCを採用しているというだけでなく、120Hzのリフレッシュレートを採用したディスプレイだったり、Snapdragon 870 5Gチップ、8GBのRAM、128GBのストレージ容量、4,200mAhの大容量バッテリ、65Wの高速充電対応などなど、5Gスマホとして申し分ないスペックを備えています。これで日本円にして5万円台で発売されていることを考えるならば、なかなかのヒットモデルとなりそう。日本国内だと、ZTEのスマホといえば、ソフトバンクやauあたりから販売されないものでしょうかね?

明るい日差しのもと、特定のアングルから眺めれば、あっ、ここの下にフロントカメラが埋め込まれているのかな? そう気づかないでもないというレベルのUDC。いまZTEほど見事にUDCを採用してきたスマホメーカーは見当たりませんけど、きっとサムスンも「Galaxy S22」くらいから、かなり追いついてくるのではないでしょうか。UDCこそがスマホのフロントカメラのスタンダードになる日も、そう遠くないような気がします。