ロボット「OriHime」は会話上手。世界最大級のメディアアートの祭典に参加したカフェにお邪魔しました

  • author 大沼千沙都
ロボット「OriHime」は会話上手。世界最大級のメディアアートの祭典に参加したカフェにお邪魔しました
Photo: Kosumo Hashimoto

人とロボットが共存する未来は近い、なんて話を最近よく聞きます。

話し方や動作が機械的で、冷たいイメージを持たれがちなロボットですが、今回出会ったのは、人の温かさを感じさせてくれるキュートなロボットでした。

「分身」ロボットが接客してくれるカフェ

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分身ロボットカフェ DAWN ver. β

訪ねたのは東京・日本橋にある「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」。一見すると普通のカフェですが、中に入ると出迎えてくれるのは「OriHime」というロボット

カフェでは、「OriHime」がオーダーを受けたりドリンクを運搬したり、お客さんとのコミュニケーションまで、さまざまな業務をこなしています。

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実は、このロボットを遠隔で操作しているのはALSなどの病気によって寝たきりになるなどの重い障害を抱えた人々

彼らはパイロットと呼ばれ、声とディスプレイを使ってお客さんとコミュニケーションをとるのですが、みなさん驚くほどお話上手です。 中には、ディスプレイを使ってジャンケンをする方も。

社会と関わりのない生活を送っていた人々が、自分の分身であるロボット「OriHime」を通して、新しい友人やコミュニティという居場所を見つけていく空間になっているのです。

Video: Japan Media Arts Festival Overseas Promotion / YouTube
OriHimeの開発者・吉藤オリィ氏のトークセッション(日本語)

「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」、世界最大級のメディアアートの祭典に参加

そんな「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」は、今回、文化庁メディア芸術海外展開事業が実施する企画の一環として、世界最大級のメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」に参加しました。

今年はコロナ渦のため、連携特設サイト「アルスエレクトロニカ Garden TOKYO」を通して、会場のあるオーストリアと東京を繋いでのオンラインイベントが開催されました。

参加したのは、メディアアート領域で活躍するさまざまなアーティストたち。

参加アーティスト一覧

・evala(エバラ)

・小泉明郎

・SAKUMA Kaito

・東京大学大学院情報学環 xlab 筧康明研究室

・ “分身ロボットカフェ DAWN ver.β”制作チーム(代表:吉藤オリィ〈オリィ研究所〉)

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2台のOriHimeが向かい合い、会話をしている様子

こちらは、実際に「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」で開かれたイベントの様子。

オーストリアにいる「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」の責任者であるクリストルさんと、パイロットとしてカフェで働いている中島寧音さんが、それぞれ「OriHime」にログインし、会話をしています。

ロボットとロボットが人の声で会話している、少し不思議な空間が生まれていました。

クリストルさん:友達はできましたか?

中島さん:たくさんできました!

クリストルさん:よかった! このカフェのどんなところが好きですか?

中島さん:働くことができること、そして新しい人との出会いがあるところです。

未来的でありながらも、どこかアナログな温かみを感じます。

この様子を見守っていた「アルスエレクトロニカ Garden TOKYO」企画ディレクターである戸村朝子氏(ソニーグループ株式会社)は、「OriHime」の魅力をこう語ります。

あまりギークでないところがいいんですよね。あとは、パイロットのみなさんがお客さまをもてなすのが本当に上手。カフェが喜びの場になっているんですよ。

イベントは約10分ほどで終了したのですが、もっと「OriHime」パイロットについて知りたい!と思い、3年前のオープン当初から働いているベテランパイロット、藤田美佳子さんにも「OriHime」を通してお話を聞きました。

カフェで働くことで増えた夢とは?

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肩に乗っているのがOriHime

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OriHimeとNEXTAGEは背面で接続されています

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コーヒーを作るときは、このマーカーを読み取ることで動きを制御


「OriHime」パイロットでありながらバリスタとしての顔も持っている彼女は、カフェでは「NEXTAGE」という人型ロボットと連動して、コーヒーを作るお仕事もされています。

藤田さんのプロフィールには、「カフェを通じてたくさんの方と繋がり、私の夢も増えました」という一言が。病気がきっかけで、一度はバリスタとして働き続けることが困難になってしまったそうなのですが、カフェで働きはじめたことで、再びコーヒーを作るお仕事ができるように。

お客様にひとりひとりにゆっくりとコーヒーをお淹れしているので、じっくり話すことができて世界が広がっています。お客さまが喜んでいる姿を目の前で見ると、嬉しくなります。

と、「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」で働く楽しみも語ってくれました。

今は、人の出会うことが難しい時期ではありますが、カフェでは人と繋がる選択肢がたくさんあることを感じられると思います。お客さまと作りあげていくカフェですので、ぜひ一度いらしてください。

ロボットらしさがあまりないところがいい

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就業機会を失ってしまった方々に新たな社会との接触を築き、障害者雇用が不十分な日本社会に対して問題提起する「分身ロボットカフェ DAWN ver. β」。その解決策は、ロボットを通して人の温かさを感じるカフェでした。

「OriHime」は、パイロットの皆さんのコミュニケーション力が高すぎて、いい意味でロボットらしさを感じないほど。人の声が入るだけで人間味がこんなに増すなんて。

個人的には、お話ししている時に「OriHime」がぱたぱたと手を動かす姿に胸キュンでした!

アルスエレクトロニカ連携特設サイト「Garden TOKYO」(吉藤オリィ紹介ページ)(英語)

Photo: Kosumo Hashimoto

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