子どもに『スマホ脳』は難しい? だったら映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』を見せてみてよ

  • author 中川真知子
子どもに『スマホ脳』は難しい? だったら映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』を見せてみてよ
Image: © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

かわいい外見に騙されてはいけない。これは子ども版『スマホ脳』だ。

今の子どもは生まれる前からスマホに慣れ親しむ時代です。胎教に良いアプリや寝かしつけアプリ、予防接種管理アプリ、子どもの発達が気になれば支援に役立つアプリだってあります。それがいけないとか、スマホを使うのは親の怠慢だとか言いたいわけではありません。私も大いに使いましたから。

でも、子どもがスマホを手放さなくなったくらいから、心配になるんです。「このままで良いんだろうか…」って。といっても、スマホ中毒の危険性を理解させようと幼稚園児や小学校低学年の子どもに『スマホ脳』を読ませたり、Netflixの『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』を見せても理解できないでしょう。そこで、10月22日に公開されるディズニー配給の映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』の出番です。

Video: 20世紀スタジオ 公式チャンネル/YouTube

ストーリー:スマホよりもハイテクな機能を兼ね備え、ビッグデータから友達のマッチングまでしてくれるロボット「Bボット」をひとり一台所有する近未来。バーニーは誕生日にBボットの「ロン」を与えられるが、そのBボットは故障しており、プログラム通りに機能しなかった。命令しても暴走するBボットに振り回される日々を送るバーニーだが、やがて友情が芽生え始める。ところがBボットを開発/販売するバブル社は指示通りに動かないバーニーのBボットを危険だとみなし、廃棄にかかる。

ソーシャルメディア時代の人間関係を問う

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Image: © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

SNSを開くと華やかな生活の写真ばかり。どこに行った、何を食べた、どんな人と楽しい時間を過ごしたといった煌びやかな写真や書き込みを見ていると、みんな人生を桜花しているのに、自分ばかりがうまく行っていないような気がしませんか。大人ならある程度気持ちを切り替えられますが、今の子どもたちはこういったSNS世界にどっぷり浸かるのを前提で生きています。

『ロン 僕のポンコツ・ボット』はそんな世界をある意味風刺的に描きつつ、SNS時代における人間関係とは、を観客に問いかけているのです。

テクノロジーと付き合うバランス

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Image: © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

本作に登場する子どもたちの多くが、子どもたちのデータを元にビッグデータから能動的に友達を作ってくれるBボットに完全に依存しています。Bボットがいるから孤独とは無縁だし、Bボットが友達作りのお膳立てをしてくれるから友達が作れなくて悩むこともありません。

BボットとSNSの「いいね」がなければ生きていけない子どもたちにとって、オンラインが生活の大部分であり、リアルな生活はオンラインの関係を豊かにするためのもの、つまり「エビフライはタルタルソースを食べるための棒(大沢たかお談)」並の認識となってしまっているのです。

そんな中、バーニーとロンは、お互いの趣味嗜好を探り合いながら理解を深める「アナログな友情」を育んでいきます。思い通りにならないから驚きに溢れていて、気持ちが合致した時に喜びを感じる。そんなひとりと一台の様子と、正常に機能するBボットと子どもたちのコントラストをみていると、自分とテクノロジーとの付き合いのバランスを見直したくなってきます。

大人が子どもにテクノロジーを使わせる理由

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Image: © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

昨今は人とSNSの関係に焦点をあてたコンテンツが少なくありませんが、『ロン 僕のポンコツ・ボット』が他と一線を画すのは、劇中に「大人が子どもにBボットを与える理由」にも言及されていることでしょう。本作には親世代がほとんど出てこないことから、親もBボットに依存し、子どもの世話を丸投げしているのです。そして、あるシーンでBボットに依存しきった親からの悲痛は叫びとも言えるセリフが紹介されるのです。

少子高齢化が進むこの社会において、子どもはマイノリティとなり、以前よりも子どもの行動に不寛容になった社会的背景や大人の事情があるのですが、子どもたちは最先端機器を使いこなし、「うまくやれている」と思い込んでいます。そんな子どもたちに、そのセリフはどう聞こえるでしょうか。

ネタバレになってしまうので、このセリフは書きませんが、きっと大人も子どももハッとさせられることでしょう。

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Image: © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

GIGA構想の開始に伴い、保護者は子どもにネットリテラシーやスクリーンとの付き合い方を教える必要がありますが、子ども時代にネットが存在しなかった親世代にとっては簡単なことではありません。そこで、SF思考で未来を自分ごとと捉えて対応策を考えるわけですが、『ロン 僕のポンコツ・ボット』は最高の教材となってくれるはず。

ぜひ多くの人に見てもらって、ネットリテラシーやSNSのメリット/デメリット、友だちとは、などを改めて振り返ってもらいたいな、と思いました。きっと「楽しかった」以上のコメントが出てくるはずです。

映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』10月22日(金)公開。

※2021/10/22 18:14追記:作品名称が一部誤っていたため修正しました。

Source: 『ロン 僕のポンコツ・ボット』, YouTube

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