欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)による共同宇宙ミッションが、初めて水星の姿を捉えました。
10月1日、日欧協力の水星探査計画「ベピコロンボ」(BepiColombo)の2つの周回探査機は太陽系で最も内側の惑星に最接近した際、その惑星を撮影。ESAのプレスリリースによるとトップの画像は水星の北半球で、火山の噴火があった地点やクレーターが点在する表面を捉えています。この画像には探査機のアンテナと磁力計も写っていますよ。
Hello, Mercury!
— Bepi (@ESA_Bepi) October 2, 2021
This splendid view of part of Mercury's northern hemisphere was captured by @ESA_MTM about 10 mins after #MercuryFlyby close approach, from a distance of 2420km. https://t.co/jjGKrsQXDH#ExploreFartherpic.twitter.com/EMhMJ5tKiN
ESAとJAXAは2018年にベピコロンボを打ち上げました。水星の姿を捉えると同時に、その起源と進化を解明するというゴールのためです。これまで水星へ行ったことのある探査機は1974年と1975年に接近したマリナー10号と、2011年から2015年にかけて周回していたメッセンジャーのたった2機しかありません。
今回の最接近は、計6回ある水星へのスイングバイのうち1回目となります。探査機は高度199kmを通過しました。
このミッションの探査機運用のマネージャーElsa Montagnon氏はESAのプレスリリースで「フライバイは探査機の観点からは完璧で、目標の惑星をようやく見られるのは素晴らしい」と述べていました。
ESAの、水星の表層と構造ワーキンググループを率いるDavid Rothery氏は「ベピコロンボの水星の初画像を見て、写っているものを解明するのは非常にワクワクする作業でした」と付け加えています。「水星はまだ完全には理解できていない惑星なので、水星の軌道に入ったら得られるはずの最高品質の科学データを研究することに一層意欲が湧きました」とのこと。
次の水星最接近は来年の6月、その後の4回は2023年6月、2024年の9月と12月そして2025年の1月と続きます。もしすべてが計画どおりに進めば、ベピコロンボは2025年末には水星の周回軌道に投入できるほどに速度を落とすそう。その後、2つの周回探査機は表層の形成過程、構造と磁場を研究するため水星の表面をマッピングするという主要科学ミッションに取り掛かる予定です。