アメリカの牧場で20年前に発見された恐竜の化石はケラトプス科の新種だった

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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  • たもり
アメリカの牧場で20年前に発見された恐竜の化石はケラトプス科の新種だった
新種恐竜Sierraceratops turneriのイラスト
Image: New Mexico Museum of Natural History & Science

われわれが未知の恐竜はもっと存在していた?

米国ニューメキシコ州で20年以上前に発見された化石を再分析したところ、新種の角竜類であると判明しました。この白亜紀の恐竜は「Sierraceratops turneri」と名付けられ、恐竜が考えられていたよりもはるかに多様で、発見されるのを待っている新種がまだたくさんあるということを示しています。

1990年代後半、CNN創業者のテッド・ターナーは、古生物学者チームにニューメキシコ州の都市トゥルース・オア・コンシクエンシーズ近くにある彼の牧場の調査を許可しました。億万長者の選んだ立地は、後期白亜紀にさかのぼる堆積物が特徴のHall Lake累層の上だったのです。古生物学者たちはある恐竜の部分的な骨格を発見し、6,600~6,800万年前に生息していた角竜類、ケラトプス科のトロサウルスのものと判別しました。

しかし、最近になってニューメキシコ自然史科学博物館の古生物学の学生であるSebastian Dalman氏が、同僚チームと一緒にその化石を改めて調べることに。その標本には前顎骨(くちばし)、眉角、フリル、肩帯、肋骨と椎骨が含まれていました。精査してみたところ、骨が誤認されていて、彼らはまったく新しい種の恐竜を調べていることに気付いたのです。この新種のケラトプス科は、同州シエラ郡とメディア王にちなんで「Sierraceratops turneri(以下S.turneri)」と名付けられました。他の既知のケラトプス科と比較分析によって、チームは確信を持ってこの新種の発見を宣言できたのです。この成果は学術雑誌「Cretaceous Research」に掲載されました。

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S.turneriと他の恐竜とのサイズ比較
Image: Nick Longrich

S.turneriが生息していたのは白亜紀後期に当たる7,200万年前で、有名な角竜類トリケラトプス出現の600万年前に当たります。S.turneriの生息時期はトロサウルスよりも数百万年早く、生息地も千マイル離れていたので、骨格がトロサウルスのものでなかったのもそれほど驚くことではありません。最新の放射年代測定のおかげで、より正確な年代が分かったのです。

この四足歩行の草食恐竜は短くて頑丈な眉角と、バース大学の古生物学者で論文の共同執筆者であるNicholas Longrich氏が「これまでに見たものとは似ても似つかない」フリルと説明する独特な特徴を併せ持っています。S.turneriの体長はおよそ4.6メートルで、頭蓋骨は1.5メートルとのこと。

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S.turneriは西部内陸海路の西にある海岸平野に生息していました
Image: Nick Longrich

S.turneriは天敵ティラノサウルスを避けて、群れで生活していたようです。その当時ニューメキシコは河川、沼地、氾濫原とヤシの木があり、かなり温暖だったとか。

現在、恐竜の古生物学では、簡単に獲得できる化石のほとんどがすでに採集済みという面白い現象が起きています。その結果として、科学者たちは新たな地域の探査や古い化石の再分析を行うことになりました。しかし、これが有益な結果をもたらしたようで、古生物学者たちは恐竜の多様性と、同一種の恐竜が想定されていたほど広範囲にわたって分布していなかった理由について理解を深めることができています。Longrich氏はふたつの要因が関係していると語っていました。

「ひとつには、異なる地域の地層は大抵わずかに年代が違うということ。ですから地形を横断するに連れて、時間的には前進か逆行しているのです。ひょっとすると数百万年分もね」と同氏は説明しています。「恐竜の種類は存続するのが平均して百万年かそれ以下とかなり短命なので、異なる時期から採取しているというだけで、別の種類を見るということになります」とのこと。

もうひとつは、恐竜はその大きさの割に生息域が地理的に広くなかったようで、比較的近いところにまったく別の種類が出現する傾向にあること。地理的な障壁、気候そして植物の入手しやすさなどが潜在的な理由として挙げられますが、Longrich氏は種間の競争という別の要因を疑っています。同氏は自身のブログの中で詳しく説明しています。

恐竜や他の動物は、生息数を大幅に減らす外乱(干ばつ、温暖化、寒冷化、気候変動、病気)によって、日和見的にある地域へと移るのかもしれません。たどり着いてしまえば、すぐ現地の環境に慣れるでしょう。気候や植物、そして(おそらく最も重要な)現地の風土病や寄生生物に順応していきます。その地域に進出しようとする競合種に対して、これは競争上の強みとなります。

しかし、ある時点で環境的な外乱が穴を開けるか、侵入を可能にする何らかの優位性が進化するかもしれません。そうなると侵入種が定着するのです。

その過程が何度も繰り返され、恐竜は散らばっていき、異なる生息地で異なる形で進化し、新種を生み出していく。侵入して外乱までのさらなる侵入を防ぐ順応というプロセスが、地理的な障壁や直接的な気候の障壁がなくても分散の障壁となるものを生み出し得る…生息できる場所を最も圧迫するのは競争相手なのです。

S.turneriにとって障壁のない環境は、西部内陸海路という巨大な内海の端っこでした。この海岸平野はカナダまで伸びていて、リサーチによれば恐竜の種類の多様化を可能にしていたとか。だから角竜類、ハドロサウルス、ティラノサウルスやラプターなどさまざまな種類の恐竜が大陸の各地に居住していたのです。

古生物学者たちが北米を調べ続けていけば、もっと多くの新種の恐竜が発見されそうですね。

Source: ScienceDirect, Nick Longrich

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